おばあちゃんはいたずらが成功したかのようにその正体を現す。なんか女子プロレスラーからいきなり老体になってしまったわけで、もしもこれが足軽ではなかったら、こんな光景目の前でみたとしても受け入れがたい光景だと思う。
でも足軽は全てを……とまでは言わなくても、そこそこの事はしってる。目の前のおばあちゃんが超能力に目覚めてて、そしてその力で育代として足軽と小頭に接触してきた事……そのくらいならしってる。
「あらら、ありがとう足軽。けどこれは私の趣味じゃないのよ? おばあちゃんには夜な夜な変な格好で出歩く趣味はないからね! ね!」
おばあちゃんは足軽から受け取った布を体に羽織ってなんか必死に言い訳をしてきた。けど確かによく考えたら信頼してたおばあちゃんが夜な夜な裸に近い格好で出歩いてる……と考えるとちょっと距離を置きたくなるかもしれない……と考える足軽だ。
「そもそもね。なぜか家から出れなかったのよ! だからしょうがなく……ね! そうよ! きっと他にもこの町には超能力? がいるのよ! きっとそうだわ! 気を付けて足軽!」
(あっ……)
おばあちゃんのその主張を聞いて、どうしておばあちゃんがヘンタイ女子プロレスラーみたいなことになってたのか……その理由を知った。というか野々野足軽には心当たりがあった。寧ろ心当たりしかなかった。
「えっと……どうやって家から出たの?」
とりあえずそんな事をきいてみる。するとおばあちゃんは再びその体を変化させる。すると老体だった体が成熟といえるくらいまで若返った。10代、20代とは言えないが、30代くらいの見た目だろう。妖艶な美女……という感じになってる。
「おばあちゃんね。若返ることができるのよ。それが私の力。だから私は家に張ってあった壁に対して超能力が干渉できない程に若返ったの。
それで自分がどうなるのか、正直分からなかった。けど嫌な予感がしたのよ。足軽、様子がおかしかったしね」
どうやらおばあちゃんはかなり危ない橋を渡って家から出て来たらしい。それこそ足軽の力が感知できない程に若返ったって……それは胎児とかまでだろうか? それかなんとか赤ちゃんでハイハイしたとか? 実際足軽でも、あの結界がどこまで正確に人物を検知してるのか? とかわかってない。
だってそんな検証はしたことないからだ。でもどうやら力を持った者……超能力者なら、脱出する術があったりするみたいだ。それで限界まで若返ってなんとか足軽が張った結界を出れたけど、服までは一緒に持っていけなかったから、こんな格好になってしまったと……きっと外の小屋とかにあったものをつけてきたんだろう。タオルや長靴ならいくつか小屋とかで見た記憶もある。
「足軽、おばあちゃんを信じて! その子たちは危険じゃないの!」
おばあちゃんは大人の美人なお姉さん風になってそんな事をいってくる。実際それはズルい……と足軽は思った。
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