しばらく宮柊二の作品と、戦後の生きかたをたどったが、
戦争中の歌は、彼以外の多くの戦士が残している。
宮柊二の「山西省」のような芸術的な高みに達していなくても、
それなりに価値の高い歌は多い。
いずれも、日中戦争時の兵の作である。
……
次々に担ぎこまれる屍体、みんな凍ってゐる、ガツガツ凍ってゐる
背に負へる戦友の御骨に花一枝添へて行軍けふも続くる
銃眼より覗きて見たる眼のまへにうつ伏せに敵の兵死にており
幾列か雁渡る見つつ追撃のいきつくひまぞ故郷思いいるづる
照準つけしままの姿勢に息絶えし少年もありき敵陣の中に
……
こうした作品群を生んでしまった国家のありようは、いかに評すべきであろうか。
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