今まで行った世界では化け物は見たけど、恐竜とかの格好いいのはみてない。なんかどいつもこいつも生物を逸脱してるというか? そんな奴らばっかりだった気がする。ここの目玉だってそうだ。
てかこの場所にいる目玉は生物ですらないけどさ。なので格好いい生物を見てみたいよね。それに……だ。それに恐竜とかなら脅威でもなんでもないし? 適当に眼下をスキャンしてみると、沢山の生物の反応がある。これは熱源センサーとかにしたら、この場所からも生物が見える。
「おっ、あれは……」
なにか大きな熱源が走ってる。ある程度の形もわかる高性能なG-01のセンサーだ。きっとあれは巨大な恐竜だろう。G-01よりも大きい。せっかく眼科ではジュラシックなワールドが繰り広げられてる。
うずうずしちゃうよ。まあ下手にG-01が関わったら、ここの生態系がどうなるか……というのはある。なにせ、ここでこういう風になんの問題もなく、この世界が維持されてるってのがある意味で奇跡だ。
だってそうだろう。この船はもうなんで動いてるのか? それこそG-01を動かしてるのと同じようなエンジンが積んであるのかな? それこそユグドラシルシステム……それかそれの前進みたいなさ。
でないと説明できないし、それでも世界を維持してるのは奇跡だと思う。どこかで不具合がでて、いつこの世界が崩壊してもおかしくないと思うんだ。
「ええと……データは……むむむ」
私は00(イグゼア)にあるデータを引っ張り出す。この世界の事……そしてどうしたらあの場所にいけるのか? まあこの通路に穴をあけるのが一番ではある。
システムのマニュアルがある私なら、ある程度この船のシステムに干渉して道くらいは作れるしね。道が作れるなら扉だって作れる。この通路の材質は柔軟性が高い特殊な素材で作られてる。
それそこすべからく形状を変えられるような……そんな素材だ。G-01にもそういう素材は使われてる。やっぱり色々と共通点が多い。
「やっぱり色々と守られてる世界みたいだね。私が関わらない方がいいか……」
もったいないけど、下手に私が踏み込んだことで何が起きるのかわからない。だって本当にこの船が生きてるのが奇跡なんだ。もしもなにかのきっかけに私がなったりしたら……それは嫌だよね。
この船の中の世界はどうやら『彼』が必要だと思う世界を再現してるみたいだ。世界を作ることによって、色々な研究を進めてた……みたい。つまりはこの船の世界はすべからく実験台。
そう思うととても悲しい……でも……だ。
「もうずっと干渉なんてなかった筈だ」
そう、彼はもういない。世界はただ維持されてるだけ。実験をする存在はいないのなら、それはモルモットといえるだろうか? この船の中の世界はそれぞれでもう『世界』と呼べると思う。
そんなところに、私が行くのはどういう影響をもたらすかわからない。
「やっぱりまずは中央に行こう」
この船の内部の状況を完全に把握する。00(イグゼア)が強制インストールされたけど、それは予めわたしの様な存在に用意されたもの。この船の現状まで含まれてなかった。
でも中央に行けば、襲ってくる目玉の生産工場とか、この船のエネルギーの源とか……そんなのをもろもろ手に入れることができるかも。ユグドラシルシステムと同じものがあるのなら……それを使えばこの場所から脱出できる可能性もあるしね。
なので私は自身の欲望をぐっと我慢して中央へとG-01の足を向ける。
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