parismaris's days*

出自不明の君の名は。

秋バラの季節になりました*

日々気温が下がっていくなかで、春ほどの勢いはありませんが、わが家のバラたちもゆっくりと盛りのときを迎えています。

…とはいうものの、まだ咲き揃うには至らず、撮れた写真も少しだけ。

もう少し撮り溜まるまでその話題はおあずけにして、今日はあるとき突然現れた、摩訶不思議なバラのおはなしを。




これがそのバラなんですけどね…


私の元には、いくつもの『切り花から挿し木した植物』があります。

もともとは習っているフラワーアレンジメントの花材として使った切り花で、その余った茎の部分を土に挿して発根させたのが、わが家の『挿し木』の植物。

茎を土に挿すこと自体は訳もないことなのですが、そこからうまく根を出させることが難しくて、未だに一向にコツがつかめず、挿したものをダメにすることもたびたびです。

そんなだから、無事に発根して鉢上げに至り、そこから年月をかけてこつこつと枝葉を増やして太い根と茎とを育み、数多の花を見る…なんてことは私にとって奇跡的なことだし、この上もない喜びです。


そんな“喜び”たちの中に、『アバランチェ』という切り花品種のバラがあります。

挿し木が成功して根付いたのが2014年だから…育て始めて早6年。

フラワーアレンジメントでは定番とも言える、ほんのりとクリーム色を帯びた上品な白バラです。



これがそのアバランチェ。

この秋(つい先日)、咲いたばかりの花の写真です。


私は育てているバラのすべてを『1株1鉢』の鉢植えで、『一切の混植をせずに』管理しているのですが、このアバランチェも例外ではなく、切り花の茎を挿したそのときからずっと独り住まいの(笑)鉢植えです。

もちろん成長に合わせて鉢を大きくしてきていて、最初は10センチ足らずの1本の茎だったものが、今では3本の株立ちとなり、とても健やかに育っています。


…と、ここからが今日の本題。

数年前、このアバランチェの株元に、1本の細い枝が出ました。

が、バラが根元から枝(シュート)を出すのは成長過程のひとつなので、さほど気にもせず、他のバラたち同様に育て続けていました。


そこからさらに1年。
あるとき、その細い枝に蕾がつきました。

てっきりアバランチェの蕾だと思っていたのに、ふくらんでガクの間から姿を現したのは、アバランチェとは似ても似つかぬ濃いピンク色の花びら。



(今年の写真。 こんな蕾です)

こんな色のバラは育てていないし、育てたこともない。

それでも、挿し木のバラが先祖返りや突然変異などで突発的かつ単発で色を変えるのは珍しいことではないので、「枝変わりかしらね?」なんて思って、それほど驚きもしませんでした。




…けれど。
その蕾がほどけて、花のかたちが姿を現すと、そんな呑気なことは言っていられなくなりました。




これ…どう見てもアバランチェじゃなくない?




切り花となるべく改良された、真っ直ぐに天へ延びる太い茎に、尖り気味な半剣弁咲きの花を持つ、香りのないアバランチェ。

それに対して、こちらはやや細めの茎に、丸い花弁が幾重にも重なってふわりと開く、珍しいシャクヤク咲き。

おまけに香りもしっかりあって、濃厚で強いダマスク香と、わずかなティーの香り。


どこをとっても、アバランチェとは似ても似つかない、別物。

…あなた誰?
どうしてここに生えてるの?




それからさらに2年が経ち。

困惑する私をよそ目に、アバランチェの根元ですくすくと育って、ついには3本の株立ちらしきものとなりました。

その今秋の花が、このサイズ。
…大きい!




こうなると、私も困惑してばかりもいられず。
これが何というバラなのかを突き止めなくては、気が済まなくなりました。

そして、持ちうる観察眼と五感とを総動員し、咲いた花を片手に調べましたとも。


結果、このバラは『イブ ピアッチェ』だと判明。

いくつものバラ図鑑や信頼できるバラ農場のサイトで主に調べましたが、習い事で出向いた園芸店でちょうど開催されていたローズフェアで、花のついたイブピアッチェの苗に出会えて実物に触れ、香りも比較できたことが決定打です。

あぁ、すっきりした!



いや、でも…そもそもの疑問は解決していないんですよね。

「なんでイブピアッチェがここにあるの?」

アレンジメントのレッスンでイブピアッチェを使ったことは一度もないし(習い始めた当初からのノートと画像とをすべてチェックした)、その切り花を買った覚えも、苗を買った覚えも当然ない。(そもそも、購入に至るほど好みの花色でもない)

家族は私のバラたちには絶対に触らないし、世話を頼んだことも皆無。

だいたい、白バラの根元にって…なんで?


無いアタマで考えるには、可能性としてあるのは「鳥などが運んできたタネによる実生」説か、「誰か(他人)が勝手に挿し木した」(!)説。


庭を含むわが家の敷地には幾種類もの鳥がたびたび来るし、そこに実る木の実や虫を自由に食べては、当然フンもします。

そして、吹き抜ける風や、地を行進する蟻たちも、いろんなタネを運んできます。

なので、庭には植えた覚えのない草や木がしばしば生えて、私も家族もその偶然の出逢いを楽しみにしていたりもするのです。

…が、ピンスポットで「『イブピアッチェ』のタネが、25センチ四方ほどしかない、それも同じバラの鉢の中にたまたま落ちて、自然に芽吹く」なんてことがある?


そしてもっと無理があるのは、「誰か(他人)が勝手に挿し木した」説。

ここ数年は、住宅街の広くはない道路に面したわが家の駐車場をバラ園ならぬバラ置き場としていて、そこと道路の境には、ゲートやフェンスなどは何もありません。
(車2台分のスペースが、常時フルオープン)

ゆえに、いつでも誰でも道路から簡単に入れて、バラの鉢植えたちに手が伸ばせる状態です。
(駐車場は家の中からよく見える位置にあるし、ご近所の目もそこそこ厳しい土地柄だから、昼間は簡単なことではないだろうけど)


なので、やろうと思えばできるとは思うのですけれど…
そもそもそんなことする人、いる?(苦笑)

「ここの家の人はバラが好きなんだな。 うちのイブピアッチェを、ちょいと挿しておいてあげよう」って??

…んなアホな (;^ω^)


ということで、このバラの出自は謎のまま。

それでも、偶然にしろ故意にしろ、私の元に生えてここまで育ってくれたものなので、これからも大切にしてゆきます。


ちょうど今年の冬がこの鉢の植え替えのタイミングなので、休眠期が来たら土をほぐして、アバランチェとイブピアッチェのそれぞれを分けられないか見てみます。
(根が交わってたらどうしよう…)



植物を育てていると、思いもしないいろいろなことが起こるので、ほんとに飽きない。

大変なことも悩ましいこともたくさんあるけれど、それを上回るおもしろさや喜びがあるので、私は今日も庭に出ずにはいられないのです*


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