Burning Pavilion Part3

日常のもろもろ

WINGS WILD LIFE ROUGH MIX

2021-06-02 22:09:15 | 日記
別にウイングスのワイルドライフラフミックスについて書くつもりは毛頭ないことを最初にお断りしておきます。
でもちょっとだけ書きますが、この音源、なんかすごく完成度低いです(爆笑)。

ポールのアルバム中、最も完成度が低いと言われるこのアルバム、言われるほど悪くないと思えるのが80年代後半からのポールファン(現在40代中盤の団塊ジュニアです)。
その中でも相当甘めの評価をしてしまうダメダメのポールファンですが、そんな私でも3年くらい前に発売されたウイングス・ワイルドライフ・スーパーデラックスエディションを購入後3回目くらいで聴きましたが、これはひどいですね。

どうひどいのかというと、って結局書き始めてますが、録って出しのライブ的な勢いが良いとされているこのアルバムですが、ラフミックスの方は中途半端に加工されてちゃんとスタジオで録りましたみたいな感じになっている?。それにしてはなんか脱力系っていうか。
順番を考えると、正式に発売されたやつの方が勢いを感じさせるように加工されているのかもしれないが、まあどっちでも良いです。

その後、引き続き正式な方を聴いてますが、やっぱりこっちの方がいいですね。
ラフミックスではめっちゃ下手なトランペットソロがオーバダビングされてる曲とかも、ちゃんとギターソロになってたり、回転数が遅い曲とかもあるべきピッチになってたり、ブラッシュアップしたものを当時のポールは発売したのです。このセンスはさすが。

しかし、その正式なやつ、せっかくリマスターされたのに、ある曲のエンディングがデジタル化のエラーか知りませんが一瞬伸びているというとても残念な仕上がり。この一瞬のせいで5分近くこの曲を聴いた努力が水の泡。どうしようもないスタッフによってこのスーパーデラックスエディションは製作されたようです。

リマスターされる前の盤では、私はイントロが始まった瞬間にこの曲を飛ばして聴いていたので、何でわざわざ最後まで聴いてるんだという感じですが、もしかしたらこの気持ち悪さを味わいたくて聴いているのかもしれない(笑)。

(笑)を入れないと本気でそう思ってると思う人も世の中には思いの外いるからね。本当に。気をつけなきゃ。


私はSNSをやらないので発信手段はここかmixiしかありませんが、このウイングス・ワイルドライフ・ラフミックスを聴きながら、久しぶりにmixi内のメール機能でやり取りされたお手紙の数々を見てると、これが懐かしいものもあれば全く記憶のないものもあり、読み耽っていた。

なぜ記憶にないのかというと、古いもので15年ほど経っていることに加えて、書いた人が既に退会していて誰かわからないというのが大きい。更に相手からのメールの言葉が少なすぎて何についての話かわからないのである。当時のブログを見て分かったものもあるが、結局わからずじまいなものもあった。

特に頻繁にやり取りするわけでもないのにメールの文章が一言というのは私は好まないため、音信不通になるのは仕方あるまい(でもこちらからは音信不通にすることはありません)。
あと、ライブのお誘いとかの返事メールとかも結構もらいましたが、どう考えても初めから来る気無かった割に、来れなかった理由を述べているメールもなかなかありました。
本当に来れなかった人はその後来てくれましたので、そういうのも大体音信不通になっても仕方ないですが、当時の気分を思い出すと、結構可哀想になってきます(こんなこと書いたらプロなら炎上するな…)。その中にあってライブの感想やYouTubeで見てくれた人には本当に感謝しかありません。
当時は気づかなかった、ある人の性格の良さ。私は未熟だった。

記憶を呼び戻すために見始めた過去のブログですが、結構文体が軽快で面白いですね。30代の俺。まだ脳が冴えています。
CRCK/LCKSの井上銘さんの語り口や文章が好きなのですが、僭越ながら結構近いものを感じた。好きな傾向は変わらないみたいですよ。小田朋美さんのようなブログもとても良くて好きなので、ちょっと目指してみようか。途中から何を読んでいるのかわからなくなる感じのやつを。

そう、後半が書きたかった内容です。


所謂、大衆歌謡 その後

2021-03-25 07:41:50 | 映画
さて、先ほどのブログで「ただいま」、勢いで「YES〜Free Flower〜」について書きましたが、この「ただいま」のイントロ、どこかで聴いたことがあると思ったら、これでした。

https://youtu.be/DIgwLW0YlqA 

Paul McCartney (I want to)come home
こちらは映画主題歌。
ある意味ロバート・デ・ニーロの「ただいま」(MVを見れば分かります」。
全然同じじゃないけど雰囲気はなんとなく似てるかなと。
こちらの肝はイギリス的哀愁のあるメロディであるところ、最後にセブンスコードを用いて変化をつけていること。

しかしこのMV、ポールのレコーディングシーンの割合の方が多くて、デニーロの映画の宣伝にはなってない。この映画の主題歌に使いました!という事実のみを伝えるための映画のシーンのインサートなのか。事情を知らない人には全く意味不明なものとなっている気がする。
そして、ポールという人をよく表している出来事だと思う(笑)。

