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『ユダの福音書』は、(略)既にその当時から存在を示唆されていた。その記述によれば、イエスを裏切ったイスカリオテのユダが実はイエス・キリストの弟子の中の誰よりも真理を授かっており、「裏切り」自体もイエス・キリスト自身がユダへ指示したものであるとしている。
(略)
しかし、2006年4月のナショナルジオグラフィックの発表によると、1970年代にエジプトで発見されたパピルス冊子の解析が進み、それが『ユダの福音書』のコプト語写本断片であると分かったという。
(Wikipedia「ユダの福音書」)
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ユダの福音書は、後世のローマ人キリスト教者(パウロ教者)たちの編纂から免れた貴重な資料です。
全体の85%ほどが解読され、日本でも出版されています。
本日は、イエス・キリスト(イッサ)が磔にされる直前の時期の、イエスと弟子たちの様子を見てみたいと思います。
例によって、まるぞう翻訳です。
とにかくユダの福音書に描かれているイエスは本当に良く笑います。
いつも冗談を言って周囲を笑わせ、そしていつも微笑んでいる人物でした。
過ぎ越しの祭りの三日前のことでした。
(✳︎ 最後の晩餐はこの三日後の過ぎ越しの祭りの晩です。)
イエスの弟子たちが着席して感謝の祈りを捧げているところにイエスが入ってきました。
皆の熱心な祈りの様子を見て意味ありげにニヤニヤしています。
先生がこのような態度を取る時は何か面白いことを思いついて、しかしそれを黙って心にしまっている時でした。
ですから弟子の一人がイエスに尋ねました。
先生、なにか私たちの祈りに問題でも?
いいえ。すみません。みなさんがあまりにも真剣に祈りを捧げている雰囲気に押されてつい笑ってしまったようです。
しかしもしここに神様がいらっしゃったのなら、やはりあなたたちの様子をご覧になれば、微笑ましくお笑いになったと思います。
みなさんは戒律を真面目に守れば守るほど神様に近づくと思っています。
神様に近づきたいと思えば思うほど、真面目に真面目に戒律を守ろうと呼吸一つにとっても厳密に行おうとします。
しかしあなたたちは神に近づこう近づこうと努力すればするほど、あなたたちの真の神から遠ざかっているのです。
神の息吹とはこの家の外の春の風のようなものです。柔らかくて自由な風なのです。
私はその外からこの家に入って来ると、大の大人がこんなに大勢集まって、外の風を閉め切った暗い部屋の中で一生懸命に祈るの見て、思わず可笑しくなったのです。
でも先生、私たちの神に対する思いは誰よりも真剣です。
真剣であればあるほど神から遠ざかるとはどういうことでしょう。
私たちは先生の教えてくださる唯一無二の神を信じ、その神を讃え感謝する祈りを行っていたのです。
先生の仰る「遠ざかる」という意味がわかりません。
わかりました。
では私が信じる唯一無二の神を説明できる方はおりますか?
自分たちが信じる神について説明できる方はおりますか?
弟子たちはみな説明はできると思いました
なぜならいつも自分は家族や知人などに唯一無二の神について語っていたからでした。
しかしいざ自分が先生の前で説明するとなると、言葉が出て来ません。
どの言葉も先生の受け売りであったり、モーゼの律法の受け売りであったからでした。
あれほど神の存在について疑いもなく確信していたのに、それは全て表薄な受け売りでした。
そんな沈黙の中、ユダが静かに立ち上がりました。
ユダは自らの胸に問うがごとく、目を伏せながらイエスに答えました。
先生。神とは、唯一無二の神とは、
言葉で説明することの出来ない存在です。
イエスはユダのその回答に大変満足しました。
彼は自分自身の意志で神を感じていたからです。
彼は自分(イエス)亡きあとも自分を偶像化することなく、民衆に神を説くことのできる人物でありました。
自分の存在や言葉が抹殺されても、あるいは正反対に書き換えられることがあったとしても、
この弟子は自分(イエス)の使命を、自分の亡きこの世界で託すことができる。
そうイエスはそう確信しました。
その後、このユダの福音書は以下の結末で非常に唐突に終わりを迎えます。
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彼らはユダに近づいて言った。
「お前はここで何をしているのか。お前はイエスの弟子ではないか」
ユダは彼らの望むままに答えた。そしていくらかの金を受け取り、彼(イエス)を彼らに引き渡した。
(終わり)
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つづく。
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上記は静止衛星軌道上で観測される太陽からの電子密度グラフです。急な変動がある場合は地震や事故に備えて防災意識を心掛けましょう。特に注意が必要な期間は、メールやTwitterで防災意識リマインダーを受け取ることができます。詳しくはこちら。
おひさま、ありがとうございます。