脚本家、山田太一さんが亡くなった。
正直、代表作とされる「岸辺のアルバム」「ふぞろいの林檎たち」は、きちんと見ていません。
チラ見とか、中井貴一さん、柳沢慎吾さんなどのエピソードトークから、何となくストーリーをしている程度。
私がとても好きだったのは、
「男たちの旅路」
「シャツの店」
「高原へいらっしゃい」
など、70~80年代の、不器用な男たちの奮闘、もしくは日常を描いたドラマ。
大河ドラマ「獅子の時代」
も、幕末期のオリジナル作品で、無名(架空)の主人公たちの奮闘、葛藤の熱量に圧倒された。
主演の菅原文太さん、加藤剛さんの熱演もあり、いわゆる一般的な「幕末もの」とは一線を画す、印象的な作品でした。
といっても、「シャツの店」以外は、BSやCSでの全部後追い。
古いけれど、「古臭い」とは思わない、どれも見ごたえのある作品だった。
テンポの良さや謎解きとは無縁。
ごく普通の人物の心情を丹念に描かれ、かつ世相を反映した、「ながら見」では到底視聴は無理な作品。(なんでもそうだけど)
といいますか、「ながら見」にさせない力強さ、反骨精神があって、見始めると手が止まる。食い入るように見てしまう。そんな作品の数々・・・(な~んて偉そうに😁)
山田さんの作品の一覧を見ていると、単発ものを結構見ていました。
それも、主演が鶴田浩二さん、高倉健さん、山崎努さん、緒形拳さん、渡哲也さん・・・いわゆるいぶし銀の「映画スター」が主演されてるものばかり。なぜだろう。完全に私の趣味
山田さんの脚本に絶対的信頼を寄せていた、山崎努さんの談話が新聞で紹介されていて、とても印象的だった言葉。(曖昧な記憶ですが)
「脚本は素晴らしいのに、演出・演者によってドラマが全くつまらないものになった。申し訳なかった」
どの作品かはわかりませんが、そういうジレンマ、あるのかもしれませんね。
山崎さんも、中井貴一さんも言われてましたが、山田さんの信念は「セリフは一言一句変えてはならない」とのこと。
橋田壽賀子さんもそうでした。
自分の手を離れたら、あとは自由に、という方もいるみたいなので、どちらが良いとか悪いとかわかりませんが、それは、想像を膨らませ、世界観を絞り出して作った作家としては、変えられるのが許せないのもわかる気がします。
活字上はいい作品なのに、でき上ったドラマがヨロシクないって、ね。
演者の力量もあると思いますが、演出・監督の手腕も大きいんですね。
黒沢監督や市川崑監督などは、確か脚本にも携わっていましたよね。
でも、演出家・監督の手腕も大きいし、「演者」の力量も重要。
最近、特に感じます。
特に、「原作もの」の場合、「上手くアレンジしたな」と思うものもあれば「別物」だったり「あえてやらなくてもよかったのでは?」と思えたり。
逆に、本はイマイチでも、演者の力によって、面白く仕上がるものもあるかもしないけど。
やはり「長時間労働」にならないよう、気を付けているのでしょうし、長くやったからと言っていいものができるとは限らないけど。
などと感じたり。
今年はなんだか寂しい、残念な話題が多すぎる。
きっとCSでは「ふぞろい~」シリーズを放送してくれる(希望的観測)ことでしょう。その時は、ぜひ拝見したいです。
誰か手を抜いたら、きっとそれだけのものになってしまうのでしょうね
素晴らしい脚本があって
熱のこもった演出家がいてこそ
役者が光るのだと思いました。
やはり、エンタメは「総合芸術」なんですよね。
誰かが手を抜く、事務的になると、いいものも残念な結果になる。
脚本、演出、役者が揃った時、人の心に残る作品になるのかもしれないですね。
私は 早春のスケッチブックが忘れられません。
高校生の思春期の悩み多き時期の自分には 鮮烈でした。苦しんだり悩むことが楽になり救われました。
山崎さんのセリフは心に突き刺さり 河原崎長一郎さんの家族を支える父親像
男たちの旅路の車いす編は辛くなったことを覚えています。
数多く作品を残されている山田さん。それぞれ思い入れありますよね。
私は「早春スケッチブック」は未見なのですが、放送があれば、ぜひ拝見したいと思います!
どの作品も、日常生活の中の小さなドラマで、見る側が共感したり、考えさせられたりします。
こういう骨太なドラマを描ける方が少なくなり、寂しい限りです。