馬場あき子。
昭和3年東京生まれ。「かりん」主宰。元「朝日新聞」歌壇選者。
歌集「桜花伝承」「葡萄唐草」など。
歌壇を代表する歌人である。
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夜半さめて見れば夜半さえしらじらと桜散りおりとどまらざらん
夜中、たまたま目覚めて外を見ると、そこには激しく花を散らす桜のひと木が。人の営みとは異なる時間の中で、いつまでも限りなく散り続ける花。花が散るという儚いはずの時間が、結句の「とどまらざらん」によって、永遠に続く時間であるように錯覚させる。馬場あき子には桜を詠った名歌が多いが、桜と時間が、分かちがたく結びついている歌が多い。次の一首も桜の巡りの中に、人生時間をしみじみ感じとるという構成になっている。
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さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり
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