ノラちゃん、さっきから何をじーっと見てるの?
「オバサン!あそこに変なものが居るんです…」
「ん…? あれは何だ…?」 エッ? どれ…?
「ほら、あれですよ! あれ…」 何なに?
「あの緑色の丸いイガイガのやつ…ですよ!」 あ~、あれね…。
「あっ!2つになりましたよ!」 ふふふ…何だと思う…?
「何か、少し怖いです…。もしかして、悪者ですか?」
ううん…触ると痛いけど、悪者じゃないよ!
あれはイガグリ坊主…ほら、いっぱい成ってるでしょ!
もう少ししたら美味しい栗が食べられるよ!
「じゃあ、ボクも食べられますか?」 ん…? ノラは無理かなぁ~。
「え~っ! そんなのズルいです! ぼくも食べたいです!」
そんなこと言っても…無理だから…。
「だったら…ボクが食べられるご飯を下さい!」 また、そこか~い!(笑)
「だって…ボクは食べるためにここに来ているんですから!」
そっかぁ~、そうだよね…。
ネコ食堂を始めて、1ヶ月以上経つけど
いまだに警戒して一定の距離を保っているノラにゃんこ。
写真は撮らせてくれるが
こっちが近づくと身構えて逃げてしまう。
なのに、ちゃっかり…ご飯の時間には窓の下で待っていて
遅いと、「ご飯はまだですか~!」というように
部屋の中を覗き込んで催促してくる。(笑)
こんな姿に毎日接していると
もっと仲良くなれないものかと歯痒く感じるが
なかなかこっちの思い通りにはいかない。
何せノラにゃんこは人に甘えることを知らないのだ。
不意を突くと「シャー!」と威嚇してくるし
先日なんか、網戸越しにちょっかいを出していた夫の
指先を爪で引っかかれてしまった。
まだまだ警戒心を解いてくれない危険人物なのだ。(笑)
ところが昨日…
何と、初めて鳴き声を聞かせてくれた。
1ヶ月ぶりにアメリカから帰ってきた娘が近づいて
優しい声をノラにかけた時のことだ。
微かに聞こえるしゃがれ声で「ミャ~」と鳴いたのだ。
これには驚いた。(笑)
何がどう違うのか、それとも偶然なのか
確かな理由はわからないが…ともかく初めて声を聞いた。
この1ヵ月間、毎日朝夕ご飯をあげている優しいオジサンも
毎週末写真を撮りまくっているストーカーオバサンも
未だかつて聞いたことのないノラの鳴き声を
ほとんど初対面の娘の声かけに応じて発するなんて…。
どういうつもりだ、ノラにゃんこ!(笑)
「だってボク…若いお姉ちゃんが好きなんです!」
あ、そうですか…そういうことね。
オジサンとオバサンは、年とってて悪かったね!(笑)