尖閣諸島問題で巡視艦に衝突をした容疑で逮捕された中国人船長について,那覇地検はこの船長を処分保留で起訴猶予とし,釈放しました。
一方,中国政府は,今回の措置について「違法であり賠償を求める」との通告をしてきているようです。
謝罪、賠償要求を拒否=外務省幹部「全くの言いがかり」-漁船衝突事件(時事通信) - goo ニュース
この詰将棋,中国の圧勝。日本政府は完璧に読み間違えた。
今回の問題は,実はいろいろ面倒な問題が含まれています。これをごっちゃにしちゃうと議論が単純に「中国憎し」だけにいってしまうため,問題点を簡単に整理して,それぞれに短評(私見)を加えます。
今回の問題点
1 起訴猶予として釈放をしたこと
2 この釈放の措置に日本国政府の圧力があった疑い?
3 中国が行なったフジタ社員4人の逮捕の問題点
4 中国からの経済制裁(レアアース輸出規制)
5 中国からの謝罪,賠償請求について
まず,
1についてですが,実際問題として微妙です。ただ,国際問題が絡んでいることは確かでしょう。
ただし,
ここでいう国際問題とは,「中国と仲良くしよう」ではなく,「尖閣諸島の領有権問題それ自体」っていうことです。
確かに,海上保安庁職員に対し,漁船で有形力を行使して公務を妨害した訳ですから,公務執行妨害として立件すること自体は容易であったと言える案件です。
ところが,これを公判にすると,被告人たる中国人船長は,
「本件は,日本の領域ではなく,中国の領域で行なわれたできごと。だから,公務に該当しない。」っていう主張を絶対にしてきます。
そうすると,
裁判においては,この点について判断しなければなりません。
おそらく,裁判所は,「尖閣諸島は日本の領土である。」と極めて簡単に認定をしたうえでそれ以外の公務執行妨害の構成要件について事実認定をして判決を下すことになるとは思いますが,そうすると,
「尖閣諸島において領土問題は存在していない。」っていう前提自体に対し,裁判所において「領土問題っていうテーマがあるらしいぞ」っていうことをさらすことになってしまいます。これは,政府にとっては面倒な話となりますし,
この裁判の結果は,いろんな意味で中国政府が良いように使ってくる可能性が想定されます(仮に裁判所が領土問題がないっていう当然の法理で片づけたとしたら,それはそれで「ずさんな司法で我が国の人民を処罰した。」などと世界的にアピールするでしょう。)。
だとすると,
これ,起訴すると,あとが面倒なんです。なので,裁判を回避したことが考えられます。
ここは,例のグリーンピースの輩とは事情が違うところです。
2の政府からの圧力ですが,ないというとうそになるかもしれませんが,みなさんが思われるほどの圧力は政府からかかっていないと思われます。
検察庁では,「
検察官独立の原則」があり,起訴するか否かは検察官の判断に委ねられています。これについては,
上級庁の高等検察庁ですらなかなか口出しできません。もちろん,法務大臣も,やたらと指揮権を発動できませんし,内閣総理大臣に至ってはお門違いとなります(もし,首相や法務大臣が起訴するしないに圧力を簡単にかけられるならば,小沢のイチローさんは,今頃もっと気楽に生活しているはずです。)。
ただし,本件は重要案件なので,検事正決裁となるでしょうから,
せいぜい検事正レベルで国際問題に配慮して起訴を見送ったと思われます。もっとも,この検事正が誰かに相談していたかどうかまでは分かりませんが・・。
いずれにせよ,単にそれだけの話で,そんなに深い意味はないのです。
3については,これは確かに基本的には中国の司法問題なので,日本国政府が口出しできないエリアです。
しかし,タイミングが良すぎますし,軍事上の問題といっても,もともと中国から請け負われた仕事をやっていたにすぎないため,
現実的には「人質」とられたにすぎません。
こういう詰将棋が上手いのが,中国なんです(皮肉をこめて)。
ただ,
これこそ,日本国政府は「違法で,謝罪と賠償を求める」と言っても良いくらいでしょう。ただし,人質4名を返してもらってからの話ですが。
ついでにいうと,
日本の被疑者の扱いは比較的良い部類に属します。グリーンピースの船長もその点ははっきり言ってましたので,国際的にもそのように見られています。
今回の4名の扱いについて,
万一,非人道的対応をされていたとしたら,釈放後,日本政府は速やかにはっきりと扱いの良しあしを世界に向けてアピールするべきでしょう。これは,決して内政干渉ではなく,自国民の人権保護のためにも重要なのです。
4の経済制裁ですが,これは商売の世界では仕方がありません。日本の企業が,儲けだけを重視しすぎて中国だけに頼ってしまったツケなのです。経済活動では,リスクヘッジを考えなければなりません。
ただし,
今回の経済制裁,本気でやると困るのは中国側です。良い金づるを失うからです。
なので,内心ホッとしているのは,実は中国側なのです。悪く言うと,「
博打に勝った中国」っていうところでしょうか。
5についてですが,これは完璧に「やくざの因縁」です。日本国政府は,「無視」という対応がベストです。
ただし,中国がなぜこうした因縁をつけてきたのでしょうか。
この因縁をつけると金になるという何かがあるからです。当然,本気で賠償金を払ってくれるとは思っていないでしょう。
では,その何かとは何でしょうか?それは,
「尖閣諸島付近での漁業その他活動の黙認」による経済的利益の獲得です。ぶっちゃけ,船長に対する賠償金なんかより数千倍も儲かる話です。
こうした目論見があるので,言うだけ言ってみるっていう魂胆なのです。
これを国際問題として,まともに扱おうとすると,相手の思うつぼなので,無視に限るのです。
以上が,問題点の整理およびそれに対する私見です。どうみても,今回の対応は,
良し悪しは別にして,中国政府の方が一枚も二枚も上手だったのです。
今回の問題点については,単なる感情論になることなく,日本政府がどのような対応をするのかをきちんと見極めるべきでしょう。もはや,
腫れ物に触るような対応だけでは,逆に相手の国の思うつぼなのです。
それと同時に,
私たちも,こうした諸外国との問題について,もっと真剣に見つめあうべきでしょう。領土問題は,他にも北方領土や竹島問題などがあります。
「日本人が無関心」というのが,各国政府が一番喜ぶことなのです。
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