というわけで、前回にひきつづき仕事の振り返り。
販路の見直しやECサイトでの販売を通じて単価があがり、漁業者の収入増につながるという良いことがあった半面、
島外への販売を優先するようになった結果として島内の消費者が買いにくくなるということが起きました。
京都や大阪などの市場へ今までよりも良い単価でアワビを売れるようになり、
単価が相対的に安くなったことでこれまで島の中で購入してお歳暮に贈っていたアワビが手に入らなくなってしまったのです。
都会ではなかなか考えにくいことですが、漁師さんとお付き合いがあればアワビをお裾分けにもらうこともあります。
貨幣経済以外のお裾分けや物々交換が当たり前にある島の中では、その関係性も含めて「豊かさ」を感じることが多いのですが、アワビが高く売れるようになったことで果たして島は豊かになったのだろうか?ということがわからなくなってきました。
(1枚985gの特大アワビ!このサイズは年に1枚くらいしか出会えません)
ちょうどその頃、政府の「まち・ひと・しごと創生」という政策にもとづいて未来にむけた海士町の総合戦略を考える「あすの海士をつくる会」のメンバーになったこともあり、あらためて島の漁業はどうあるべきかを考え直すことにしました。
明日の海士をつくる会(オモテ)
みなさんは「未来年表」というサイトをご存知でしょうか。
未来予測関連の記事やレポートから「○○年に、○○になる」といった情報のみを 厳選し、
西暦年や分野ごとに整理した未来予測のデータベースです。
ここには、「激減する日本の沿岸漁業の生産量が、2050年ごろにゼロになる(現状が続いた場合)」という衝撃的な予測が掲載されています。
そうならないために、「魚がいつまでも食べられる島」であるためには何をするべきかなのかを考え始めました。
あすの海士をつくる会のメンバーには、役場の職員もいれば民間の人もいます。
建設会社の人や大工さん、社会福祉協議会の人、教育関係の人、漁協の人である私・・・
この活動の中で自分自身の仕事と最も関わりがあるテーマが「未利用資源の活用」でした。
地域にある資源を活用して経済効率性をたかめ、さらに地域内経済循環を高めて地域の持続性を高める。
そんなことを考えて着目したのが、価値がつかない小さな鯖でした。
次回はサバの養殖について書きます。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます