一日遅れとなったが、きのうの「暴れん坊将軍」はある意味、大岡忠相が主役だったかもしれない。吉宗と忠相は吉宗がまだ紀州にいたころに隣藩を治めていた忠相の思い切った政策に共感し、相照らす中となったとされている。今回の騒動の端緒は、そのころにさかのぼる。ある悪幕臣が、当時の忠相の領域で大水害があり、農作物への被害を食い止めようと作業していた庶民を忠相が斬り殺した、といううわさを流したのだ。そいつは次の町奉行を狙っており、まいない(賄賂)で地盤を強めて行ったが、その原資は両替商などへの火付け盗賊で得たものだった。そして、それを治安を守れない忠相のせいにしてしまおうとしていた。
忠相には、腑に落ちないことがあった。幕府で弟のように接していた市之丞という目付が火事のある時にいつもそばにいることだった。市之丞は悪の組織にだまされた挙句、親しかったからこその親近憎悪から忠相失脚に手を貸していたのだ。
話は長くなったが、ここでいよいよオレにとっての主役、おみわが絡んでくる。紀州の山中で殺された人物の女房だ。夫の仇憎さに悪事に巻き込まれるが、次第に忠相がそんなことをする人物ではないと思うようになる。そのおみわを演じたのが、栗田よう子さんという女優で、どこか陰のある、上品な美しさを醸していた。
最後は、吉宗の茶会で吉宗に毒入りの茶を飲ませる役を命じられたが、いざその場になったときに「できません」と断り、悪の陰謀が露呈、成敗されるという結末だ。市之丞はその場で切腹した。
栗田よう子さんは、出演当時、30過ぎか。でも、オールド層には名前を憶えている方も多いのでは。彼女は、19歳で日活ロマンポルノでデビューして、しばらく人気を得たあと、本格的に女優に転じたという経歴を持つ。日活ロマンポルノは、今の「激しくヤリャいい」というAVとは違い、ちゃんとしたストーリーがあった。だからこそ、今から見れば物足りない濡れ場でも我が身は天を突くほどの反応を見せていた。出演作も「女生徒」「桃尻娘」など、当時のトップブランドだ。そのころのエッチな画像を見たい方はご自由に。
本格派女優になってからは、時代劇が多かったように思えるが、若いときは薬師丸ひろ子の映画「セーラー服と機関銃」や国営の朝の連ドラに出たりと、活躍していた。今でもテレビドラマに出ているよ。
今ではAV女優崩れが「元セクシータレント」とか言う肩書で、バラエティなるただの時間つぶし番組でさらされているが、栗田さんのように女優をまっとうしてくれる人物は出てこないのかね。