あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

消費税増税問題,実はこんなところにも波及するかも

2009年02月15日 11時06分27秒 | 増税問題
3年後に消費税を10%にしようかどうかなどという点で物議をかもしていますが,一方で経団連は消費税を17%くらいまでするかわり,法人税を30%以下に減税するなどの案が提唱されています。

豊田市の法人市民税96%減 トヨタの業績悪化直撃(共同通信) - goo ニュース

法人税減税後の地方自治体の姿が見え始めた

以前,私が書いた「企業城下町の生きる道は」で,企業法人事業税のみに頼っている地方自治体に対し警鐘を鳴らしたところですが,実は今回話題になった消費税増税問題と抱き合わせで法人税減税も視野に置かれており,おそらく消費税増税が具体化すると,かなりの確率で法人税は減税されると思われます。減税の理由は,「国際競争力の強化」と「企業経営の健全化」ということのようで,経営者側は当然の話として,消費税云々とは別次元で法人税減税を強く求めています。

ここでは,話がそれるので消費税や法人税の増減税についてのコメントは避けますが,仮にこの政府案が実現したと仮定すると,消費税増税により法人税が減税され,法人税が減税されると地方税である法人事業税も減税に回ることになります。
さて,本題はここからで,法人事業税が減税される,っていうことは当然地方自治体の税収が減るということになります。
その影響がどの程度あるのか,っていうことを検証できるのが,皮肉にも来年度予算なのではないでしょうか。特に,企業城下町は大幅に法人事業税が減少し,町の歳入の根幹にかかわることになっているため,財政への影響が甚大なものといえるでしょう。
もちろん,政府も,地方への権限委譲や消費税からの地方割り当て分を拡大するなどしてその分のフォローをするとは思いますが,企業城下町にはたくさん割り当てる,っていう仕切りは結構難しいのかなと思いますし,国から割り当てるってなると,最近問題となり始めた地方自治体の謀反の際に,このお金をちらつかせて落ち着かせるということをやりかねません。

消費税増税問題は,こうした影響も含め,もっとしっかりと議論するべきでしょう。もちろん,税制体制を総合的に見直すとは言及されていますが,法人税減税の話はあまり表に出てきていませんので,こうした影響もちゃんと指摘し,地方自治体の意見なども十分に考慮して見直すべきはしっかり見直すべきでしょう。
いずれにせよ,来年度の地方自治体予算,そうした検証には本当にもってこいです。この調子で事業を続けていくとどうなるかなんていうシミュレーションもぜひ行うべきでしょうね。

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玉虫色ながら増税確定した消費税

2009年01月24日 23時52分53秒 | 増税問題
自民党は,税制関連法案の附則に消費税増税について記載することについて,概ね了承することになりました。ただし,2011年に増税という形ではなく,2011年度までに必要な法制度を整備するという二段階方式を付記することになりました。一部議員からは,「玉虫色の決着だ」などという意見も出されましたが,このまま法案として提出される見込みです。

消費増税「2段階で」 政府案を自民了承、反対派も容認(朝日新聞) - goo ニュース

とはいえ消費税増税確定

今回,政府与党は,「あくまでも今後の経済情勢などを踏まえて,3年後を目安に法案を作成し,そこで消費税率の変更などを検討する」ということで,「直ちに増税にはならない」と説明しています。
しかし,これまでの政府与党の手法を踏まえると,ほぼ確実に3年後には消費税率の改訂,すなわち「消費税増税」になると思います。そのシミュレーションは次のとおりです。なお,今年の選挙で,自民党が与党になり続けた場合と,民主党が与党になった場合,両方のパターンで検証します。

自民党が与党の場合
1 今年の選挙では公約に消費税増税について「消費税について総合的に検討する」的な表現にしてあったとしても,選挙に勝ったことで「消費税増税については,国民の信任を得た」と説明する。
2 2011年の景気については,対前年度の伸び率(おそらく2010年くらいが景気の底)などの数字で「ほーら,景気が回復し始めた」と説明し,あたかも「景気が良くなった」と説明する。
3 「これはすでに法律に書かれたことなので,今の政権でそれを粛々と進めるだけ」と増税の責任は現政権(麻生政権)のせいにする。
4 「とにかく,今お金がない」を強調する。そのために,意図的に2011年度の当初予算では,福祉関連費用と教育関連費用を大幅に削減する(見せしめ的削減)。