さらに、この曲は私が思うに21世紀に入ってからのポール作品では5本の指に入る名曲ですが、なんと、未CD化です(笑)。

所謂、大衆歌謡

2021-03-25 07:38:55 | 音楽
ドラマ『天国と地獄』、演技が上手い人達が多く出ていてるし面白そうなので観てました。
まず、人と人が入れ替わるといったSFな設定、謎を呼ぶ不可解な事件のミステリー要素、刑事が主人公で人が何人も死ぬ割に演出がコメディ調だなあと、一話を見て思っていたところ、後半のいいところで入って来る主題歌がシリアスなので、あ、これはヒューマンドラマ系のオチになるのかな、などと思ってたらまさにその通りで、感動の最終回、大団円でした。

この主題歌、手嶌葵さんの「ただいま」という曲ですが、何回もドラマを見ているうちに、段々といい曲じゃないかと思うようになって、最終回が終わり、一曲通してみると、相当いい曲です。

多少、あ行がは行になりがちな歌唱法ですが、この人ならではの味なのでしょう。たまにやりすぎ感はありますが嫌味には感じません。
ものまねして欲しいのかな。そんなわけないですね。

所謂、広義の大衆歌謡に当たるのでしょうけど、そういうものには滅多に心が掴まれない私がいい曲と思うのだから、恐らくメチャクチャには売れないでしょう(笑)。
でもかなりの人がこのドラマを観ていたので、どうだろう。

「ただいま」というタイトルの曲は星野源にもある。
これは星野源が大衆歌謡にシフトする前のデビューアルバムに入っている、細野晴臣作曲のザ・バンド調の曲。

「BLUEBIRD」というタイトルの曲にハズレなし、と言うが、「ただいま」も今のところハズレなしと言える。2曲しか知らないけど。


手嶌葵「ただいま」
https://youtu.be/0IueDUcDmRY 


さて、以上を書いた後に菊地成孔のブログを見てみたら、コメント欄でMy Little Loverの「YES〜Free Flower〜」が話題になっていた。曲調がなんとなくブルーな理由の一つに絶妙なお姉さん声と書かれていたのが笑えた。
この曲やSwallowtail Butterflyといった、あの映画に使われていたあたりの、結構好きなんですよね。
この頃の大衆歌謡は良い曲が多かった気がする。

McCartneyⅢの感想

2021-01-28 12:53:30 | 私的ポール・マッカートニー史
発売から1ヶ月ほど経ったのでそろそろ耳馴染みが出たどころか聴き終わった感すらありますが、感想を書いてみたいと思います。 

McCartneyⅢは一言で、小品。ポールのかわいらしさが出てる。 

それもそのはず、ロックダウンの中、娘家族と生活しながら、過去に作ってそのままになっていたモチーフを曲として完成させるために行った作業が最終的にアルバムになったと、そんな感じです。 
肩の力が抜けた時のポールが良いと書物でよく読むわけですが、危機状態にあるポールが緊張感をもって作った方が完成度が高いとも書いてたりして、どっちだ!?という話ですが、McCartneyⅢは前者かと思います。精神的には後者の性質も入ってるかもしれませんが、ちょっとでしょう。 

1人でコツコツ家で作ったといっても、いつも使ってるプロ仕様のスタジオなので荒さはなく、機材の近代化によりショボさは一切ありません。 
音を聴いてるとポールは他のミュージシャンや今流行っている音楽もちゃんと聴いている感じがします。それが良いかと言えばそうも言い切れないですが。 

若干ゴージャスさと、とっ散らかった感のある前作より断然好きです。前作はさらにセンチメンタル過剰な悲しい曲も一定量入っていて(I don't knowは傑作)、好きな曲は2、3曲くらいでしょうか。今作は好きな曲はもっとあります。 

ただ、この好きな曲がいい曲かというと、必ずしもそうでもない。 
私がこの10数年で枯れを許容できるようになったから好きなのかもしれない。Flaming Pieから顕著に現れたポールの枯れは明らかに進行している。それでも今作は光るものが多く感じられました。 

シングル的な扱いのFIND MY WAYは文句なし。WINGSを感じるシンプルながらポップなロック。 
意外と好きなのがLAVATORY LIL。シンプルなロックですがほんとにかっこいい。これもWINGS的であり、BEATLESのSHE'S A WOMANみたいな感じもします。 

このアルバムで最高に好きなのはDEEP DEEP FEELING。 
8分を越える大作ですが、まるで夢から覚めるようにいつの間にか終わり、飽きることなく聴けます。実験的と言えばそれまでですが、こういうポールが聴きたいと思っていたものがここにきて目の前に現れました。 
こういうのを聴こうと思ったら80年以前の作品で感じるしかなかったのですが。 

THE KISS OF VENUSも好きですが、本当の良さがわかるまで、私の名曲フィルターに本当に引っかかってるか見極めにもう少しかかりそうなのでまだ書きませんが、ビートルズ級の曲(ただし超小品の)との印象を受けました。 

