8月になりますと、夏が突然歩みを早める様な気が致します。
見えないところで、そっと秋が準備を始めている気配を感じる事があります。
王様が我が家に来てから三度目の夏。
本日も王様におかれましてはご機嫌麗しく・・・・・
涼しいお部屋の大好きな場所で、こんな具合です。
脱力もいい加減にして欲しい感じでございます。
この姿を見ていると、私まで何もする気が失くなります。
話しかけても完全無視です。
しつこく話しかけると、目だけ動かして一応こちらを向きます。
そして再び、うつろな表情で真夏の夢の中に戻ってしまう王様。
たま~にボールなんぞで遊んでみたりもしますが、
暑いのですぐに放り出します。
私に、『もう疲れたから、遊びたければお前一人で遊べ』等と申します。
4年前の夏。。。。。
飼い主に長い間虐待され続けた挙げ句、見捨てられた王様は一人で彷徨っていました。
暑い日差しの中、水も食べるものも無く。
ある日別の人間が四角い車でやって来て、彼を捕らえ、
シェルターに連れて行き、
狭い檻の中に閉じ込めました。
王様は今でもワンボックスカーに怯えます。
それでもようやく水と食べ物にありつけました。
でもそれから数日後、王様は今日が自分の最後の日だと告げられるのです。
動物にはこれから起こることなど何も解らないなどというのは人間の傲慢です。
間もなく自分の命が終わることを、彼らは必ず知っています。
勿論、殺すために捕まえたわけではありません。
けれども毎日毎日送り込まれて来る同じ境遇の動物達のために、
場所を空けなくてはならないのです。
動物達が安住の地を見つけるのに与えられた時間は、あまりに短いのです。
最期になるはずのあの日、もしも会えなかったら、
王様は今こうして私と夏を過ごしていてはくれませんでした。
私は幸せです。王様に会えたんだから。
だけど、王様はどうなんだろう?
王様から見たら、私も同じ人間なんだよね。
自分を虐めたり、命を終わらせたりしようとした人間のことを今でも思い出すのかな?
辛かったことや怖かったことを、これからもずっと覚えているのかな?
私は戻れるのなら王様が生まれた日に戻って王様を捜し出したい。
しっかり抱きしめて、絶対に腕を離さずに、
あなたは愛されるためだけに生まれて来たのだと伝え続けたい。
『私は、あの日死ねるはずの命を無理矢理助けたのだから、その一生に責任がある。』
これは私が大変尊敬する犬のレスキューをライフワークとしている方の言葉です。
私には、命を預かるという一事において、他のどんな言葉よりも心に響きます。
王様、今からでも遅くないかな?
私は一生をかけて、人間は他の動物を愛することの出来る生き物だと証明しようと思うよ。
だから一緒に居てね。
親の心子知らずの図