民主党が与党になった場合
1 選挙公約で「消費税増税はやらない」とうたっていたとしても,国会で野党に下野した自民党から,「消費税の見直しをしないことは法律違反だ」と批判を受ける。
2 財務省を中心とした官僚からは,「消費税を上げないと予算が組めない」という議員レクを繰り返し行われ,民主党議員の洗脳を始める。
3 自民党地方議員を中心に,「消費税が上がらないから地方の経済がよくならない。もっと地方に金を回せ。」というネガティブキャンペーンが展開され,結果,地方の民主党議員もその動きに同調せざるを得なくなる。
4 「消費税増税法案を出さないと審議拒否だ」と自民党が言い,国会は完全に空転する。一方,2009年の税制関連法案の附則については,これを削除しようとしても「附則を改正することが国民生活に意味があるのか」などという批判が自民党から出され,これまた国会が空転する。結果,民主党としては,消費税に関する何らかの法案を出さざるを得なくなる
5 しかし,すると国民から「公約違反だ。それなら総選挙で国民の真意を問え。」という意見が強く出始め,自民党もそれを後押しするため,衆議院解散を余儀なくされる。
6 その選挙,どっちが勝っても,「やっぱり増税」になる。

とまあ,以上が想定される動きです。
自民党政権が維持されれば,「国民の信任を得た」という言葉を繰り返し使い続けるでしょうし,民主党政権になった場合は「消費税について検討しないのは法律違反だ」を繰り返し使い続けるでしょう。
つまり,一見すると「単なる玉虫色的な附則の文言」にすぎない今回の法案は,実は,3年後の消費税増税にとって大きなくさびになり,かつ民主党政権になったとしたら,それが大きな足かせになってしまうのです。
そして,これに近いシナリオまでは,政府与党は既に用意していると思います。自民党の部会はアトラクションの一つにすぎませんから。

このシナリオどおりにならないためには,「次の選挙で公約をきちんと確認する」しかありません。抽象的,あいまいな表現の候補者や政党は選択しないなどという自分なりの基準を作って選挙に臨むべきです。しかも,結構カギを握るのは,「地方議員」です。彼らがどんな考えを持っているのか,こうした点についてもちゃんと把握しておく必要があります。地方議員の場合,義理で投票することが国政選挙より多いかと思いますが,安易な義理投票は,場合によっては自分の首を絞めることになります。
逆に,いつもいいますが,選挙に行かないということは,「消費税が何パーセントになろうとも,保険制度がおかしくなろうとも,変な施設が作られようとも,年金が消えてなくなろうとも一切文句は言いません」ということに等しい行為です。

もちろん,消費税増税を一切許さないとまでは言いません。ようは,「本当に必要な増税なのか」と「増税の場合,バーターとして国民負担を軽減できる政策はあるのか」などを真剣に議論した結果であれば,多くの人たちは納得するでしょう。

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作りすぎた空港の面倒は税金で賄っちゃいますね

2008年08月18日 01時23分57秒 | 増税問題
国土交通省は,経営状態の厳しい地方空港や周辺地域の活性化を図るため,地域振興策としての交付金制度を創設する方向で検討しているようです。これにより,地元の活性化と経営不振の地方空港の建て直しを図るとのことです。

地方空港活性化ねらい交付金 国交省が制度創設へ(朝日新聞) - goo ニュース

選挙前のばらまき政策か?

この交付金にいくらかけるつもりか分かりませんが,この政策,どう考えても「経営ミスの尻ぬぐい」にすぎません。つまり,安易に作りすぎてしまった空港政策,それ自体が誤りだったということに他ならないのです。
確かに地方空港は採算が採れないことが最初から想定される一方で,地域振興のために必要な場合があることは事実です。しかし,だからといって各都道府県に作ればいいってものではありません。また,地域振興策のために空港を作るのであれば,撤退する航空会社を引き留め(経営補助金などで),飛ぶ飛行機を維持するべきなのです。飛行機が飛ばないで,お金だけ地方に交付するのは,「単なるばらまき」と思われても仕方ないでしょう。
むしろ,空港の維持費もバカになりませんし,この維持費の一部は地方自治体も負担しています。であれば,安直に交付金を出すのではなく,「廃止を含めた見直し」を行うべきでしょう。当然,航空政策もしっかりと見直しべきです。

