いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

新・短歌鑑賞②~とどまらざらん~馬場あき子

2019-06-19 18:04:55 | 短歌


馬場あき子。
昭和3年東京生まれ。「かりん」主宰。元「朝日新聞」歌壇選者。
歌集「桜花伝承」「葡萄唐草」など。
歌壇を代表する歌人である。
……

夜半さめて見れば夜半さえしらじらと桜散りおりとどまらざらん

夜中、たまたま目覚めて外を見ると、そこには激しく花を散らす桜のひと木が。人の営みとは異なる時間の中で、いつまでも限りなく散り続ける花。花が散るという儚いはずの時間が、結句の「とどまらざらん」によって、永遠に続く時間であるように錯覚させる。馬場あき子には桜を詠った名歌が多いが、桜と時間が、分かちがたく結びついている歌が多い。次の一首も桜の巡りの中に、人生時間をしみじみ感じとるという構成になっている。

……

さくら花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり









最新の画像もっと見る

コメントを投稿