ノーやん日記パート2

一本の傘

 ここ数日、小雨がぱらついたり小雪が舞う日がつづく。「寒いですね」があいさつ言葉だ。自転車のサドルのうしろにビニール傘を差し込んで用事にでかける。北日本の天候は荒れ模様という。大阪は寒いとはいえ外出に特別な装備はいらない。私の場合、ビニ傘一本でことたりる。花壇の見回りをここ数日サボっていた。けさ、マンションの管理員Mさんが、一本の洋傘を自宅に届けてくれた。柄に私のネームがあるのを見て、花壇に見回りにきて忘れていったのだろう、と思ったらしい。骨組みのしっかりした傘だ。うちの傘立てにあるのはビニール傘ばかり。こんなりっぱな傘は買ってもらってもすぐどこかへ忘れてくるから我が家にはない。はて?
 このマンションにもう1軒同姓の家がある。「心当たりがなければ燃えないゴミで出してください」という話だったが、訪ねてみると「うちの傘です」「ありがとうございます」の返事。やれやれだった。傘もゴミにならずに済んだ。1本の傘にも労働の汗の結晶が詰まっている。ものは大事にしなければいけない。はたと気づいた。子どもの頃、ご飯ひとつ粒残しても、お百姓さんの汗の結晶ですよ、感謝していただきなさいとよく教わった。傘だって同じだ。傘にネームを入れて大事にされているお家に敬服した。人の親切はありがたい。いろんなことを考えさせられる。傘を粗末に扱う風潮は最近のことではないか。片手ワンタッチで開き自転車のりには透明で安心感のあるビニール傘。いつのまにか傘を粗末に扱うようになっていたわが身を恥じた。百均のビニ傘といえども大事にしよう。大阪は月末も雨降りがあるらしい。
嘆くもの地にうづくまる雪催ひ 舟月
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