ノーやん日記パート2

オープンスペースについて

 いろんな人の話をよく聞くこと。その大事さ、ありがたさを考えさせられた。人間の知恵でこんな都市づくりもできるのかという驚きを覚えるグローバルな話を、ある大学の準教授の講義で知った。今回の園芸講座は、「オープンスペースについて」というテーマだったので、建物や土地の空間利用の話かなと思っていたら大違い。地掘りした炭鉱の跡を湖にしたり工場跡地を森にするイギリスのコミュニティフォレストというプロジェクトの話。NPO、市民団体が長い年月かけてとりくんでいるそうだが、残念ながらいまの日本では考えられないようなドラスティックな発想だ。スライドでその移り変わりを見せてもらった。ドイツでは、空家が増えた高層の住宅を低層に改造しそこに住みつづけたい人を集めてまちを再生しているというスライド。フランスのストラスブールでは、都市交通を車椅子も乗れる新型路面電車に切り替えマイカーを都心に入れさせない思い切った道路改造が行われたスライド。高齢化社会に対応した交通政策が予想に反して若い人の利用を増やす結果になり商店の人たちが喜んでいるという話も興味深かった。韓国ソウルでは、高速道路を取っ払って清渓川を復元するプロジェクトがすすんだスライド。いま川べりに若いカップルが集まるまちに変貌したという。スライドはどれも改造前と改造後の姿を映していたので、みんな興味津々だった。質問も次々出た。講義は、21世紀の日本や先進国は確実に人口減少に向かう中、これから開発一辺倒の志向でいいのか、オープンスペースを考えたまちづくりへ転換するチャンスではないか、という話だった。ひるがえって「中之島」はいまどうなってるか、水遣り当番の話題になった。「高速道路が上を走り、昔はアベックが集まる場所だったけど、いまはブルーシートの人たちのねぐらになっていますよ」「川の上の高速道路なんてぶさいくやねぇ」。水上バスはもう見かけない。巨大ビルに囲まれて公会堂も図書館も日銀もかろうじて昔の面影を残しているが、人のくつろぐ空間は狭められていく。京阪電車の中之島線が延伸したらどうなるのだろうか。人工物が地上も地下も埋め尽くし、オープンスペースが消えていく。ここらで大阪もあたらしい方向に大胆な発想の転換をするときではないか。
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