一度作った空港をつぶすのは地元の反対もあり大変かもしれません。しかし,しっかりした検証根拠に裏付けられていれば,説得はできるでしょう。そして,何よりも,撤退した航空会社も戻ってくる可能性すらありますから,それで本来の目的たる地域振興も可能となるでしょう。
「作ったものを全部維持する」ためだけの交付金は,単なる税金のばらまきです。しかも,飛行機が飛ばない限り,それは決して地域振興になりません。ばらまいた税金がどこに行くかというと,結局巡り巡って地元議員の懐に戻ってくるだけです。

「この交付金で空港が良くなる」「我が町が景気よくなる」という幻想は抱かない方がいいでしょう。しつこいですが,この幻想が本当のものになるのは,「飛行機が飛ぶ」ことが絶対条件です。
むしろ,不要な空港を廃止して,自治体が負担している税金の支出を減らし,それを経済対策に回した方がよっぽど地元住民のためになります。
もっと言えば,交付金を出すと言うことは,その分の財源を捻出するわけですから,増税が別の経費を削るしかありません。金額が大きいので,削るのは,「土木費」か「福祉費」くらいしかありません。とすると,結局,自分たちの生活に直撃する可能性が高いのです。
目先のアメに騙されないよう,しっかりと考えておきましょう。

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漁業者の燃料代補助へ,さすが支援者には動きが早い

2008年07月29日 02時16分51秒 | 増税問題
先日,漁業関係者の一斉ストライキがありましたが,それを受けて水産庁と自民とは,燃料費増額分の約9割(総額745億円)の支援を行うことを決めました。
また,貨物業者に対する同様の支援も検討しているようです。

燃料費増加分の9割補てん 省エネが前提、漁業者支援策を決定(共同通信) - goo ニュース

みんな自民党支持者ですからねえ

まず大前提として,「漁船の燃料には道路特定財源になる税金は含まれていない」ということがあげられます。つまり,いわゆる車の燃料より安く仕入れています。そりゃ,当然といえば当然の話ですが。
したがって,燃料費高騰問題とガソリン税問題は必ずしもここではリンクしません。
その上で,漁業関係者に対する支援それ自体は確かに必要だと思います。しかし,この問題,果たして補助だけですべて解決するでしょうか。
この背景にあるのは,単に燃料費が高いということだけではなく,「魚の需要が減っている」ことと「世界レベルの漁業協議に日本が負けっぱなし」という点に大きな問題があるのです。そういう点を考えないで,単に補助だけするというのは,ものすごく安易ですし,いうなれば「税金の垂れ流し」にもなりかねません。
もちろん,漁業関係者の生活の援助は急務ですから,さしあたり今回の補助をすること自体は必要でしょう。ただ,政治家として考えるべきこと,それは「この財源をどこから持ってくるか」という点です。745億円というのは相当な金額です。そして,今回の補助は明らかに「生活支援」にあるわけですから,筋としては「所得の再分配的機能」を基本に財源を確保するべきです。
すると,持ってくるところ,それは「法人税」と「所得税の最高税率のアップ」という点になるでしょう。間違っても,「消費税」や「所得税全体の増税」,さらには「ガソリン税アップ」なんていう方法で財源を持ってくるべきではありませんし,削減する先も同じ目的の福祉関係をばっさり削るという方法は相当ではなく,大きな道路や箱ものの事業延期や廃止で対応するべきです。
さらに,トラック業界への補助も検討しているとなるぞ,ますます財源確保が求められてきます。

しかし,この一連の動き,早いですね。それはそのはずで,漁業組合やトラック協会はいずれも「自民党のスポンサー」ですから,彼らの声を無視することができないのです。
まして,間もなく選挙だといわれている現状においては,この団体をないがしろにすることはできないのです。それどころか,ここで恩義を売らなければ議席確保すら危うくなります。
何事も早く動くこと自体はいいのですが,やるからには後先を考えてほしいと思います。当然,燃料高騰で困っている業種は他にもたくさんあります。漁業とトラックだけでなく,他の業種にも当然補助するべし,なんていう話は出てくるでしょうし,何よりも「国民一般の生活」に対する何らかのフォローをしてくれ,という話も飛びだしてくるでしょう。
はたして,支持者以外の業種や一般の人たちに対してはどのようなフォロー策を持ってくるのか,期待して見届けましょう。福田政権の正念場になるかもしれませんね。

