石の上にも…

店が暇だと私は家まで真っ直ぐ帰る。
正直、売り上げがないと飲む気にもならない。
年末年始、至上最悪だった上に、急きょ鹿児島行ったからね。

そんな日に家に帰っても、泣けてくるので軽く寄る店がある。

熱燗、大根、牛すじ、玉子のおでん三種、トマト巻き、豚バラ焼きで1150円。
古くて汚い店をオッサンが独りで切り盛りしている。
カウンターを猫が行ったり来たり。
潔癖症には全く無理な店だ。

行く時間にもよるだろうが、私が行く時間には同業者が多い。居てもサラリーマンか自営業者。若い女性はほぼ来ない。

その日は私以外に三人のお客さんがいた。
一人はよく会う同業者。
一人は入社三年生的眼鏡男子。
一人はバイトかな？女子。

バイトかな？女子が仕事の悩みを打ち明けていた模様。
聞いていたけど、バカバカしくて下らなくて考え甘くて、全く口を挟む余地なし。
いつもはよく話す私が、全く口を挟まず飲みに徹した。

しばらくして、女子がそろそろ帰ると言った。

その子にマスターが励ますつもりなのか…
“石の上にも…？”

って言ったんだ。

そしたらその子、言えなかった。
うちら全員絶句したよ。


悩む前に勉強しろ！
美人でもないお前雇ってくれてるだけ幸せだと思えバカ！