チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「バレイショの思い出」

2008年06月27日 01時18分13秒 | 慣性の改革(ウケのひとこと一発ギャク店
松山バレエの清水正夫さんが25日夕に亡くなれたそうである。
森下洋子女史が今年60歳なのだから、舅である団長もやはり
亡くなるのだなぁとつくづく感じた。同氏は
日大や東大で土木を学んだ一級建築士だったらしい。
内務省に入ってお役人となったが、肌に合わなかったのか、結局、
相方となった松山樹子女史を支える道を選んだのだそうである。昔、
つき合ってた子が南青山の松山バレエ学校に通ってたので、あの
狭い道の前までよく迎えにいった。待つ間、
マック「ポテト」を口に運んでたものである。そんなとき、
同氏の姿をときどき見かけたものである。
「松山や、ああ松山や、松山や」(※)
ところで、同氏の出身が荒川区の三河島で、
清水病院が氏の兄がやってたものとは、まったく知らなかった。
私の父は野球が大好きだった。それで、平日は後楽園、日曜になると
神宮の慶早戦や新設された東京球場によく連れていかれた。
日曜の巨人戦は切符がとれなかったようだ。平日でもとくに
阪神戦は難しかった。だから、私がガキのときに後楽園球場で観た巨人戦は、
不人気球団だった国鉄スワローズ→産経アトムズ戦だけである。
巨人に移籍する前の金田正一投手も見たが、すでに
超スロウボールだった。ちなみに、
今年が生誕100年の指揮者カラヤンは金田投手以上に金儲けが巧かったので、
ヘルベルト・フォン・カネヤンと言われてた、ような気もする。いずれにせよ、
巨人戦はいいけれど、ほんのガキだった私にはtvで見ない選手ばかりの
野球はまだありがた迷惑だった。中でも、幼かった私には
南千住の東京球場はずいぶんと遠くまで行くように感じられたものである。ただ、
内野も土という草野球場みたいな甲子園などとは違って、
ダイアモンドも芝の、フィールド・オヴ・エリズィアムな、
きれいな球場だった。暑い夏の日のデイゲイム……
東京オリオンズvs東映フライヤーズ……とか、ガラガラの試合だった。が、
硬球が木のバットで叩かれる音が心地よく響いた。
「夏草が、来れば芭蕉を、思ひだし」(※)
それと、近くの蕎麦屋で冷麦を、定食屋で肉じゃがを食べたことが思い出される。
三河島や南千住あたりからは北千住にあった東電の「おばけ煙突」がよく見えた。
あそこから出る煙は、近くの町屋の火葬場の煙突の煙のようにも思えた。
「思ひ出づる、折り焚く柴の、夕煙。むせぶもうれし。忘れ形見に」
万感が胸に迫って、言葉も後鳥羽も出ない。ときに、
私の記憶があるのは4歳からだが、とくにはっきりと覚えてることもある。
三河島は国鉄の脱線衝突事故があった場所である。翌年の
鶴見の脱線転覆衝突事故とともに、新聞写真で見た光景はかなり衝撃的だった。
それらの事故の黒白の画面、それから、タイトルは覚えてないが、
やはりtvで流れてたアメリカの西部劇映画の、potato畑の間畝を
列車の最後部が向こうに走り去ってくシーンが結びついてる。ともあれ、
おばけ煙突も東京球場も、清水氏も父も、もう存在しない。
「行く春や。鳥啼き、魚の目は泪」
千住は芭蕉が「みちのく二人旅」に立った地である。まだ、
旅に立ってもいないし、「尾久の舗装みち」を歩いてきた、
というわけでもないのに、これからの大変な旅だと思うだけで、
魚の目が痛くて涙が出てきてしまう、という不定愁訴である(※)。
「蛤の、フタミにワカれ、行く秋ぞ」
芭蕉は「旅立ちの場」を「春」、「紀行のトダえる地」を「秋」、と置き、ともに
「行く」という語で括り、対照とした。
「月日は百代の過客にして、行かふ年もまた旅人なり」
芭蕉は「時間の経過」、つまり、「pass」を記したのである。
私のHNのうちの「パッシオン」は、
「受難曲」と「芭蕉ン」をかけたものである。それはどうでも、
他人に殺されなくても自ら死ななくても、「時」が来ればヒトは死ぬのである。
嫉妬深いチクリ屋のヒラリオンは
「あかさたなはまやらわ、あかさたなはまやらわ」と
何度も唱えながら踊り続けて命乞いをするが、重々不届き至極ゆえ、
ウィリー・ミルタによって命を奪われる。が、いっぽう、
ジゼルは死セル魂でアルブレヒトを殺さず「寿命」のままに「生かした」のである。
さて、日曜の宝塚記念の優勝表彰のプレゼンターは、
河合「曾良」ではなく、宝塚歌劇団「宙」組の面々だそうなことである。
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