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まずは借金の整理からでしょう

2008年05月13日 01時12分58秒 | 増税問題
平成19年度末の国の借金合計が849兆円で,去年より約15兆円増加したようです。これを国民1人あたりの借金に換算すると665万円になります。

国の借金849兆円 1人当たり665万円(共同通信) - goo ニュース

一家4人だとしたら一家で2660万円也

今日にでも特定財源10年間継続法案が再可決するという絶妙なタイミングでのこの発表は,少々政策的なものを感じずにはいられませんが,逆に言うと,「これだけ借金があるのに,まだ巨額の道路整備を行うのか?」ということにもなろうかと思います。
前述のとおり,4人家族が抱えている国の借金は,住宅ローンとほぼ同額です。住宅ローン残高が2660万円ある方は多いかと思いますが,その中で「よし,借金返しながらもう1軒家でも買うか」とか「よーし,高級外車でも買うか」と考える人がどのくらいいるでしょうか。
この例でもっと分かりやすく言うと,国民1人あたりの借金が665万円とすると,19年度の歳入が約83兆円(公債費込み)になりますので,国民1人あたりの歳入は,約65万円くらいということになります。もし,公債費を抜いた額(57兆)とすると,国民1人あたりの歳入は約45万円ということになります。
つまり,この借金の額をもっと現実的に言うと,「一家の年収900万円のサラリーマンの住宅ローン残高は1億3300万円」ということになります。これ,破産ですよね。当然,もう1軒家を買うのはもちろんのこと,軽自動車すら買えない状態でしょう。
(この辺については,去年のデータですが,財務省で発表している資料がありますので,これを参考にするとよいでしょう。)。
このサラリーマンの立場なら,「とにかく借金減らさないと」という発想になるはずです。そのためには,もちろん残業をしたり,家族がパートやバイトをするなど「収入を増やす」ことを考えるでしょうが,仮に子供が小さく,パートにもいけないし,会社も経営状態が良くなくてとても残業代も出なければ給料も上がる見込みがないとなれば,あとは「支出の抑制」を考えるしかないはずです。

国の財政はまさにこれくらい逼迫しています。こんな財政状態なのに,それでも「税金集めて道路作るぞー」と言えるでしょうか。まずは,「道路はミニマム整備にして,まずは財政再建させる。その上で,ある程度再建できて,日本の景気が良くなり,税収が増えてくれば,その時点で整備計画を考えよう」というスタンスが普通の発想ではないでしょうか。
「足らないから増税」理論は,「給料安いから給料増やせ」と社長に直談判することと同じです。闇雲に社長に直談判したらどうなるでしょうか。「お前,アホか」と言われるでしょうね。国民だって同じこと。闇雲に「増税」といったら,「お前,アホか」と言うでしょう。
借金を減らす努力がまず大切なのです。

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右からきた税金を左へ垂れ流す

2007年11月11日 00時42分06秒 | 増税問題
会計検査院が18年度の決算検査報告書を提出しました。その中で,税金の無駄遣いや徴収漏れなどの合計が310億円あることを指摘しました。ちなみに,これは去年よりも142億円減少したとのことです。

税金の無駄310億円指摘=「常連」厚労省がワースト-06年度決算報告・検査院 (時事通信) - goo ニュース

無駄遣いの原因は?

この報道をみて,「税金の無駄遣いはけしからん」「これで増税なんてありえない」などとお怒りの方々も多いのではないでしょうか。
確かに,その怒りは間違っていませんし,1円たりとも無駄な使い方などをなくすことが国や自治体には強く求められます。
ただ,この報道からは見えてこない部分があります。それは,「何を無駄といっているのか」と「無駄の原因は何か」という点です。
そこで,この点について少々補足したいと思います。

