映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

『英国王のスピーチ ~The King's Speech~』

2011年01月20日 | 映画~あ~
2011年 イギリス映画 


予告編を一度も見ることなく、話の内容も殆ど知らない状態で見に行くことになった『英国王のスピーチ』。イギリスでは、映画がゴールデン・グローブ賞の最優秀作品賞、主演俳優コリン・ファースが最優秀主演男優賞にノミネートされており(コリンは受賞!おめでとう!!!)話題を集めている作品です。


実話が元になっているこの映画。吃音症(きつおんしょう、どもりなどで人前でうまく話せない症状…アタクシが読めないのでよみがな付き☆)を持っているアルバート王子は、スピーチが苦手。しかし皇室の王子という身分のため、大勢の民衆を前にスピーチをしなければならないことがしばしば。そのたびに苦い思いをしてきた。この吃音症を克服するためのトレーニング、オーストラリア人トレーナーのライオネルとの友情を描いたドラマです。


まず、なんといってもこの映画の見所はキャストの豪華さ。アルバート王子・後のジョージ6世をコリン・ファース。その妻でエリザベス妃をヘレナ・ボナム・カーター。そしてオーストラリア人のトレーナー役は、オーストラリア人のジェフリー・ラッシュ。この3人がひとつの映画に出ていると聞いたら、観ないわけにはいきませんわ。


映画が始まって5分で、もう心がどっぷりと映画に引き込まれてしまったほど、最初から「この映画が良くないわけがない」とある種の自信と、そして映画に対しての信頼を感じることができます。そのくらいいい。コリンの演技、もう「素晴らしい」という言葉では安っぽく聞こえてしまうんじゃないかと心配になるほど、素晴らしい(やっぱり他の言葉が見つからない…アタクシの表現力・苦)。コリン・ファースは個人的に好きな俳優なんだけど、「こんなに凄かったのか、この人」と正直驚いたほど。


コリンだけでも十分に素晴らしかったし、他の俳優がずば抜けた演技力がなかったとしても映画としては十分に楽しめたんじゃないかと思いますが、そこで終わらないのがこの映画。アルバート王子(コリン)の吃音症を治すためのトレーナー役がジェフリー・ラッシュ。コリンの演技に唸ったところに、ジェフリー。そう、そうでしょ?この映画が良くないわけがないのよ。ジェフリーというと最近だと『パイレーツ・オブ・カリビアン』のイメージが強いかもしれませんが(っちゅーか、顔が特殊メイクでわかんないけど)、私の中でジェフリーというと、オーストラリア映画で彼自身がアカデミー主演男優賞を受賞した作品でもある『シャイン』がものすごく印象に残っております。なんか、もう演技とかではなくて、何かが乗り移っているといったほうがしっくりくるような。今回もまさにそのとおりで、彼以外の俳優があの役を演じている想像をする余地を与えないほど、見事なまでに演じきっております。


さらに、アルバート王子の妻のエリザベス役にヘレナ・ボナム・カーター。もう畳み掛けてきます。もう完全に隙なし。何この配役!完璧だわよ。最近のヘレナって、旦那(ティム・バートン)の映画の中の役のように、エキセントリックなイメージが強いのだけど、皇室のこの役に微塵の違和感も感じないのよ。この人の持つ美しさと力強さと演技力の高さの別の側面を見せられた気がします。


主演の3人がただ演技がうまいだけではなくて、演じる役のの中に少しの「遊び」を入れてくるものだから、それぞれがものすごくキャラ立ちしているのよ。だからといって自分の役を全面に押し出したり、アクが強すぎたりするのではなく、その少しの「遊び」のおかげで役に息吹が吹き込まれて、役の人物像の輪郭がもっとはっきりとしてくるというか。ヘレナが終わりかけのシーンで見せた、あの一瞬の表情の崩し方。あのほんの一瞬に、アタクシ涙いたしました(本当に)。「これでもか!」という演技合戦ではなく、それぞれが演じることを楽しんでいるように感じられるほど(実際はどうか知らないけど)、力のある俳優や優秀なスタッフで創り上げられた映画なんだという雰囲気がひしひしと伝わってきました。ああ、言葉じゃ言い表せないので、見てください!


ところどころに笑いも入れてくるし、その配分が抜群です。どうしてゴールデン・グローブの作品賞がソーシャル・ネットワークになったのか。アタクシ個人的には、『英国王のスピーチ』の圧勝でございます。


日本では2月26日からの公開のようです。おすすめ!



