映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

「ラーメンガール ~The Ramen Girl~」

2010年01月30日 | 映画~ら~
2008年 アメリカ映画


ブリタニー・マーフィー主演のコメディです。ポーランド人の友人からDVDを借り、鑑賞しました。なぜなぜポーランド人の彼女がこの映画を選んだのかは謎ですが、この映画なかなかよくできていました。


アビー(ブリタニー・マーフィー)は日本で仕事をしている恋人を追って来日するが、あっさり振られてしまう。傷心の彼女を癒したのは、アパート近くにあったラーメン屋さんのラーメン。初めてのラーメンはスープまで飲み干し、翌日から毎日通うように。食べた人が笑顔になるこのラーメンに魅せられ、日本語が全くできないのにそのラーメン屋に弟子入りを志願。ラーメン屋主人のマエズミ(西田敏行)の厳しい修行を受けることになる。

まず感心したのが、スタッフに日本人が大勢いるとはいえ、アメリカ資本でアメリカ人監督の作品であるにもかかわらず、描き方が日本人目線であるということ。アパートから見たラーメン屋の光景は、強風にやたらにごみが舞っていたりして不自然な感じはあるけど、それ以外はほとんど違和感を感じられないほど日本を自然に描いていて驚かされました。ラーメン屋主人が日本料理の料理人並に様々な包丁を持っていて手入れをしているシーンもあったけれど、そのくらい。

タイトルも『ラーメンガール』って、なんのひねりも無くそのままだし、思い切りB級の匂いがするし、どうなのよ…と思っていたのだけど、映画を見てこのひねりの無いタイトルがぴったりだと思いました。だって本当にそのままなんだもん。ストーリー展開も、結構ベタだし。それでもこの映画、ダレてないのよ。コメディー映画として面白いのね。

それはひとえに出演している俳優たちの演技力によるものだと思います。とにかくブリタニー・マーフィーが抜群にかわいい。彼女のイメージというと『8マイル』が一番強いのだけど、コメディーにも強いなぁと感心させられます。これまでも『アップタウン・ガールズ』や『ジャスト・マリッジ』などのコメディにも出演していたけど、彼女の出演しているコメディの中では、この映画がダントツで1番です。アビーの能天気な面、頑固な面、素直な面を一人の人間の様々な魅力としてしっかりと表現していて、さらにちょっとした間のとり方や表情の変化のつけ方にいちいち唸らされます。彼女のほかにも外国人出演者はいるのだけど、(主演女優と比べるのは間違っているけど)根本的な演技力の違いが歴然です。さらに、脇を固めている日本人俳優たちが豪華。西田敏行の頑固親父ぶりは文句なしだし、お店のお客たちの個性的な顔ぶれも抜群。

タバコをすいながらウィスキーを飲み交わすアビーと師匠のエンディング、日本人同士なら絶対にありえないんだろうけど、そこに「異文化」だから許されるというエッセンスが入っていて印象深いです。

ニューヨークでラーメン屋というのも実際にありえる話で(確か一風堂はニューヨークに出店してますよね?)、ラーメンに見せられたアビーが頭にタオルを巻いて起業するのも応援したくなっちゃいます。

この映画の後、確実にラーメン食べたくなります。はあ、インスタントラーメンでも食べようかな…。

ブリタニーといえば、昨年末に32歳で亡くなってしまいましたね。もともと糖尿病を患っていたそうで。個人的に好きな女優さんだったので、本当に残念です。



おすすめ度:☆☆☆☆

ブリタニーが抜群にいい!