まず,今回会計検査院が指摘したのは,「法令上の不適切な支出」と「法令上得るべき収入を適法に得ていない」という点にあります。前者の例は,法律上支出してはいけない手当てを支出したものや,法令上の要件を具備しない補助金の支出などがあげられます。また,契約金額の算定がおかしいものなども上げられるでしょう。
一方,後者の例は,理由なく手数料を徴収しなかったり免除してしまったことなどがあげられます。
つまり,会計検査院が指摘したのは,「違法または不適切な収支」についてということなのです。
一方で,「事業それ自体」を不適切ということは,会計検査院の権限にはありません。つまり,「無駄な事業を指摘する」ということまで会計検査院が言うことはできないのです。もちろん,厳密には,重複事業や法令外事業などについて「不適切事業」として指摘することもありますが,いわゆる「これって,税金の無駄遣いな公共事業だよねえ。」といわれるような事業に対しては,ストレートに「無駄」とはいえないのです。
したがって,ここでいう310億円とは,「形式的無駄遣い」にすぎないわけです。
そう考えると,この金額,やはり「氷山の一角」といわざるを得ません。

次に,無駄遣いの原因を考えて見ましょう。
まず,会計検査院が指摘するような「形式的無駄遣い」が発生する原因は,うっかりミスもありますが,「長年の労使慣例」や「法令を知らない」,さらには「何も考えない前例踏襲主義」などがあげられます。さらには,「業者との癒着による調整」なども当然想定されます(契約金額などは,言い値のままにやってしまうなどがその典型例です。)。
これらについては,他の企業同様,国や自治体も「コンプライアンス」の徹底と,「アカウンタビリティ」の充実,さらには会計検査院の権限強化などにより対応することが可能といえるでしょう。言い方を変えると,「情報公開が進んでいる官庁ほど,無駄遣いは少ない可能性が高い」といえるでしょう。

問題なのは,「実質的無駄遣い」の方です。実は,ここに大きな問題があり,そもそも「何をもって無駄遣いというのか」という定義があいまいなのです。
例えば,人口100人の山間の村(途中に大きな川や谷があるとする)と村の中心街を結ぶ道路を作る場合,橋を作り,トンネルを掘るなどしてものすごい金額がかかるとします。一方で,利用するのは村民100人中半分の50人にすぎません。この事例において,「この道路工事は無駄遣いである」といえるでしょうか?結論から言えば,「この情報だけでは無駄か無駄じゃないか分からない」というのが正解でしょう。50人しか使わないから費用対効果に合わず無駄というのはあまりに人の生活を無視した発想ですが,一方でそのために4車線の道路を作ったとすれば,そりゃさすがに無駄でしょうということになるわけです。ただ,「じゃあ,どんな道路なら無駄じゃないのか」といわれると,「事業計画全体見ないと分からない」ということになるわけです。橋の規模は,トンネルの距離は,代替措置の可能性は,道路構造はなどなど多角的に見ていく必要があるわけです。
このように,無駄と有益の切り分けが難しいため,会計検査院は「事業自体の無駄」については指摘できないのです。
したがって,「実質的無駄遣い」を考える上で,まず「ある程度の定義づけ」が必要といえるでしょう。
この辺は偉い先生にお願いすればよいでしょうが,私としてはこのような定義を提案したいと思います。あくまでもたたき台程度で。
1 事業計画の根拠数値が不明確(事業完成における効果が計算式が示されずどんぶり勘定的に出ているとすると,効果は後付の可能性が高い)
2 突然湧き上がった計画(そもそも必要がないのに何らかの事情で急に行うことになったとすると,無計画な事業である可能性が高い)
3 一部有力者(議員など)の要望だけで計画が出来上がった(利権が見え隠れしている可能性が高い)
4 補助金の基準にあまりにピッタリの事業計画である(本来は事業計画に見合った補助金があれば始めてもらえるというものだが,補助金狙いのために事業規模を拡大して補助金基準を満たしている可能性が高い)
5 似たような施設が近くにある(本来は必要ないものが,いろいろなしがらみと妥協の産物として作ることになった可能性が高い)
6 「福祉目的」「人道的」などを前面に出している(福祉関係の事業自体は大切なのですが,福祉目的という名において,実際は単なる「ばらまき事業」という可能性も否定できないため)
以上が私の考える「無駄な事業」の定義です。もちろん,この定義自体も大雑把なので,当然そのまま使える代物ではありませんが,このように定義づけをすることで,「無駄か否か」を考えることができるでしょう。

