「男」を歌った歌 2018-12-15 19:45:45 | 短歌 最近、若い男が 草食動物系になったとは、 よく言われることである。 静かに、 のんびりと 日々を過ごす男たち。 かつての男は、いかがだったろう。 「男」を歌った短歌を 4首挙げる。 ‥‥‥ 固きカラーに擦れし咽喉輪のくれなゐのさらばとは永久に男のことば(塚本邦雄) 父よ男は雪より凛く待つべしと教へてゐてくれてありがたう(小野興二郎) 夏野行く夏野の牡鹿、男とはかく簡勁に人を愛すべし(佐々木幸綱) あけぼのの中なる樫の影太しあな男とは発語せざる樹(影山一男)
寡婦として生き抜いた森岡貞香の歌 2018-12-15 19:23:06 | 短歌 森岡貞香75歳の時の歌である。 をみなふりて自在の感は夜のそらの藍青に手ののびて嘆くかな 1946年に夫を失い、 30歳にしてひとりの子をもつ寡婦となった。 未亡人であり、美貌である作者ゆえ、 世の目を生きがたく感じたであろう。 森岡は、80歳まで生きる。 ‥‥‥ 未亡人といへば妻子のある男がにごりしまなこひらきたらずや 雨に濡れし着物のままにぬくもればいぎたなしわれは泣き虫となりて 流弾のごとくわれが生きゆくに撃ちあたる人間を考へてゐる
浜田到の歌~その2~ 2018-12-15 18:59:02 | 短歌 浜田到は、10代から作歌を始めた。 叙情的な歌の作りと、 新鮮なことばの取り合わせが 見事である。 医師として働いたが、 49歳で、往診の帰りに 事故死してしまった。 生前には歌集を持たなかったが、 中井英夫が認め、 短歌集を出した。 ‥‥‥ ふとわれの掌さへとり落とす如き夕刻に高き架橋をわたりはじめぬ にくしんの手空に見ゆかの味き尖塔のうへに来む冬をまつ 哀しみは極まりの果て安息に入ると封筒のなかほの暗し
牧水の妻若山喜志子の歌 2018-12-15 15:51:27 | 短歌 若山牧水の妻、若山喜志子は、 文学に憧れて、国をでた。 24歳で牧水と結婚。 しかし、 喜志子40歳の時に牧水は死んでしまう。 よく知られているように、 牧水は旅と酒の歌人である。 死してしばらく、 酒のアルコールで、体が 腐らなかったという噂さえあった。 さて、 酒を飲む、 旅に出る、 無職だ、 という 牧水。 喜志子は40歳から80歳まで、 ひとりで 子どもを育てながら、生きる。 80歳に近くなって、 やっと酒の味がわかる「気がする」と歌う。 それが 第1首であり、 他の歌は、心の中の牧水の存在を感じさせる。 ‥‥‥ ひとり出でて旅の宿りに啜りましし酒の味のこのごろ解る気がする にこやかに酒煮ることが女らしきつとめかわれにさびしき夕ぐれ 酒煮るとわが立てば子も子の父も人かこむなり楽しき夜よ 酔へばとて酔ふほど君のさびしきに底ひもしらずわがまどうかな
手話のボランティア~地域にて~ 2018-12-15 13:10:42 | ボランティア わが街で、 手話のボランティアが開催された。 フェイスブックに案内があった。 行政、自治会等で主宰する 催しの楽しみもあるが、 フェイスブックで紹介される イベントには、 新鮮で身近なものも多い。 SNSの便利な一面といえるだろう。 本日は、10名ほどの参加があり、 親も子も楽しんだ。 写真は、手話の講師の女性。
俵万智の青春歌に思いをめぐらす 2018-12-14 22:14:38 | 短歌 ある歌は、 遠い青春の日を 思い出させる。 その時代に 研ぎ澄まして 心に感じたことどもを 昨日のように思い出すのだ。 いろいろな歌人の歌を 紹介するにつけ、 「時代の子」 という言葉を思い起こす。 俵万智の歌。 「スペインに行こうよ」 風の坂道を 駆けながら言う 行こうと思う Runnig up a hill,you saying, "Let's go to Spain!” Yes,let's go. I think‥‥
小池光の歌3首 2018-12-14 21:43:29 | 短歌 先に、 文学と「老い」 について書いた。 具体的な作品を鑑賞しつつ、 表現の可能性を 探ってみよう。 小池光の歌より。 ~あまりにも平凡な日々をかえってうまらなくおもうとき~ 泥棒にはいられたることいちどもなく七十年過ぐ 泥棒よ来よ ~年齢を重ねるにつれて心を通じ合う人が減るのを嘆いて~ この人とゐても話すことなしと思へる人いつしか増えて年とりにけり ~老いを感じつつ~ 二次会に誘はれたれどわれ行かず厭世観につかまれをれば
