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岩籠山に行く。
今年初めての本格的な山だ。降りそそぐ
陽光を受け、身ごなしも
軽快で心も弾むといきたいところだが、登山口付近の里山風景が一変していて衝撃を受ける。
15、6年前、そこは確か、里山であった。
近辺の方が営々と守り育てた田畑がなだらかなに、広がっていた。
畑には季節の物がにぎやかに植えられていたと思う。
しかし、10年一昔というが、時の移り変わりで、担い手はいっそう、老い、通う人もいなくなってしまったのであろう。
あたり一面、荒れ果てて、カヤ場や雑木でおおわれている。作小屋は、もはや朽ち果てる寸前だ。茶色く錆び付いたトタンの割れ目から木の枝が伸びている。
また、それすらも今後、歳月を重ねるごと大地に向かって消え果てていくであろう。
人の手の後として残れるのは傾斜を平らに耕作するための石垣だけになるのか。自然石を組み合わせた素朴な石垣がここに暮らした人を想うよすがとなるのだ。
ニッポン中あらゆるところでこのような状況が繰り広げられているに違いない。
ため息をつきながら林の中に入っていくとまた、愕然とした。
水量も豊富にあった小川が、登山道(山道)に沿うように流れていたのだが、すっかり干上がっていたことだ。
以前登ったときには、両側の
草たちを緑
に勢いよくしたたらせながら、ほとばしるように流れる透き通った小川に、身心共に潤されたものだが、もう、水は一滴も残っておらず、がらんどうになった自然の水路が、回りの植生も追い出して、ただ、土色にえぐれてあるだけとなっていた。
想像もつかないけれど、付随する
多用な生物
がきっと生存を脅かされたであろう。
がはは、と人間(私)が
赤ら顔で
食い散らかし、我が世の春と好き放題、資源をあさり、エンジン鳴らして車
走らせて飛んでまわっているころ、住みかにしていた者どもは喉掻き切られ消えていったのであろう。
行ったこともない砂漠のオアシスを何故かずうーっと思い巡らしていた。
そして、気づいた。ああ、この水路はあの田畑を耕すための用水路であったのだ。
今は、もう耕す人のなくなった畑に水路は不要となり、管理する人もなく、こうなるのは必然だったのだと。
楽しいはずの登山が一転、少し重いものとなってしまった。そんな心を抱え、この冬、ますます重くなった体は、鍛え抜いた皆について行けず、のろのろ、いろんな思いばかりが錯綜する登山となりました。そして、トクワカソウ
はきれいだったけれど・・・。
今年初めての本格的な山だ。降りそそぐ
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15、6年前、そこは確か、里山であった。
近辺の方が営々と守り育てた田畑がなだらかなに、広がっていた。
畑には季節の物がにぎやかに植えられていたと思う。
しかし、10年一昔というが、時の移り変わりで、担い手はいっそう、老い、通う人もいなくなってしまったのであろう。
あたり一面、荒れ果てて、カヤ場や雑木でおおわれている。作小屋は、もはや朽ち果てる寸前だ。茶色く錆び付いたトタンの割れ目から木の枝が伸びている。
また、それすらも今後、歳月を重ねるごと大地に向かって消え果てていくであろう。
人の手の後として残れるのは傾斜を平らに耕作するための石垣だけになるのか。自然石を組み合わせた素朴な石垣がここに暮らした人を想うよすがとなるのだ。
ニッポン中あらゆるところでこのような状況が繰り広げられているに違いない。
ため息をつきながら林の中に入っていくとまた、愕然とした。
水量も豊富にあった小川が、登山道(山道)に沿うように流れていたのだが、すっかり干上がっていたことだ。
以前登ったときには、両側の
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想像もつかないけれど、付随する
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がはは、と人間(私)が
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行ったこともない砂漠のオアシスを何故かずうーっと思い巡らしていた。
そして、気づいた。ああ、この水路はあの田畑を耕すための用水路であったのだ。
今は、もう耕す人のなくなった畑に水路は不要となり、管理する人もなく、こうなるのは必然だったのだと。
楽しいはずの登山が一転、少し重いものとなってしまった。そんな心を抱え、この冬、ますます重くなった体は、鍛え抜いた皆について行けず、のろのろ、いろんな思いばかりが錯綜する登山となりました。そして、トクワカソウ
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