やっと見ることができました!

上映当時から気になっていたものの、如何せん映画館のない田舎町

テレビかネットで公開されたら・・・と思っていたら、ようやくホールで見る機会がありまして

ストーリーはこちら↓
東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。
同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。
その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。
その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。
木々がつくる木漏れ日に目を細めた。
そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。
それが男の過去を小さく揺らした。
(HPより)
映画館ではないけれど、多くの人と同じ空気感を共有して鑑賞する時間、なんと!
2014年以来、11年ぶり!
もし、テレビで見ていたら・・・感想は変わっていたかも。
正直、地味。特に何かが起きるわけではない。
中高年男性の日常が、淡々と描かれている。
映像美、余白、そしてマニアックな音楽。
見る側の想像力が搔き立てられる、ドキュメントのような映画。
なのに、なぜか感動した。
これ、若い人が見ても、何も感じないかもしれない。
様々な経験を積み、歳を重ねると、ジワジワ来る、そんな感じ。
監督のヴィム・ヴェンダース氏は、小津安二郎監督を敬愛しているという。
小津監督の映画、ごく普通の家庭の日常を描いている、という一見地味な映画に、海外から評価されるというのは何とも不思議なこと。いや、ヨーロッパなどではこういう系統の作品が好まれるのかな。
小津作品、何作かチラ見した程度ですが、丁寧に描かれているけれど、敢えての?カメラ目線がとっても気になっちゃって(スミマセン

)
ヴェンダース監督の作品、辿ってみると「ベルリン・天使の詩」と「ブエナビスタソシアルクラブ」を見ていました。
正直、記憶にない

けれど、どちらも映像美と音楽が効果的に使われた、見る側の想像力を書き立てるようなドキュメントタッチの作品だった。その集大成のような作品が、「PERFECT DAYS」なのかな?(素人がスミマセン)
仕事で腹が立っても、通勤中、終業後、帰宅後、ささやかな楽しみが待っている。
一日同じルーティーンで過ごせるってことは、本当は何よりも幸せなことかもしれない。
それが「完璧な一日」。
ちょっとでもリズムが崩れると、困惑する。それもまた日常。
会話は交わさなくても、日常で出会う人が気になる。
名前も知らないけど、その人にも人生が、幸せな時間が必ずあるはず。
それも、誰もが経験する、ごく普通の出来事。
仕事はトイレ掃除。
それだけで、差別されがちだけど、実は彼は知的センスが高くて、仕事も完璧にこなす。
仕事や見た目で人を判断してはいけない。本当に。
最近いつも感じているけど、清掃の人がいてくれるおかげで、日本は清潔を保っているけど、それをどこまで感謝しているのかな、と。
道路の脇とかゴミだらけだし、山中は不法投棄でいっぱい。コソコソと捨てるような人種なので、清掃・ごみ収集がなければ、きっと世界一不潔な国かもしれないなって。
それにしても、東京って、いろんな形の公衆トイレがあるんですね。
東京五輪に向けて、一流の建築家が競ってデザインされたそうですが、今度上京したら、外国人観光客のように「ロケ地巡り」してみようかな。
また余談になりましたが。
さて。
いつもは、いぶし銀のような魅力、強烈な個性を放つ役所広司さんが、中年の男性を淡々と演じている。
それが、新鮮だった。
もちろん、彼にも過去はあるけれど、それは誰しもあること。
その日を淡々と、自分なりに完璧に過ごす。
いろんなシーンがあったけれど、一番印象的だったのは、出勤前、家のドアを開けた時に空を見上げる表情。あれが全てだと思う。
他にも、多くの個性派、主演クラスの人たちが、チョイ役で登場するのがもう驚きで。
ほぼ予習せずに拝見したので、それもサプライズで楽しめました。
挙げればキリがないのですが、田中泯さんが、本業?で登場。
やはり表現力は素晴らしい。
それから、柄本時生くん。ダメ男を演じたら、日本一だと思う(褒めてます

)いくら若者の代表でも、あんな人いる?と思わせるほど。
個人的には、ワンシーンで安藤玉枝さんが出てきたとき。声をあげちゃった

あの人も、この人も、登場してましたよね?
キャスティングセンスも素晴らしい

主人公も必要以上のことを話さない、無口な人。
関わる人たちも余計な詮索はしない。
日常って、そんなものじゃないかな。
余白が大事な時間にできる、幸せ。
昨今のドラマや映画。
セリフ劇は別として、普段あんなに会話する?というくらい説明セリフが多くて、しかも早口。賑やかなBGM。内容も合うものが少なくなってきてるけど、そういう賑やかすぎる番組だから耳障りというか、苦手になってきたのかもしれない。
トークもそう。余白を作らないよう、誰かがずっと喋ってる。考える時間、「間」って大事だと思うのだけど。
・・・
実は。。。
県内で開催された
映画祭で上映されたのですが、なんと!主演の役所広司さんがトークショーに登壇!
チケットもあっという間に完売だったそうですが、お誘いいただいて、見る機会を得ることができました

映画を見た後に、主演の役所さんからお話を聞ける、これ以上ない贅沢な時間。
テレビで拝見する、あのまま。素敵な声のトークも穏やかな大人の方

客席が、彼の一言、ひとことを食い入るように見ていた空気感。これも貴重な時間だったな。
その後も、時間を共にした方たちとお話が尽きず。
豊かな時間を過ごせました