おすすめ度:☆☆☆☆☆

『ソーシャル・ネットワーク ~The Social Network~』

2011年01月17日 | 映画~さ~
2010年 アメリカ映画


お久しぶりでございます。放ったらかしでしたが、ちょうどいいタイミングで映画を見たので久々にアップさせていただきます。

『ソーシャル・ネットワーク』、ゴールデン・グローブ賞の最優秀作品賞取りましたね。ゴールデン・グローブの発表がその日の夜(アメリカ時間)だったとは知らず、有力候補だった2作品(もうひとつは『The King’s Speech』)をたまたま同日の発表前に見たのですが、さてアタクシ個人の感想はといいますと…。


イギリスで『ソーシャル・ネットワーク』が公開になった時、アメリカでの評判がすこぶる良かったので映画館に観に行こうと同僚たちを誘ったのですが、ことごとく拒否され結局見逃すことに。そして昼間に『The King’s Speech』(日本での題名が見つからず。『英国王のスピーチ』という名前になるかもですね。1月14日の時点では調べきれませんでした)を映画館に観に行き、その夜に同僚が持っていた『ソーシャル・ネットワーク』のDVDを鑑賞することに。(『The King’s Speech』の感想はまた別に掲載する予定です。)


では、率直に感想を申し上げましょう…。


面白くない。面白くなかったのよ。もうてんで、面白くないの。この映画、すごく良いレビューやおすすめ記事がたくさんあってすごく期待していたのだけど、もうビックリするくらい面白くない(注:あくまで個人の感想です)。内容が難しすぎるとか、私の英語力が追いつかないとかではなく、映画として面白い要素が全然見つけられなかったのよ。一緒にこの映画を見た2人も同意見。ちなみにイギリス人とフィリピン人でひとりはコンピューターエンジニアなので、英語や技術的な内容に問題がない人達。Facebookのことを知っていたらもっと楽しめるのか、と言われるとアタクシも一応人並みにはFacebookを使っているし、映画の登場人物として出てくるナップスターのショーン・ファニングについても知っていたし、知識不足というわけでもないと思うのよ。ただ、純粋にアタクシ好みではまったくもって無かったということ。

映画はご存知のとおり、FACEBOOKが出来るまでと仲間内での金銭の揉め事を描いていて、決してコンピューターの技術的な話をしているわけではないのね。基本的にそのサイトを取り巻く人間模様を描いたドラマなんだけど、ものすごくテンポが悪いのよ。始まってから1時間半は話の流れが凄く遅いの。出来事を忠実に映画に反映させようとしたのだろうけど、それで話のテンポが生まれず間延びな感じになってしまっていて、それって映画としてどうなんだろう…という疑問が。アメリカでの評判がすこぶる良かったから、アメリカ人には受ける感じの映画なのかしら。それともあのよいレビューはプロモーションの一環なのかしら…と大絶賛のレビューが存在すること自体が私たちには謎だったというのに、その映画が作品賞受賞。もう本当にアタクシ(たち)には訳がわからず。出演している俳優たちの演技も、主演のジェシー・アイゼンバーグ(『アドベンチャーランド』の彼ね)以外は特筆する必要もなさそうな感じ。ジェシーはうまかったわよ。ジャスティン・ティンバーレイクがショーン役で出ていたけど、別にジャスティンでなければならなかったという気もしないし。俳優陣らの演技が胸踊るほどに素晴らしかった『The King's Speech』と同じ日に観てしまったので、余計に比べてしまったかもしれませんが。

良い点を上げるとすると、ポスターにあった言葉は映画の内容を端的に表していていいなぁ、と感心いたしました。


“You don’t get to 500 million friends without making a few enemies”


イギリスでの上映は終わっているのだけど実はあまり話題にもならなかったくらい、注目度は高くなかったということも付け加えておきましょう。


ちゅーことで、話題作なので話のネタにはなるかもしれませんが、映画が面白いかと言われると…個人的には全然おすすめしません。



おすすめ度:★

*画像はいつもは映画のシーンを使用するのですが、この映画はポスターがすごく良いと思うので、そちらを使用しました。

*イギリスでは、ゴールデン・グローブ賞受賞後、再びいくつかの劇場で上映が再開されています。(2011年1月22日 追記)