電車を持っているとき、前にタイトなニットドレスの女性がいた。肩をゆうちゃみ並に露出している。そして、形も大きさもいいケツ。じっくり見せてもらっていたら、電車が来た。
たまたま乗ったのは、優先席脇のドア。席はすべて埋まって、立っている人もそれなりという状況。オレはゆうちゃみに引かれるように、優先席の方に行き、ゆうちゃみとは反対側のつり革につかまった。「いいもの見せてもらったな」と反芻していると、じきに次の駅に着いた。オレの前の席を立つ人はいなかったが、後ろで立つ気配がした。オレは反射的振り返ったが、前に立っていたゆうちゃみが開いた席に座ろうとしているところだった。まだ後ろ姿だったけど。別に座りたかったとは思わなかったので、また前を向いたら、だれかがオレの背中をたたいた。振り向くと、ゆうちゃみ。どうぞ、と空いた席に笑顔で手を差し出した。オレがそんなに不具者か年寄りに見えたのか。
ゆうちゃみのカオを初めて見た。東欧系な感じを受けた。東南アジアと日本の掛け合いかもしれないが。オレは「いいんですか? ありがとうございます」と柄にもなく丁寧な言葉を発し、座らせてもらった。ゆうちゃみは、何も言葉を発せずに次の駅で降りた。
優先席を譲られるとは、複雑な気もしないでもないが、あのファッションのゆうちゃみの優しさを感じた、ケツを見ていた以上の幸福感を感じた。