(た)のShorinjiKempo備忘録

※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。

諸手巻抜と諸手輪抜

2025年01月10日 | 柔法
備忘録、という事で今まで少林寺拳法(以下SKと略す)について考えてきた事を、自分がボケる前に記しておこうと思うのですが、ブログの説明に書いてある通り、
※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。
SKの技について考察はするのですが、もし本部の公式見解と矛盾していたら、私の方が間違っていると考えて頂いて差し支えありません。個人の備忘録ですから。。

     ◆     ◆     ◆

諸手巻抜と諸手輪抜は、旧・科目表では初段科目で習得した龍王拳(抜き技)の法形です。攻撃は共に一本背投げとなっています。因みに柔道では「一本背負い」と言いますから、「一本背投げ」はSK独自の呼称のようです。

守者の片手に対して攻者が両手を用いて掴んでくる法形を、
(正式な呼称ではないかも知れませんが)「諸手技」と言います。
級拳士科目では諸手技は、諸手切返抜三角抜諸手突抜諸手十字抜諸手引抜がありました。1級拳士が習練する初段科目では、諸手巻抜諸手輪抜諸手押抜の3つです。

     ◆     ◆     ◆

片手技では内手首/外手首を握り、基本的には引く攻撃が多かったですよね。変化技として押したり振ったり捻ったりしていました。
SKの諸手技では基本的には、攻者は「身体を入れて回転攻撃を仕掛ける」と考えるのが良いと私は思います。攻者は両手が塞がっているので、ただ掴んで終わりという事はない訳です。足がありますから蹴るかというと、諸手攻撃で蹴りはやりにくい。
守者の表側、所謂「懐(フトコロ)」に入って一本背投げを仕掛けたり、脇下を潜ってハンマー投げ(切返投げ)を仕掛けたり、それとは反対に捻って逆天秤、或いは片手投(≒合気道の四方投げ)を狙ってくる訳です。

それら回転攻撃の攻撃線を見切って鉤手守法を取る訳ですが、現在は諸手巻抜と諸手輪抜でも、一本背投げに対して(通常の)鉤手守法から行なっている道院が多いようです。
攻者の攻撃の仕方(腕の使い方)によって、諸手巻抜と諸手輪抜を使い分けます。
具体的には、攻者が肘を張って寄り身体に引きつけるようにして背負ってきた場合は、諸手輪抜を行ないます。攻者の開いた両腕の間に肘を入れて抜く訳です。これは片手寄抜+(片手)小手抜の形だと言えます。
一方、肘を伸ばして引っこ抜くように一本背投げを狙ってきた場合は、両肘の間に守者が肘を入れられませんから諸手巻抜をおこないます。これは片手巻抜の延長上にある技法です。低目に守れた時、攻守が離れた場合には諸手巻抜の方がやり易いと思います。

それぞれの抜きには難しさやコツもあるのですが、今回は割愛します。

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先程「(通常の)鉤手守法から行なっている道院が多いようです」とわざと含みを持たせた形で書きました。というのは、一本背投げに対しては鉤手守法<advance>と申しましょうか、握られた方を前にした鉤手守法から順蹴で中段蹴りを入れて攻者の動きを止める、という方法も立派な正法(公式な基本法形)だからです。
旧・少年部科目表にも、諸手巻抜の欄に「鉤手守法・中段蹴」と書かれており、この方法を知らない拳士には中段蹴りの意味が解らなかった様ですが、現在の「少年部修行科目表」には写真を元にしたイラストで、諸手巻抜・諸手輪抜共にちゃんと前手での鉤手守法を行なっています。

では実際この方法がどの位修練され、行なわれているのかと申しますと、私自身はこちらを基本法形としてやっているのを見た事がありません審判講習会で「これもアリ」という風に、口頭で軽く触れた事はありました。

何故この方法があるのか。私の考察では、通常の鉤手守法は時として背負いには弱い場合があるから、或いは柔道家の背負いに通常の鉤手守法が間に合わないから、だと思っています。
或いは「一本背投げに対する大車輪の後の処理」を表している可能性もあると考えます。

では現在、何故この方法は一般的には行われていないのか。私の考察では、「一本背投げに対する大車輪」同様、出来ない拳士が多いからだと思います。SKも高齢化や子供たちの基礎体力・運動能力の低下があり、こうしたちょっと難度の高い技術は普段の稽古でも敬遠されてしまっています。しかし間違いなく存在するし、科目表にまで載っている修練ですから、ヤル気のある拳士には是非チャレンジしてもらいたいと思います。…


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