容疑者は、施設在職中から「(施設利用者は)安楽死させるべきだ」と語っていたという。警察の調べにも「重複障害者を救ってあげたかった。後悔も反省もしていない」と供述しているという。重度障害者の生命、存在じたいを否定する思想ではないか。存在しない方がよいいのちなどない。しかし、容疑者には「生きているのが可哀そう」と映じているようだ。障害者の生きる権利を否定する思想がどうしてうまれたのか。
障害者の権利条約(2006年)は、すべての障害者の「生命の権利」(第10条)を定めている。社会のバリアフリー化、ノーマライゼーションの考え方もアメリカをはじめ広がりつつある時代。日本では1960年代にコロニ―建設など隔離政策が進行したがノーマライゼーションの思想はどう定着しているのだろうか。預ける親族や施設側の心持ち、生活事情はどうなんだろう。つぎつぎ疑問が募る。
容疑者が、障害者の殺害を予告する内容の手紙を衆院議長に手渡そうとしたことも分かった。「大麻精神病」や「妄想性障害」などと診断されていたともいう。
2008年6月、7人が死亡した秋葉原通り魔事件でも犯人は殺人を予告していた。2001年6月の大教大付属池田小の8人が死亡した無差別殺傷事件以来、凶悪な無差別殺傷事件が続いている。ことはいのちの尊厳を重んじる社会の形成にかかわる問題だと思う。あれこれ考えていたら障害者団体が「凶悪残忍な犯行」を「優生思想に基づく行為」で「到底許すことはできない」と声明を発表したというニュースがネットに載った。(写真上=オクラの花)
ありんこの屍骸をはこぶ重さかな 昇龍子
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ノーやん
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