元・元帥、連合艦隊司令長官山本五十六は、
愛すべき人間であったようだ。
第2次世界大戦開戦のとき、
山本は、連合艦隊司令長官であった。
開戦前、昭和天皇が、
彼に
「アメリカに勝てるのか」
と聞かれた。
山本は、
「いっぺんにやっつけて、勝てます」
と答えた。
昭和天皇は、それを聞いて、
開戦を決意した、
という説もある。
しかし、
実際は、山本は、
開戦などしたくはなかったのである。
彼は、駐在武官として
アメリカに滞在して仕事をしたことがあり、
アメリカの軍事力、経済力を知り尽くしていて、
ホンネとしては、
必ず負ける、と確信していたのである。
では、なぜ彼は昭和天皇に
「勝てる」
と言ったのか。
現役の自衛隊将校であった叔父にそのことを聞いてみたことがある。
「周りが主戦論で、『負ける』などと言ったら、
国が潰れると思ったのだろう」
と、こともなげに答えた。
それが、一番当たっているだろう。
戦前、山本は、あらゆる方法で、
開戦を避けるよう運動していたのである。
しかし、陸軍の抵抗に遭い、
海軍の主戦派が力を持ち、
ということで、
仕方なく開戦論に譲歩した。
連合艦隊司令長官だったから、
仕方がなかったのである。
「戦ったら、必ず負けます」
と言ったら、
開戦派に殺されるだろう。
そこまですることは軍人として恥ずかしい、
と決心したのだと思う。
敵味方の経済力、軍事力のつり合いを考えるのは、
彼の愛した将棋の考え方の基本でもある。
戦争を避けるのにどんなに熱心に動いたかは、
次に述べる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます