目には青葉口には海鼠

　晴れのち曇が広がる。「いいお天気ですね」「ちょっと冷えますね」。同じ棟の奥さんと朝のごあいさつ。お昼前、歯科へ定期健診。「お変わりありませんか」「左下の歯がものを噛むと違和感を覚えます」。コンコンと叩くがその程度ではなんともない。「歯茎はしっかりしているし外見からは異常は見当たりません」。歯科医のご意見なので経過を見ましょうか、ということにした。

　きょうは大岡信さんの「新折々にうた４」をもって外出。歯科の待合で読む。「目と耳はいいが口には銭が入り　誹風柳多留」。この古川柳、山口素堂の「目には青葉山時鳥初鰹」のもじり句という。青葉を見るのも時鳥の声を聞くのもタダやけど初鰹で一杯には金が要るでえ。それはその通り。

　わが輩は初鰹より海鼠がいい。4丁目の魚屋に「おっちゃん、海鼠置いてえへんか」「う～ん、ないな」。俄かに食い意地がつのり、ざる蕎麦でお昼をしたあと天満へ海鼠探しに行く。あった。天満の商店街に進出した安売りスーパーで1パック298円の青海鼠。いつの間にこんなゲテモン趣味になったのかな。

　酒好きは青赤海鼠追いかける　昇龍子