さて。
2023年の年末に、2022年の映画のベストの発表です。
いつも通り、新しいものから古い作品まで、中には何度も見直している作品も含まれています。
ベストは、あくまで「私がこの年に見た映画の中のベスト」です。
2022年は、いつもよりも多くの映画を観たので印象に残っている作品も多いのですが、まずは個人的がっかりから。
・『ブロンド Blonde』 (2022年 アメリカ)
Netflixで公開された、マリリン・モンローの生涯を描いた作品。
賛否が分かれた作品で、私は正直あまり好きではなかったなー。描き方、映画としての表現の仕方が、結局これまでのマリリン・モンロー関係映画や作品をなぞっているだけの印象でした。
・『リコリス・ピザ Licorice Pizza』 (2022年 アメリカ)
映画館で鑑賞。前評判もよく、ミニシアター風情も懐かしく、楽しみにしていたのですが…私には全くハマらなかった。
ただ、バンド・ハイムのメンバー、アラナ・ハイムの佇まいやクーパー・ホフマンの垢抜けなさ(お父さんはフィリップ・シーモア・ホフマンというサラブレッドだけれども!)はすごくよくて、この映画を楽しみきれなかったことを悔やんでもいます。観るタイミングや年齢によって今後感想が変わる可能性を感じてはいて、今一度観てみたいなと思っています。
・『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 The French Dispatch』(2021年 アメリカ)
ウェズ・アンダーソンの映画は好きで、作品の8割は観ていると思います。犬が島もグランドブダペストホテルは大好きで何度も観ているほど。しかし、『ライフ・アクアティック』とか、稀に全然入り込めない作品があって、今回はまさにその系統でした。こちらも映画館で鑑賞。これも、あらためて見てみたらもう少しは楽しめるような気がしないでもない。
・『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢 The High Note』(2020年 アメリカ)
多分トレーラーが良すぎて、私の期待と想像が上がり過ぎてしまったのだと思う。
・『台風家族』(2019年 日本)
これは、作品がと言うことではなく…。草彅さんやMegumiさんととても魅力的な俳優さんたちが出演されている作品だったのですが、性犯罪歴のある服役中の俳優さんが出演されているんですよ。作品にはとても興味があったし見続けたかったのですが、個人的にその人が出演している、画面に映る時点でそれ以上観ていられなくなってしまいました。こういう感覚を経験したのは初めてのことで、打ち切りやお蔵入りでなくともこういう形で本来は観てくれていたであろう観客に見てもらえなくなることもあるし、それはその作品に関わったすべての人たちの努力を無駄にする行為でもあるんだな…と色々と考えさせられました。
次は、ベストには入らなかったけど面白かった、もしくはおすすめしたい作品。
・『リザとキツネと恋する死者 Liza, a rókatündér』(2015年 ハンガリー)
久しぶりのトンデモ映画でした。(←良い意味で!)
もしかしたら、初めてみるハンガリー映画だったかもしれません。
日本大使の未亡人のハンガリー女性を住み込みでお世話をするリザ。往年の日本歌謡のスター、トミー谷の幽霊と仲良しの彼女は、音楽が流れるとマイク片手に姿を現わす彼と踊りデュエットすることが唯一の心の慰め。お世話をしていた未亡人が亡くなった後、自分と関わる人々が次々と命を落としていくことに。きっとこれは、狐の仕業。私は狐につかれているんだわと悩むリザ。
話の前提からトンチンカンなんだけど、それがうまくはまっていて、監督の底知れぬ日本愛が散りばめられてもいて、トミー谷はデンマークの俳優デイビッド・サクライさんという日系デンマーク人。私は映画の中盤まで本気で賀来 賢人だと思っていた。苦笑
・『パワー・オブ・ザ・ドッグ The Power of the Dog』(2021年 イギリス・アメリカ・カナダ・ニュージーランド・オーストラリア)
アメリカ・モンタナで牧場経営をする兄弟二人の話です。舞台は1925年なのだけど、そこに描かれているのは現在の日本が抱えている男尊女卑、家父長制、人権など諸問題そのものだったり、今でいう「ホモソーシャル」(女性及び同性愛(ホモセクシュアル)を排除することによって成立する、男性間の緊密な結びつきや関係性を意味する社会学の用語)の化身のような人物なのだけど、それが本人を苦しめていたり、セクシャルマイノリティーの生きづらさにも触れられていたり。設定こそ100年前の話なわけですが、現代だからこその切り口による描き方で、この映画で論文一本書けるんじゃないかと思えるほどの重厚さ。それでいて、昔ながらの「映画らしい映画」っぽさがあり、そのバランスもたまらない作品でした。主演の一人のカンバーバッチは、いろいろな役を演じている役者だけど、個人的に彼の「育ちの良さ」を感じることが多いのですが、この映画ではその真逆の役柄で、それも良い驚きでした。
・『ドント・ルック・アップ Don't Look Up』(2021年 アメリカ)
・『ハスラーズ Hustler』 (2020年 アメリカ)
こちらは同じ理由による選出なので2本まとめて。
『ドント・ルック…』のメリル・ストリープ、『ハスラーズ』のジェニファー・ロペスが、まさしく私が個人的に思い描いていた「きっとこの人たちはこんな人だろう」という勝手な決めつけがそのまま役になっていて、その役柄と配役だけでワイン3本くらい空けられそうなくらいにぴったりで小躍りした作品です。
やっぱり長くなったので、ベストの発表は次の投稿で!