皇居の落書き

乱臣賊子の戯言

男系継承の意義についての曖昧な議論

2024-11-07 23:47:15 | 皇室の話(3)
前回、「男系派の国会議員はちゃんと仕事をしなさい」で男系継承の意義についての説得力ある説明ということを述べたが、これまでの男系派の主張を見ていると、その内容については概ね以下の分類ができるのではないかと思う。

1 長く継続してきたことの重みがある
 126代にわたって継続してきたということ自体を重視する考え方である。これについては、客観的な事実として主張しやすく、それなりの説得力があると思う。
 ただ、なぜ男系で継続しなければならないのかについて、本質的な答えにはなっていない。
 また、継続してきたことによって生じた、いわば事後に成立した価値観ということであり、歴代のその時代ごとの日本人の信念であるとは言えない。
 要するに遺産を大事にしようという話である。竹田恒泰氏は法隆寺の木造という譬えで、この立場を説明している。

2 皇位の本質的なものは男系でなければ継承できない
 筆者も男系派であったころ、何とかこの観点での説明ができないかと随分考えたものである。
 八木秀次氏のY染色体の話は、この観点での説明に根拠を与えるものであるように思われ、飛びついた人も多かっただろう。
 ただ、Y染色体のことを昔の日本人が知っているはずもなく、また、Y染色体を持ち出すと神話とのつながりが破綻するし、また、神武天皇のY染色体は一子相伝というわけではないので、やはり皇位の本質的なものとは言えない。

3 歴代の皇室・日本人は男系継承を信念としてきた
 1と合わせ、過去の女性天皇が即位後に結婚したことはないということも論拠にしたりしている。
 ただ、皇室・日本人が男系継承を信念としてきたということであれば、何らかの文献にその旨の記載があってもよさそうなものだが、それがない。

4 天皇としての役割は男性でないと果たせない
 これが本音なのかもしれない。昔よく取り上げられたのは、称徳天皇(孝謙天皇)という女性天皇による道鏡問題である。
 また、宮中祭祀のことを持ち出して、女性では穢れの問題があるので支障ありと主張したりする。
 ただ、男性天皇でも武烈天皇のように、問題のある行動(史料の上ではだが)をしている人はいる。
 また、祭祀の問題についても、過去の女性天皇が祭祀をしておられたことを踏まえると、やはり説得力がない。そもそも皇祖神が女性神である。


結局のところ、1を根拠にしつつ、2があるんじゃないか、3のように言えるんじゃないかといった具合であり、本音では4もあるが表立って展開する度胸もなく、曖昧な議論になっているというのが現状であろう。

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男系派の国会議員はちゃんと仕事をしなさい

2024-11-07 23:44:00 | 皇室の話(3)
令和6年11月5日17:00、夕刊フジより配信の「皇位継承に関する国連勧告に反論 松原仁氏「全く容認できない」日本国家の骨格否定「政府に外交力の欠落があったのでは」と題する記事がある。

松原仁氏の主張については、何を言っているのだろう、という感想しかない。

「皇位の男系継承は天皇の正統性の根拠であり、これが崩れるならば日本の国家の骨格の否定につながる」とのことだが、「日本の国家の骨格」とは、そんなことで崩れてしまうようなものなのだろうか。

思想・信条の問題ということかもしれないが、もし、本当にそう信じているのであれば、それならばそれで、もっと真剣に男系継承の維持について取り組むべきだと思うのだが、政治家としてそこまでの行動をしている様子は見られない。

男系継承の維持のためには、現皇室においては悠仁親王殿下が唯一の希望となるが、悠仁親王殿下の交際相手(お嫁さん候補)を探したりとか、やるべきことはいろいろあると思うのだが、何かしているのだろうか。
旧宮家の男系男子の子孫の養子案ということなら、説得に回って候補になってくれる方を探すとか、やってみればよいではないか。

それに見合うだけの行動を伴わないで「日本の国家の骨格」などと口にすれば、かえってその値打ちを下げてしまうことに気づかないのだろうか。

国民の一人である筆者として、「全く容認できない」話だ。

松原仁氏は、「政府は外交力の欠落があったのではないかと深く反省するべきだ。日本の国の長い歴史風土を諸外国に知ってもらうことは極めて重要だ」と述べているようだが、「日本の国の長い歴史風土」ということと男系継承とはどう繋がるのだろう。

あまりに説得力がなさすぎる。

結局、自分自身で何も理解できていないのではないだろうか。

男系継承を維持するべきという主張をするのであれば、何よりも必要となるのは男系継承の意義についての説得力ある説明ということになるであろう。

松原仁氏に限ったことではないが、国会議員というのは議論が仕事なのだから、もっとちゃんと仕事をしないとダメだ。
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