コロナ禍が長引き、ミュージシャンは皆大変な思いをしている。僕も殆ど失業状態で、朝からレコードを何枚も聴いて、たまにレッスンして、息抜きにマンガ読んで爆笑して…って、まるで勉強しない中高生の夏休みみたいだ(笑)。この歳になって、あの頃の様に叱ってくれる母も居ないので、益々道楽に拍車が掛かる。
それでも沢山仕事しているミュージシャンはいるし、日本各地を忙しく飛び回ってる人もいる。このコロナ禍史上最悪な状況の中での県またぎを揶揄する声も有るかと思うが、まぁ、他人事だし、感染対策は各々やってるのだろうとは思うし、僕も仕事上、若干の県またぎはするし。
こないだ、後輩ミュージシャンと話してて、「今、自分に仕事が少ないのは実力が足りなくてショボいからだと思ってるので、練習頑張ってます。」と殊勝な事を言ってくれて、素晴らしいと思ったけど、同時に、こんだけキャリアを重ねると、「運」の方が大きく左右している事を強く感じているのだが、敢えてそれは言うまい…と思った。彼もそうだし、僕自身も映画やドラマや芸能人と絡む仕事はして来たが、それは実力とは何の関係も無く、たまたま運が良かっただけだ。また、コンスタントにジャズの仕事をしようと思えば、勿論、実力は問われるけど、良き人との出逢いが無ければ、そういう仕事にもあり付けないし、そういうコネクションも結局は「運」だと思う。
この現状に、ただ「運」が無い…と腐っているのかと言えば、全然そうではなく、日々、膨大な量のレコードを(たまにCDも)聴いて、気付きを求め、それを練習に活かして、自分自身では確実にこのコロナ禍の間に成長したと思ってるし、まだまだ成長過程の初期段階だとも思っている。50代半ばでこんな経験は中々出来ないと思うので、ちょっと有り難いとも思う(笑)。また、何もこのデルタ株が横行して、危険な状態の中、無理にライブ本数を増やして、観客数も演奏時間も制限されてる中で活発に演奏活動をする事は無い…というのが僕の考えだけど、同時に活動拠点が激減して来た事には流石に若干の焦りは有る。
このコロナ禍の期間中、いくつか演奏出来なくなった店が有る。それは、店が休業してるからやむを得ない場合も有るが、この色々制限された状況で集客出来ないが為にクビを切られたってケースも有る。まぁ、お店にも家賃の支払いをはじめ諸々の事情が有るだろうし、この状況でも集客出来るミュージシャンもいるわけだから、仕方の無い事実として受け止めるしか無い。
「オッサンをブッキングしても客入んないんだもん。」と店のオーナーから面と向かって言われた事も有るけど、別にそれで腹も立たない。ライブを録画して、きちんと編集や音源マスタリングもして、配信してドネーションを求めたら、結構サポートしてくれる人達は居る。現状、感染が怖くて観に行きたくても行けない人達が実際に多く居る事実を知らないだけだと思うし、ライブの新しい形がこのコロナ禍で生まれ始めたって事も知らないだけなんだと思う。これから、実際のライブと配信をどう組み合わせるかを考える事の方が、ブッキングでただただ不愉快になるより僕には重要だ。
現状ではミュージシャンに対する同情も有るのかもしれないけど、簡単に好きなミュージシャンのライブをハシゴ出来る配信+ドネーションというシステムは、コロナ禍に於いて発見されたライブの新たな道筋だとも思う。これをお店にもミュージシャンにもプラスになる様なシステム作りをするべきだと僕は思う。ライブ文化の生き残りを懸けて。
現実問題として、今のライブの実入りだけではとても生活出来たもんじゃないし、かと言って、動画の再生回数がめちゃくちゃ多くて、ドネーションも潤沢ってわけでも全然ない。お金を払わない人が殆どで、チラッと観てやめてしまう人も多いだろう。かと言って有料にすれば観る人達は益々減ってしまう。その辺も今後の課題だ。
勿論、ライブ文化を絶やさない為にも、リアルなライブ活動は続けなくてはならないと思うが、この困難な状況下で、従来通りの集客力有りきの考えだけでは何の発展も無いし、今後大きな困難が待ち受けているだろう。なので、今のうちにアイデアを練らなくてはならないと思っている。マニアックなアーティストや、まだ無名の若手ミュージシャンにとって、逆にチャンスになるかも知れない。
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