そしてアルバムを締め括るWHEN WINTERS COME。 
文句なしの一曲(ただし小品)。 
この曲はFlaming Pie期の録音(なんと25年以上前)。10年前なら大したことない曲だな、おまけだな、などと思ったでしょうが、昨今の枯れ方を思うと、相当芳醇なメロディに感じます。 
アルバムの締めとしてこれほど感動的なものはありません。 
この曲をモチーフにしたアニメ作品は70年代初頭のポール一家と思われる家族が出てきて、今はもういないリンダもこの世界では幼い子供たちと居ます。 
この子供たちも現在では歳をとり、ここに描かれた家族は今は思い出の中、アニメの最後には光の中に消えていくのですが(笑)、切なくも美しく、泣けてきます。 

このアルバムはセンスの良い小品が多いけど、大作もあり、しかしスペクタクルなアレンジではないところが良い、そう思います。 
まだ全貌は見え切れてないですが、1ヶ月聴いていての感想はこんなところです。 
 

TOKYO2019

2019-11-24 18:32:25 | 音楽
2019/11/22、椎名林檎がミュージックステーションで『正しい街』を歌った。アルバムデビュー20年を祝うベスト盤が最近発売されたため。

この曲が発表されたのは1999年のデビューアルバム『無罪モラトリアム』の一曲目として。
番組ではドラムにBOBO、ギターにナンバーガールの田渕ひさ子、ベースにTOKIE、そしてヴォーカルとギターに椎名林檎という驚愕のラインナップのバンドで生演奏された。

この曲をMステでやると聞いてちょっと興味を持ったものの、それ以上のものはなかった。何年振りの演奏であるかも今の俺にとっては特に意味はない。
しかし実際に番組を見てみると、この曲を初めて聴いた20年前のこと、それからの20年の事が断片的に蘇り、感慨深いものがあった。

具体的には、99年、職場の寮に住む音楽好きの友達からこのアルバムを勧められて借りて、即買った事。
初聴きで良さがわかり、何回も繰り返し聴いても飽きないなど、ビートルズを初めて聴いて以来だったかもしれない、とんでもないアルバムと思った事。

それから程なく、初開催のライジングサンロックフェスティバル(16時間ライブとか、石狩ライブとか言われていたような)に、椎名林檎が最後の最後で追加出演すると聞いて、チケットを慌てて買った事。
初の生林檎に並々ならぬ期待を寄せ、それを遥かに超えるパフォーマンスであったこと。しかし追加出演のため持ち時間が短かったこともあり、一瞬で終わった感じだった事。
当日、林檎とすれ違ったが気づかなかった事(後日、やや変装気味の様子を雑誌でチェックし、あの時の!とわかった)。
この日は、昼間にナンバーガールを初めて見てこれまた、この後の自分を変えたくらいの大きな出来事だったが、長くなるので今回は書かない。

それから、無罪モラトリアムのベースやギター、キーボードをコピーしまくった事。他の曲も含め、このアルバムに夢中で全てのパートをコピーする勢いだった。正しい街のベースを弾かせたら俺の右に出るものはいないだろうくらい思っていた。

この頃、そんな人達が全国にたくさんいたであろう。自分もその中の一人でしかなかったのだが、何度かバンドをやってライブをやってベースを弾いた事や諸々を思い出した。初めて音を合わせた時の感動ったらなかった。

これが、11/22に久々にこの曲を聴いてもたらされた束の間の贈り物であった。


一方、先日発売されたピチカートファイヴのベスト。
こちらは音があまりに新しく、一切昔の事を思い出さなかった。

野宮真貴がヴォーカルの一般的に知られた時代のアルバムは解散後、一度リマスタリングされ再発されたが、それっきり、市場に出回っていない。
そもそも渋谷系は好きだったけど、ピチカートについてはレンタルでMD(笑)にダビングしたのを聴いていたのみだった。
数年前に手元に置きたくなった頃には入手できない事態になっていたのだ。友達が一時期ハマっていたが俺には元々大した思い出も思い入れもなかった。

とは言っても、聴き慣れた曲を久しぶりに聴くとこれが名曲名唱の連続。
『スウィート・ソウル・レビュー』、『東京は夜の七時』を聴いていると今は存在しない煌びやかな風景が浮かんでくる。そして今の時代を思うと、90年代はまだ未来に対して悲観的でなかったことを思わされた。

ベスト盤を聴き進めるにつれ、段々とくすんだ退廃や混沌が現れる。そして静謐さを感じる『東京は夜の七時』のアコースティックライブバージョンで終わる。


それにしても、このベストを聴き終わり、とても新鮮だし全く古くないので、解散からもう20年近く経っていたことには驚いた。


『東京は夜の七時』は椎名林檎が演出/音楽監督に名を連ねたリオオリンピック・パラリンピックの閉会式で使われたけど、来年の東京オリンピックが目前となったこのタイミングでまた浮上する事を願うばかり。そしてどれだけの人が音楽により思い起こされる記憶に浸るだろうか。

20世紀末に入れ替わるようにデビュー、解散した2組について書きましたが、このような浅からぬ縁があったことも知りました。