頑張りすぎない・・・という難しさ

　
　母に電話をすると


　　「ケーキを買ってきてほしい


　　　　あっ　ついでに　スープもね」


　　と　頼まれた



　　　いつもなら　


　　　「OK～ぃ」


　　
　　　と明るく　返答できるのに　今日は　違った



　　　　「どうしても　今じゃなきゃダメ」




　　　　そう　返事をした



　　　　母は　



　　　　　「楽しみに待っているから」




　　　と・・・




　　　私の電話の声のトーンがつかれ気味だなんて気がつかない





　　　なんとか　重い腰を上げ　ケーキを買って行った




　　　ケーキをおいしそうに食べている傍らで



　　　　私は大きくため息をついた



　　　　　

　　　　　明日の薬を朝用　昼用　夜用と分けながら



　　　　　　また　ため息をついた




　　　　今日の分を母に渡して間違いなく飲むところまで確認し


　　

　　　　　数分後　




　　さっき明日の為に用意していた薬を飲もうとしている母の姿が目に入った　



　　数分までのことも　忘れてしまうんだ・・・



　　　　私は　また　大きな　ため息をついた




　　　母が言った



　　「もう　いい加減いやになってきた」



　　　「・・・」



　　　　母も　気がついているんだな



　　　　悪いこと　してしまった



　　　でも　コントロールできなくなる私




　　　　じゃ～～～～ん　


　　　　ドッキリカメラでした～ぁ



　　　　　と　大きなプラカードを持った母が



　　　　　音楽とともに登場するところを想像してみた



　　　　　でも　やはり　これは　現実・・・



　　　　　また　ため息がでた










　　　わが家にもどり　夕飯を作ろうと台所に立つ




　　　　　またまた　ため息が出た



　　　早すぎるけど　もう　すでに　限界かも・・・


　　　おもわず　長男に向かって　弱音を吐いてしまった








　　　長男が　初めて　夕飯を作ってくれた



　　　野菜を切ったところで　途方に暮れている　私を見かねて

　

　　　　「　料理　してみよっかな～」


　　　と　明るく台所にやってきた




　　　　長男初料理




　　　　野菜炒め　おいしいかった



　　　　一瞬で　元気になれた



　　明日は　母に　優しくなれるかな

五感刺激大作戦

　
　

昨日は　小学校パワーでしっかり充電出来たから


　今日はそのエネルギーを使って　母の痴呆遅らせ作戦を実行した




　　前回の作戦の続編　今日は



　　　　　五感刺激大作戦



　　　味覚と視覚に刺激を与えれば


　　　　　
　　　　少しでも　痴呆を遅れさせられるのではないか



　　　　　　という　ささやかな希望を抱いて・・




　　もちろん　自分がわかるうちに



　　　　思い出を焼きつけておきたいのも理由のひとつ





　　２時間の移動の間
　　　　　　

　　　　母は見事に喋り続け　


　　　　　　　わたしをうならせた



　　高速から見える景色が変わるたび　そこが自分の故郷に見えるらしく



　　　　私も　そのメルヘンの世界に



　　　　　しばらくはおつきあい出来る余裕があったけれど



　　　　　　　到着するころには



　　　　　　　日本海に向かって　叫びたい心境に陥った




　　痴呆に付き合うには　



　　　　心に余裕があるときでないと　かなり困難だということも学んだ






　　　　　　

　　運転の疲れと　現実離れした世界との往復とで



　　　　くらくらしながら



　　　ひろ～い日本海を背に



　　　　とれたて魚とお寿司に舌鼓・・・



　　　　　回転すしとは思えない　お味　（及び　お値段）




　　　　　ほんの少し　ご紹介しましょ








　　　　　　　これは　なかなか口にできない「のどぐろ」
　　　　　　　　　　　　　




　　　これじゃ　あなごが大きすぎて　お寿司ではないよね
　

　　　　　しゃり　見えるかな



　　　母は私よりしっかり食べてくれて


　　　　　　　　　うれしかった



　　　　また　心に余裕が出来たら　連れていってあげるから・・ねっ








　　　　　

保護者暴走～

　

あり得ないくらいほど　めまぐるしい毎日だけど



　それなりに　そこに自分を合わせることが出来つつある　




昨日は学校の参観＆保護者バレーボール大会




　　出発のぎりぎりまで　行こうかやめようか　迷っていたけれど




　　　　重い腰を上げ　行ってみた　







　　　そして　メインは夜の打ち上げ　　




　　バレーボール参加したわけでもないのに



　　　　なぜか打ち上げには　毎年参加する　



　　　　　男女合わせて３０人弱


　　　　　お酒がすすむにつれ　声のトーンはどんどん上がり


　　　　　話をする　というより　叫んでいる・・・という感じ



　　　　　
　　　　　ほんと　個室で良かった・・・







　わたしたち保護者がこうやって楽しんでいる姿を客観的に眺めてみて



　　子供たちが楽しそうに　学校生活を送っている姿が重なって見えた　




　　　この学校にご縁があって　本当に良かったな






　　　　次回の飲み会は　３月２６日　



　　　　まだまだ　先だけど　とっても　楽しみ　



　　　　卒業しても　ずっとずっと　続きますように　


　　　　　　






　　　　　ふと　その頃の母が



　　　　　　どんな風になっているのか思い描いてみると



　　　　　　　　やっぱり　悲しくなった



　　　　　

だれがまともなのか

　保健婦さんが母のところに来られた





　　私は　仕事で立ち会えず


　　　後で　報告を受けた



　　「　母は　どんなようすでしたか　」　


　　「　やはり　痴呆の症状がありますね・・・

　　
　　　　　　　お話のつじつまが合わなかったり


　　　　　　　　お洋服も裏返しに着ておられました」




　　「ああ・・・そうですか・・・」






　　　現実を突き付けられ


　　　　私の気分も　落ちた





　　　その夜　いつものように　お風呂に入って



　　　　　シャンプーを済ませ


　　　　　顔にパックを塗って　一日を振り返ってみた




　　　　　顔がいつもと違う感触があり


　　　　　　なんだか　香りもいい


　　　　　　今日は相当　お肌が喜んでいるなぁ



　　　　・・・と　しばらく　ゆったり




　　　　　　　何気なく　手元を見ると


　　　　　　　　　　ん　トリートメント



　　　　　　　　　　ガ～～～～ン




　私　顔に髪の毛用のアシュラントリートメントを塗ったくっていたのだ


　　　　
　　　　　　　驚くべき失態　







　　　　そして今日もまた・・・　


　　　　「ボケあ」は母と同じく　Tシャツを裏返しに着ていた



　　　　　おかしいのは


　　　　　　ほんとは誰なんだろう







　　　　なんだか　情けないけれど


　　　　　　　　笑えた

いつまでも女でありたい

母の肌は透明感があってきれい


　　いつも　お手入れは欠かさなくて


　　　今でもこだわりのスキンケアグッズを使っている





私がお勧めする　アシュランにも


　　　全く　興味を示さず


　　　　　美容院でスキンケア商品を購入してくる






痴呆の症状が出ている今でも


　　　コラーゲンドリンクを飲んでいる






お出かけの時も


　　　ノーメイクに近い私とは裏腹に


　　　きちんとメイクを始める






眉のアートメイクも施しているので


　　　　　いつも形の良い眉をしている






　　　　　私より　ずっと　女らしい







　　　でも最近はいつも同じ服を着ている