いずれにしても,無駄遣いはとにかくすべて是正する必要があります。当然のことながら,それを見張るべき議員自身が,まず「自分の周りで無駄なことはないのか」をしっかりチェックするべきでしょう。それがチェックできない議員は,有権者がそれをチェックして「チェックできる議員」に取り替えるべきなのです。
つまり,究極的には「有権者が無駄遣いをしっかりチェックする」ということになるわけです。

私たちは,もっと税金の使い方について厳しく見ていく必要があります。そのためにも,「高いから無駄,安いからいい」などという短絡的な発想ではなく,もっと広い視点から事業などを見ていく必要があるのでしょう。その上で,やはり無駄だという事業に対しては,「無駄遣いはけしからん」と声高に叫ぶことが大切なのでしょうね。

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やっぱり消費税は増税する

2007年07月07日 13時54分09秒 | 増税問題
安倍首相が日本テレビの報道番組の中で,「消費税を上げないとは言っていない」と発言し,消費税増税を示唆しました。これにより,参院選の争点になるとする一方で,官邸サイドでは「税制はもっと幅広い議論が必要であり,消費税増税だけの薄っぺらい議論は争点に値しない」として参院選の争点にしない意向を示しています。

消費税上げ焦点に 首相「上げないとは言ってない」(朝日新聞) - goo ニュース

予想どおりの展開です

この問題は,私が従前から主張していたとおり,参院選の「隠しテーマ」だったのです。今回は,年金問題と相次ぐ閣僚不祥事という問題に完全に隠れてしまったために特に話題にならなかっただけのことで,実際は,昨年秋頃に「消費税増税議論は参院選後に」と明言していったん議論をクローズしていたに過ぎませんでした。

そもそも,消費税増税問題は,前回の衆院選直後にふってわいてきました。当時の選挙マニフェストには「サラリーマン増税はしない」とうたっていたこと,当時は郵政民営化が唯一絶対の争点になってしまったことなどから,増税問題について関心が低いままに投票をしてしまった有権者が多かったのです。ところが,選挙が終わった直後に,「選挙が終われば有権者は奴隷になる」という格言どおり,突如消費税増税話を持ち出したわけです。
今回もほぼ確実に同様なシナリオになります。確かに,単に消費税増税だけが増税問題ではなく,他の税制全体を踏まえて議論することは大切なわけですから,単純に「消費税増税=悪」とは言い切れません。しかし,消費税は庶民生活に一番身近なものであり,かつ家計に大きな影響を与えるものですから,やはりまずは有権者たる国民の真意を確認する必要があるといえるでしょう。
仮に,増税が必要なのであれば,うやむやにするのではなく,むしろ堂々と「こういう事情で増税をする。ただし,こういうメリットがあるため,結果国民生活は良くなる」とはっきり説明するべきです。国民に痛みを伴うような改革を行うときこそ,まずは「説明ありき」といえるでしょう。

ただ,この消費税問題,実は野党たる民主党も「増税容認派」でして,このことは前回の衆院選のマニフェストでうたっています。そういう事情もあり,消費税増税問題は,参院選の争点にしたくないという本音があると思われます。
しかし,民主党としては追い風ムードだからこそ,こういう問題も正面から突破する必要があるでしょう。この問題を回避してしまうと,仮に参院選で圧勝したとしても,「結局民主党も自民党と同じか」と有権者に思われてしまい,その後の選挙で勝つことはなくなるでしょう。当然,政権交代はもってのほかです。

なお,今のところ,消費税増税反対を参院選の争点と明確に掲げているのは共産党だけです。ただし,例によって現実的対案がないことが最大の弱点です。

今回の参院選では,こうした問題も踏まえて選挙に臨むべきでしょう。消費税増税が避けられない現状としては,参院選の選択肢として,「増税反対を主張している候補者を選ぶ」,「増税後の具体的プランを示している候補者を選ぶ」,「増税はあきらめて他の政策で選ぶ」という形になるといえます。

候補者がマイクで話していることだけが公約ではありません。所属政党の主張なども良く吟味する必要があります。あと,確実にいえること,それは「年金問題だけに振り回されない」ということです。政治家は年金だけがお仕事ではありませんから。

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住民税増税?いやいや,違いますよ

2007年06月17日 01時25分57秒 | 増税問題
今年1月から所得税率が引き下げになり,代わって住民税率が一律10%になることとなりました。実質的には増税にならないとのことですが,今月から住民税の納入通知が届いたことから,「なぜ増税?」などの問い合わせが市町村に殺到しているようです。