歌人のとっての戦争 2018-12-14 21:17:47 | 人生 現代では、 すでに 日本人は 単なる 「戦争鑑賞人」 たることを許されない。 今が、戦時でないとしても、 自然災害の恐ろしさは、 人智を超えたところにあるし、 完璧な情報管理もある。 隣国の動きに、 恐怖を感ずることもある。 太平洋戦争後、 歌人は、 頻繁に戦争反対の メッセージを投げかけた。 そのいくつかを ひもときながら、 激しい動きを見せる 世界と交わる覚悟をもとう。 ‥‥‥ 世をあげし思想の中にまもり来て今こそ戦争を憎む心よ(近藤芳美) 戦争を憎むと言へりしかりしかり然りしかりしかうしてきみはどうする(黒木三千代)
文学における老いと死 2018-12-14 20:58:51 | 文学 文学は、 死と老いについても、 語る。 いや、 文学者のみならず。 多くの人が、 必ず死と老いに直面する。 幾人かの人たちは、 夭折し、 自死し、 病死した。 しかし、 幸か不幸か、 生き残ったわれれれは、 人生に残された この問題に直面せざるをえない。 政府高官や医者や法曹になった 多くの友人たちも、 若い時、 多くは、文学を志したり、 そこに慰みを求めたりした。 今、老齢になって、 再び、 誰もが 死と老いに直面する。 文学を志したときと同じで、 そこには 絶対的 個 独 があり、 何人も平等にそれらに 直面せざるを得ない。 成功したとか 財を築いたとか 名誉にあずかったとか、 とは 関係がない。 若い時、 文学の目には、 すべての事象が、 平等に眺められると思ったことを、 振り返りながら。 誰にとっても、 死は平等にやってくる。 文学においては、 すべての価値が転倒することを 思ったように、 死に直面する。 老いや死をどのように表現しようか。
佐藤弓生の歌~その1~ 2018-12-13 23:26:12 | 短歌 佐藤弓生の歌。 中堅歌人として、 一定の評価を得ている。 孤独と死を歌いつつ、 現代の 風景を活写する。 ‥‥‥ この夕べ空は子どもの頬の色のこしてなべてお伽にてあらな 三つ四つ刺されし痕をさするとき遠い火口をさぐるここちす 改札の流れを眺めながら夜わがものとするあなたの孤独 おさな子の髪に鋏をおよがせる手のふっくらとあなたは生きて
佐伯九段将棋サロンの忘年会 2018-12-13 23:14:18 | 将棋 本日は、 佐伯九段将棋サロンの 忘年会であった。 30名の出席で、 盛大に開催された。 大いに盛り上がり、 斎田女流五段も迎えて、 皆さん、会を堪能されたようだ。 忘年会幹事の方の 骨折りには、 頭が下がる。 2次会は、 カラオケバーで 将棋を指す、 歌う、 で、 ワイワイやった。 今年も大いに将棋を楽しんだ。
斎田女流五段に教わる~佐伯九段将棋サロンにて~ 2018-12-13 23:07:10 | 将棋 本日は、佐伯九段将棋サロンに出席した。 グループ別のトーナメント戦。 全成績は 2勝1敗。 斎田女流五段に教えていただいた。 結果は、幸いした。 ひさしぶりのプロとの対戦を 充分に堪能することができた。 もう、 あと1回で今年の このサロンも終わる。 思い出の多い将棋人生の 1年だった。
時代の感性を伝えるのは短歌 2018-12-12 23:03:29 | 短歌 現代和歌の秀作を 紹介している。 それぞれ、 自分の年齢と比べつつ 選んでいる。 自分がどのような状態の時 歌われたのか。 どのような時代背景があるのか。 抽象的な 語を並べる 歴史のテキストでは 時代のみずみずしい事実は 理解しえない。 短歌は、 そのようなとき、 事実に関し、関わって 時代を過ごした 生の感情を 伝えてくれるのである。
永田和宏の歌~その1~ 2018-12-12 22:53:54 | 短歌 永田和宏は、 すでに現代短歌界の 重鎮となった。 作風は、 伝統を踏まえつつ、 自由に歌い、 短歌史に新しい歌を 加えつつある。 ‥‥‥ このごごの日差しに隙の多くして誰かがわたしのすぐそばにゐる 死んでゐるのも知らずにきっと走りいむそんな我なら想像できる わがからだしきりに重しと佐太郎の歌ゐしこ頃われは生まれたり ウィキペディアに常に【私】は更新されわたしは私に追いつけるのか