あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

おいしい道路工事の話(第2章:道路工事のお金の流れ(事業主体が国の場合))(表街道)

2008年02月03日 01時15分07秒 | おいしい道路
今回は,国が事業主体の場合において,工事のお金がどこからどこに支払われるのかを説明します。
 「そんなの税金から業者に払うんだろう」というつっこみが聞こえてきますが,実はそんな単純な流れではないのです。道路だけに「裏街道」があるのです。そこで,今回は裏街道を中心に説明したいと思います。

第1 まずは基本(表街道)
 1 おおざっぱなお金の流れ

   道路の工事については,大きく「道路公団の工事」と「国が直接行う工事」の2種類があります。ものすごく簡単に言うと,前者が高速道路,後者が一般道路の建設を担当します。とはいえ,実質はほとんど変わりがないことから,ここでは便宜上前者の例で説明します。
   まず,国が事業を決めると,道路公団が入札を行い,業者が決まります。そして,業者が工事をして,完成すると道路公団から工事代金が支払われます。
   つまりこういう図になります。
   国→(税金,借金等)→道路公団→(工事代金)→業者
   ちなみに,国が直接行う場合は,国から直接業者に支払われるだけなので,実質は同じような関係となります。

 2 お金の出所はどこか
   では,このお金はどこから出るでしょうか。お金に色を付けるとこのようになります。
  (1) 一般財源(普通に税金から)
  (2) 道路特定財源(ガソリン税,自動車税などの目的税が道路特定財源として指定されており,この税金は道路用に使われる)
  (3) 国債(通常の借金)
  (4) 財政投融資(ゆうちょ銀行の預貯金を借りている)

  もちろん,ほかにも細かい財源はありますが,おおよそこれが国から支払われるお金の内訳となります。
  ちなみに,今大問題となっているのが,まさに(2)の道路特定財源なのです。

裏街道は次回へ

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おいしい道路工事の話(第1章:道路ができるまでの流れの本音と建て前)(本音)

2008年02月02日 02時13分47秒 | おいしい道路
では,いよいよ本音に入ります。

第2 道路完成に至る道(本音)
  前回の流れは教科書にもあるような理想的な道路工事でして,現実にはなかなかこうは進みません。では,現実はどう進むのでしょうか。

 1 古い都市計画
   都市計画道路については,一度計画が認可されると,簡単に変更することはできません。ところが,実は今の都市計画道路の大半は昭和30年代に作られたものが多いのです。したがって,時代の変化にマッチしていない計画のままである可能性も残っています。
   もちろん,計画の見直しを丁寧に行っている地域もかなりありますが,大半は「昔の計画」に従って粛々と道路を造っているというのが実情なのです。

 2 計画道路よりも要望道路優先の原則
   都市計画道路は,計画通り進んでいくと思いきや,議員や有力者,さらにはその時の首長の一存で順序が大幅に変わることがあります。つまり,「結構場当たり的」な工事もあるのです。特に国の大規模道路の場合,議員の力関係が道路工事の順序を決めるといっても過言ではありません。道路族議員が選挙に強いのは地元住民にも,業者にも,官庁にも幅をきかせているからです。
   また,場合によっては変更の難しい都市計画を強引に変えてしまうことすらあります。これは「施設建設」や「想定通行台数」の算定を変えるなどして,「とにかく事情が変わった」などと強く主張するというパターンが多いです。
   一方,地方道路である生活道路については都市計画道路ではないため,ある程度自由がききます。そうなると,どこにどんな道路を造るかはやはり議員や有力者の声を優先せざるを得なくなるのです。
   こうして,都市計画道路は「都市無計画道路」になってしまうのです。究極は,「同じ道路を何度も繰り返し工事する」という事態に陥ってしまうのです。

 3 予算は青天井
   さて,事業認可された場合,通常であれば先に総予算を決めてそれに見合った事業を行います。ところが,実際は逆で,まず設計してみて,そこから予算を決めていくのです。しかも,一度決まると「道路作らなければならない」というmustの法則が働くため,総予算を決めたところで「そんなの関係ねぇ!」となってしまい,どんどん増額していくのです。
   なぜでしょうか?それは「要望道路」だからです。要望でできることが決まると,今度は中身に対する要望がどんどんふくらんでいくからです。
  また,詳しくは後の回で説明しますが,道路を造る際の基準となる道路構造令」がどんどん変更され,道路の規格が徐々に大きなものになっていることも,当初計画を超えた道路建設が進んでしまう要素になっているのです。
  こうして,当初計画予算は絵に描いた餅となり,予算要求額もどんどん増えていくのです。結果,入札の予定価格も当然高くなってしまいます。

 4 契約は実質随意契約
   このからくりは後の回で説明しますが,道路工事の場合,大半は「競争入札の形を借りた随意契約」となってしまいます。もちろん,この業者は首長や議員の息のかかったところです。
   そうすると,形式的な入札しか行わないため,予定価格ぎりぎりで落札することになります。ただでさえ高い予算を組んでいたところにこの結果,当然安くはなりません。

 5 道路設計は業者任せ
   例えば高速道路のような大規模道路の場合,設計や調査はすべて専門の業者に委託します。それはそれでやむを得ないところですが,実は小さな道路の場合も,調査や設計を業者に委託していることが多いです。もちろん,これが直ちに悪いと言うことではないのですが,業者の設計の場合,いろいろなオプションがついている場合が多いため,役所でちゃんとチェックをしなければ「ゴージャス道路」となってしまうのです。
   設計がすべてのキモなので,ここを仕切れない役所は道路予算が増加しやすくなります。

