いつも ひっそり後ろから現れて かそけき声で鳴く猫が居る。
あんただねー コタツ君

「ぼくです 女将さ~ん」

「何してるのー?」

小さい声なのに お喋りは好きなんだよね。
草取りだよ。雨降った後とか 抜きやすいんだよ。
「なんで取るのー?」

しつこいね。なんでってそりゃ 取らなきゃ草がわんさか茂って
空き家みたいになって あんたらみたいな行き場のない連中が
勝手に住み着いて 迷惑なことになるからよ

「そっかー」

「ぼく メイワクなん?」

最近は 話しかけるのに慣れてきた。迷惑ってほどでもないですよ。
妹のタマちゃんほど乱暴じゃないし 怖くない。
たまに来るタマちゃん



手を出しても ただ逃げるだけ
猫パンチも ふりだけしかできない男。
止まってる


見かけ始めて数か月 ようやく 指なら嫌がらなくなったので
ちゅ~るでお近づき調教を始めました。
「女将さん いつもの~」

はーい 美味しい指


そろ~り…

ぺろっ


あらまー じょうずだねー可愛いねーいいこだね

今にゴロにゃんになって 里親付くかもよ。
とか褒めていた ある日のこと。 猫部屋で読書していたところ
視線と気配を感じて振り向くと そこに猫の霊が・・・
ひぃぃ~


「女将さぁん


てめコラ ちゅ~るで釣ってもないのに 何立ち芸してんだっ
まだそんなことまで調教してねぇっ!

「なんなのあのバカは


「コンチワで~す


コタツ君が テーブルに乗って 窓の外から手をついて
じーっと部屋の中を覗いていたので かなり驚きました。
ヒノキさんがシャー攻撃しても むしろ楽しげでした。
「ねぇ ぼく見えました?


出てきた私が怒ってないので こんなどや顔したりして
ヘタレ野良から一転 芸達者になれる「才能あり野良」になりました。
キジトラは マリオ君に引き続き 意外に要領が良い。
まだ保護予定は未定ですが コタツ君の里親になっていただけた方は
決して退屈しないはずです