住民税増で問い合わせが殺到 対応に追われる市町村(共同通信) - goo ニュース

今さら問い合わせしても無駄ですよ

まず,大前提として,この制度は昨日一昨日に決まったものではなく,約1年前に国会で決まったことです。したがって,今さら騒いでもどうしようもありません。むしろ,これに不服があるならば,「選挙」でカタを付けるべきなのです。
また,多くの市町村はずいぶん前からPRを行っていました。したがって,今ビックリしている方は,十分情報を把握していなかったと言わざるを得ません。
といいながら,おそらくビックリしている多くの方は,「ニュースで増税って聞いた」などの類なのではないでしょうか。
確かに,6月から住民税納入が始まることから,このニュースは多く取り上げられるようになりました。しかし,報じ方の大半は「住民税増税へ」の部分だけが強調されていたからではないでしょうか。
確かに,住民税だけを見たら,多くの方は増税となります。しかし,今回の税制は「所得税減税と抱き合わせ」なのです。トータルでは実質増税はないことになっているのです。まずは,この事実をもっとはっきり伝えるべきでしょう。
そして,それだけではなく,報道は世論と形成する役割があるという観点からすれば,「定率減税廃止」と「老齢者控除廃止」に伴い,「国税部分が増税」という点をもっとはっきりと報じるべきでしょう。
その上で,「そもそもなぜこのような税制改革を行ったのか」という点をしっかりと伝えるべきなのです。
今回の税制改革の最大の理由,それは「地方に対する財源の委譲」にあります。簡単に言えば,「地方の政策は,地方の判断でできるようにするために,お金も地方独自で集められるようにしよう」というものなのです。いわば「地方分権」に向けての第一歩なのです。

一部報道では,この制度を「地方で新たな無駄遣い施設が増える」と指摘していました。これは正しくもあり,誤りでもあるといえます。すなわち,「首長の判断」と「議会でのチェック機能」が重視されるといえるのです。しっかりした首長であれば,地方に与えられた権限と財源を有効に使うことを考え,かつしっかりした議会であれば,それを妥当か否か判断します。ところが,いい加減な首長や議会であれば,「お金が増えた」などと勘違いして無駄遣いを容認してしまう可能性があります。
したがって,今回の住民税増税問題から私たちが学ぶべきことは,決して「市役所への苦情」ではなく,「これを正しく使う首長や議会なのかチェック」という点にあるといえます。そして,このチェックとは,最終的には「選挙」なのです。

結局,すべてのことは選挙に通じるといえます。さしあたり,参院選があります。とかく投票率が低い参院選と言われていますが,今回の件についての良し悪しも含め,しっかりと選挙に行くこと,これが一番大切といえます。少なくとも,苦情を言うために市役所に行くよりは100倍以上ましなやり方なのです。

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はい,これ重要だから線引いて

2007年01月20日 11時39分56秒 | 増税問題
やっぱり増税は避けられないようです。

「増税なき財政再建」TV発言を釈明…大田経財相(読売新聞) - goo ニュース

この問題,非常に大切ですから,各党参院選のメイン公約にしてください

前回の衆院選のように,いかようにでも解釈できるような公約は辞めてください。
端的に,「増税するか否か」「増税するなら,何税をどの程度増税する方向で考えているのか」「増税しないなら,どう財政再建をするか」これをしっかり示してください。
増税は国民的議論にかけるべき問題です。

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所得税,最高税率引き上げ検討,増税は当然の助動詞「べし」

2006年07月01日 13時01分08秒 | 増税問題
自民党税調は,最高税率を引き上げることも検討はじめたようです。

livedoor ニュース


当然ですが,増税はもう決まりなの?

以前も書きましたとおり,もし増収を図るのであれば,端的に最高税率を引き上げる方がものすごい簡単でかつ効果が得られます。したがって,20年前のような80%台まではともかくとしても,ある程度の税率引き上げは当然ありといえるでしょう。
ただ,このニュースが出てきたということは,もう所得税増税や消費税増税は「絶対やります」っていう前提なのでしょうか
最近のニュースを見ていると,そのような増税実施を当然の前提として話が進んでいるような気がしてなりません。
自民党の総選挙の時のマニフェストにそこまで書いてありましたっけ?

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