 6 予算が足らなくなったらすぐ補正予算
   実際に工事に着手しますと,普通の契約ならばその契約の範囲内の金額で予定どおりの工事をすることになります。
   ところが,なぜか突然「予算が足らない」と業者が言い出してきます。普通ならば,こんな要求は無視するところですが,一応それなりの理由がついている場合,役所側も道路を完成させるために業者の言い分を聞かざるを得ず,予算の増額(変更契約)を結ぶことになります。
   そして,補正予算において予算増額の審議を議会に通しますが,道路工事という単語がついているだけで,議会は通過しやすいという事情(ここも詳しくはあとで説明します。)から,補正予算はほぼスルーパス状態となります。
  こうして,当初予算以上のお金を業者に払うことになります。

第3 本日のまとめ
   以上が道路工事に伴う本音と建て前です。
   本音部分について,なぜそうなるのかは次回以降さらに構造を説明しますが,いずれにしても,「計画がありそうで実は無計画な道路」となっている点が,道路が無駄だといわれる最大の理由でもあります。
   あとは,業者の言いなり道路も費用がかさむ理由となっています。なぜ言いなり道路ができるのか,それは今後のお楽しみ!

第2章へ

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おいしい道路工事の話(第1章:道路ができるまでの流れの本音と建て前)(建前)

2008年02月02日 01時56分34秒 | おいしい道路
 では,早速本題に入ります。今回は,道路が計画されてから完成するまでの主な流れを説明しつつ,一方で本音部分としてどんな横やりが入ってくるのかについて説明します。

第1 道路完成に至る道(建前)
 1 都市計画

   国や町全体の計画的繁栄を図るべく,都市計画等(厳密にはいろいろな計画がありますが,ここでは全部まとめて都市計画としておきます。)を策定し,その中で必要な道路整備を盛り込みます。
   幹線道路とするのか,生活道路とするのか,あるいはバイパスや高速道路にするのかなどをここで決めます。
   ただし,すべての道路が都市計画道路というわけではありません。むしろ,市町村の生活道路の場合は,都市計画道路になっていない場合が多いです。しかし,これも「住民生活に必要」という視点から整備をするものなので,実質的には計画を立てて計画的に整備していくのです。

 2 事業決定,そして契約へ
   都市計画では,全体的な整備計画を立て,それに従って道路整備も計画的に工事を行います。
   そして,具体的に工事が必要となった場合,事業計画を認可して,いよいよ工事に向けて具体的に仕事が始まります。
   具体的には,まず総予算を設定し,それを踏まえて設計を行います。そして,設計に基づいて道路工事仕様書を作成して入札にかけます。そして,一番安く入札した業者が落札して契約締結します。いよいよ工事が始まります。

 3 工事開始,そして完成
   業者は,仕様書や設計書に基づいて工事をします。そして,工事終了後,役所の検査を経て問題がなければ道路完成となります。そして,業者に所定の工事代金が支払われます。

本音編は次回へ

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おいしい道路工事の話(序章)

2008年02月02日 01時48分48秒 | おいしい道路
 今,国会ではガソリン税の暫定税率や道路特定財源のことで盛り上がっています。「道路は無駄」という意見と,「道路は地域活性化にとって重要」という意見が真っ向から対立しているため,この問題はまだまだ時間がかかりそうな感じがします。
 ところで,道路は本当に無駄なのでしょうか。そう問われると,実はイエスともノーとも言いにくいところがあります。すなわち,まず地域活性化のためには,道路を整備して物流を図ることが非常に大切なことといえます。地方自治体から道路整備の要望が多いのは,利権云々以前に「地域発展のため」という強い思いがあるからです。地域間格差を是正するためには,全国均一な物流を可能にすることが必須となります。そのためにも道路整備は必要なのです。
 一方で,「無駄な道路」などとして誰も通らない2車線道路などをよく紹介しています。こういう道路があるのも事実です。誰も通らない道路は無駄そのものです。誰も通らないのに地域活性化はあり得ないからです。
 とすれば,理想的なのは「ほどよい道路をほどよく造る」ということになるのでしょうが,実は「ほどよい道路」を作るということが簡単そうで難しく,また「ほどよく造る」点については,いろいろな利害関係が伴ってきてこれまた思うとおりにいかないのが実情です。
 そこで,これから数回に分けて,なぜそんなにまで立派な道路を造りたがるのか,どこに着眼して道路を造っているのかなど道路事業の裏話を中心に展開したいと思います。
 なお,当然の話ですが,これからあげる話は本当にごく一部の議員や首長,企業のことであり,大半の議員や首長,企業は真面目に実直に一生懸命仕事をしています。したがって,ご近所の人がこういうことをやっているとは限りませんので,その点は誤解のないようにお願いします。

 今後の予定は次のとおりです。
 1 道路ができるまでの流れの本音と建て前(建前)
 2 道路ができるまでの流れの本音と建て前(本音)
 3 道路工事のお金の流れ(国が造る場合)(表街道)
 4 道路工事のお金の流れ(国が造る場合)(裏街道)
 5 道路工事のお金の流れ(地方が造る場合)(表街道)
 6 道路工事のお金の流れ(地方が造る場合)(裏街道)
 7 道路構造令と補助金が無駄を増やす?(表街道)
 8 道路構造令と補助金が無駄を増やす?(裏街道)
 9 道路工事が景気対策になるの?(表街道)
10 道路工事が景気対策になるの?(裏街道)
11 道路偽装工事疑惑
12 まとめ・・これからどうあるべきか

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