「ジュリー&ジュリア ~Julie & Julia~」

2010年01月11日 | 映画~さ~
2009年 アメリカ映画

実話を映画化したコメディー・ドラマです。フランス料理のレシピ本と彼女のフランスでの生活を綴った本を出版し、アメリカで人気を博した料理家ジュリア・チャイルドと、1年間で500以上ある彼女のレシピにある料理を作りブログに綴ったジュリー・パウウェルという別の時代に生活する2人の女性の生活を描いている。特に料理好きな人には興味深い映画なんじゃないかと思う。私もその1人で、この映画を見たいと思っていた。結局公開中に映画館に足を運ぶことはできず、今回飛行機の中で見ることができた。

率直に言うと、「がっかり」感が大きかった。全体的にというよりは、あるシーンによりものすごくがっかりさせられたと言う方が妥当なのだけど。

映画はジュリア・チャイルドが夫の仕事に伴いフランスに移住。そこでフランス料理に感化され、料理学校に通い、アメリカでフランス料理本を出版するまでが描かれている。また、ジュリーは現代のニューヨークに住む料理好きの女性。仕事に行き詰まりを感じていたところ、ボーイフレンドから彼女の趣味である料理を通じて自分を表現し、自信を取り戻しては?と言うアドバイスから、ジュリア・チャイルドの本にある524のレシピをすべて作ってみることに。さらにそれをブログでアップし、期限を1年と決めた。映画自体はジュリーのブログが軸になっており、映画の全体のリズムをつかさどるのもジュリー側。ジュリアはある種伝記のような感じで映画の中で紹介されているように感じた。

ジュリアの料理に対する情熱、、彼女の持つかわいらしさは彼女を演じるメリル・ストリープにより存分に表現され、所々にジュリアの人生の中の苦悩なども垣間見ることができる。また料理好きな人にとっては、映画に登場する料理の数々も見所。見ているだけで幸せな気分になる。

料理が存在感を発揮する映画と言うと、最近では『かもめ食堂』『めがね』などがあったけど、これらの映画とはまた違った存在感を料理たちが放っていて、それも印象的だった。

最初にも触れたけど、1つものすごくがっかりで、私としてはこの1シーンが映画全体を壊してしまっているといっても過言ではない部分が。それは現代のジュリーが恋人といっしょにテレビを見ているシーン。テレビではジュリア・チャイルドの真似をしたコメディアンが料理をし、誤って自分の指を切ってしまい当たり一面を血の海にするというもの。まな板に置かれた丸ごとの鶏肉も血だらけ。それを恋人と爆笑しながら見ているジュリー。

これ、面白いのか?仮にこのシーンが原作の中に盛り込まれていたとしても、必ずしも必要なシーンだとは思えなかったし、料理好きでブログをはじめたジュリーがこれに爆笑していると言うのに、ジュリーの人格を疑った。仕事に生き、成功している友達に後ろめたさを感じていたジュリーは、料理のブログを通じて自分を確立していく。彼女の料理好きは映画からよく伝わってくる。しかし、本当に料理好きならあんなコメディーを笑えるどころか胸糞悪くなると思うのだけど。それを「感性の違い」と言われればそれまでなのだけど、私はこのシーンを目にしてから一気に冷めてしまった。

救いなのは、このシーンがメリル・ストリープの登場シーンではなかったこと。これまで散々苦手意識を持っていたのだけど、『マンマミーヤ』から彼女を見る目が変わった(よい意味で)ので、ここで変に彼女のイメージをまた自分の中で変えたくなかったから。


あのシーンは本当に残念だったけど、メリル・ストリープもジュリーを演じたエイミー・アダムズも、ものすごくよかった。ブログの原作者である本当の(ちょっと言い方がおかしいけど)ジュリー・パウウェルは、ジュリー役にケイト・ウィンスレットを希望していたそう。確かにケイトでもいいなぁ…と思う。でもエイミーの初々しさが、「仕事は辛いけど、料理が生きがい!」みたいな素人っぽさをうまく表現していたように思います。


個人的には、あのシーンを除いては結構楽しめました。原作も機会があれば読んでみようかと思います。それでも、どうしても私にはあのシーンが許せなくて、がっかり感が強く残ってしまいました。と言うことで、



おすすめ度:☆☆


本当に料理好きなひとは、DVDで鑑賞する時はあのシーンを飛ばした方がいいんじゃないかと本気で思います。