職場の懇親会で上司の悪口を言ったが為に4階級も降格したのは違法だとして,管理職としての地位確認などを求めた裁判で,札幌高裁は1審で認めた地位確認請求を破棄し,降格した男性の請求を棄却しました。男性は上告した模様です。
職場の酒席で上司を批判 「4階級降格は妥当」 逆転敗訴で上告 札幌高裁判決(北海道新聞) - goo ニュース
職場の飲み会に無礼講はない
「今日は無礼講だから,なんでも話して」なんてよく課長が言ったりしますが,多くの社員は,「だからって本当に無礼講にしたらきっとシャレにならない」ということくらい,本能的に察するものです。
そういう意味では,この男性職員はちょっと浅はかだったのかなあ,って思います。
ところで,この判決,1審と2審とでは,懇親会の扱いを大きく変えて判断しています。
すなわち,1審では,懇親会は「あくまでも業務外のこと」としてとらえ,業務外の暴言を理由に降格するのはけしからんということで,管理職としての地位を認めました。
ところが,2審では,懇親会は「費用が組合から出ているため,業務の一環である」ととらえた上で,管理職として節度ある言動が求められたとして,暴言行為を理由とする降格には理由があるとしたのです。
つまり,「飲み会も仕事」と判断したわけです。
さて,この判決,境界線がどこになるでしょうか。今回の場合,懇親会が自費ではなく公費(あれれ,税金で飲んでたってこと?)なので業務の一環としてとらえていますが,例えば,これが各自自腹だった場合はどう認定されるでしょうか。
おそらく,「飲み会を実質的に考察する」という手法に出るものと推測されます。すなわち,飲み会の性格,出席者の構成,欠席者の有無,会費の額,開催場所,開始時間などを総合的にとらえ,事実上強制された飲み会などのように「ほとんど仕事的な飲み会」と認定されれば,業務であると判断されると思われます。簡単に言ってしまえば,「半ば強制的な忘年会」は,例え自腹であっても業務の一環と認定される可能性が高いと言うことになります。
また,仮に飲み会が完全にプライベートであったとしても,上司や会社に対する暴言行為は,それ自体が管理職としての適性を欠くとして認定してよいというのが2審の判決内容です。すなわち,「プライベートであったとしても,うかつに上司批判や会社批判などをしてはならない」という義務が管理職に課せられていると判断できるでしょう。
飲み会では,とかく「人の悪口」で盛り上がります。ただ,職場の人間と飲む場合は,特に管理職である以上,「人の悪口」もつまみにしてはいけない,ということになります。
いずれにせよ,舞台は最高裁に移りました。果たして,暴言上司,どのように最高裁が判断するのか,注目したいと思います。
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TB先一覧
http://fukucat.pussycat.jp/danna/2007/01/post_291.html
http://backy.blog.ocn.ne.jp/kazu/2007/02/post_eb9b.html
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職場の飲み会に無礼講はない
「今日は無礼講だから,なんでも話して」なんてよく課長が言ったりしますが,多くの社員は,「だからって本当に無礼講にしたらきっとシャレにならない」ということくらい,本能的に察するものです。
そういう意味では,この男性職員はちょっと浅はかだったのかなあ,って思います。
ところで,この判決,1審と2審とでは,懇親会の扱いを大きく変えて判断しています。
すなわち,1審では,懇親会は「あくまでも業務外のこと」としてとらえ,業務外の暴言を理由に降格するのはけしからんということで,管理職としての地位を認めました。
ところが,2審では,懇親会は「費用が組合から出ているため,業務の一環である」ととらえた上で,管理職として節度ある言動が求められたとして,暴言行為を理由とする降格には理由があるとしたのです。
つまり,「飲み会も仕事」と判断したわけです。
さて,この判決,境界線がどこになるでしょうか。今回の場合,懇親会が自費ではなく公費(あれれ,税金で飲んでたってこと?)なので業務の一環としてとらえていますが,例えば,これが各自自腹だった場合はどう認定されるでしょうか。
おそらく,「飲み会を実質的に考察する」という手法に出るものと推測されます。すなわち,飲み会の性格,出席者の構成,欠席者の有無,会費の額,開催場所,開始時間などを総合的にとらえ,事実上強制された飲み会などのように「ほとんど仕事的な飲み会」と認定されれば,業務であると判断されると思われます。簡単に言ってしまえば,「半ば強制的な忘年会」は,例え自腹であっても業務の一環と認定される可能性が高いと言うことになります。
また,仮に飲み会が完全にプライベートであったとしても,上司や会社に対する暴言行為は,それ自体が管理職としての適性を欠くとして認定してよいというのが2審の判決内容です。すなわち,「プライベートであったとしても,うかつに上司批判や会社批判などをしてはならない」という義務が管理職に課せられていると判断できるでしょう。
飲み会では,とかく「人の悪口」で盛り上がります。ただ,職場の人間と飲む場合は,特に管理職である以上,「人の悪口」もつまみにしてはいけない,ということになります。
いずれにせよ,舞台は最高裁に移りました。果たして,暴言上司,どのように最高裁が判断するのか,注目したいと思います。
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