暴力団絡みのニュースは絶えないね。きのうは、市民を襲撃した4つの事件で殺人罪などに問われている特定危険指定暴力団工藤会(本部・北九州市)トップとナンバー2の控訴審が福岡高裁であったという。一審では両被告は死刑と無期懲役を言い渡されている。被告人質問が行われたが、両被告とも、会を脱退したり、会長職を退いたりする考えを示したという。
暴力団のニュースを見聞きすると、思い出すのは、リサのことだ。お父さんはある組の組長だった。ずいぶん前かもしれないが、2度くらい書いた(https://blog.goo.ne.jp/pini/e/ecf39ccc7a8bb65317d4eb2121bacebb)。
(写真と本文は全く関係ありません)
単なるキャバクラでの客とキャバ嬢という関係だったが、彼女はいろいろなことを話してくれた。オレが地方に転勤してからも、電話で話をしていた。そして、彼女が一番悩んでいたのが、たまに名古屋から出張で東京に来て、いつしか体の関係を持つようになり、当然のように妊娠したことだった。
それまでは、独身と言ってリサロと結婚したいと迫っていたが、実は妻子持ちだった。オレは「そんなの、お父さんに言いつけて、若い衆にでもカネ巻き上げさせるなり、それなりの制裁加えてもらえばいいじゃん」と、言った。しかしリサはしばしの沈黙の後、「お父さん、死んじゃったの」。「え!」。「お父さんが死んじゃうとね、慕ってくれていたように見えた周りの組員はスぅーといなくなっちゃった。もう頼る人がいないの」。
別にオレに解決を求めているわけではない。誰かに聞いてもらいたかったのだろう。「とにかく堕胎だな」。「でも・・・」。「シングルマザーでお父さんもいないで、やっていけるわけないだろ。相手とは話してるの?」。「前も言ったけど、要領を得ないのよ。その間におなかの子はどんどん大きくなっている」。「とにかく、堕ろすこと。オレが言えるのはそれだけだ」
リサは「わかった。考える」そう言って、電話を切った。彼女から次の連絡があったのは、1週間後だった。