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岩田正の歌には、
写生と叙情がバランスよく含まれている。
多くの歌人が、評価するゆえんである。
1首目は、
母を歌うもの。
年を経るにつけ、その感慨は、
身に沁みる。
老境に至っても、
感謝の念が消えることはない。
2首目は、
見た儘を詠んでいるが、
細かな描写が光る。
3首目は、
妻を詠んだ歌。
「背」を見ればさびしく感じられるものだが、
妻の背はいっそう実感をもって歌われる。
4首目は、
相撲観戦の記。
ひょうきんな味がある。
5首目は、
日常の中から
一場面を切り取った歌。
ふだん、何気なく鳴っている音に気づく。
‥‥‥
在りし日もかなしと思ひ死してなおかなしかりけり母といふもの
花分くる花圃のをとめの指の先たれよりもいま美しき指先
見送るは背なをみることひとの背はさびしく愛しまして妻の背
抱き合ひて落下をしたりそのままにしていけばいいに軍配上がる
オヤ遠き祭りの音がきこゆると冷蔵庫の音に耳をすませり
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