さて『ユークリッドの窓』では、幾何学の黎明期からアインシュタインの相対性理論を経て、
現代の幾何学の進行形である「ひも理論」まで語られています。
この「ひも理論」、S行列とか24次元とか、
ここまでくるともうさっぱりイメージすらわかないですが、
ただ、この理論の示していることが非常に興味深い。
「ひも理論」は別名「弦理論」とも言い、
そうギターやバイオリンの弦ですね。
物質を形作る最小の粒子、それは振動の違いによって色々な様相になるという。
突きつめれば、物質すべて、つまり「宇宙は振動でできている」ということになるんですねえ。
音楽というのは、「空気の振動の芸術」ですから、
ある意味、「宇宙は音楽でできている」と言えなくもない。
この「宇宙は音楽でできている」というのは、実はかなり古い考え方で、
古代ギリシャの音楽理論書『音楽教程』のムジカ・ムンダーナ(宇宙の音楽)に行き着く。
『音楽教程』では、「宇宙の音楽」「人間の音楽」「道具の音楽」の順番で、
耳に聞こえる「音楽」、つまり私たちが「音楽」と呼んでいるものは3つ目の「道具の音楽(ムジカ・インストゥルメンターリス)」になるんですね。
最新の物理学、数学が、古代ギリシャの音楽観と一致するって、なかなかトキメきます。
※参照「もう一度学びたいクラシック(西東社)」
(【音楽と数学 その3】へ続く)
ユークリッドの窓 [ レナード・ムロディナウ ] |
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