けさの吉宗は、いっぷう変わった作風だった。たいていは悪人と悪玉幕臣はわかっていて、そいつらを証拠を突きつけて成敗するという展開が多いが、今回は、下手人候補が何人もいる犯人捜し。しかも舞台は信州の鄙びた宿という設定だ。
真田家で門外不出の密書が盗まれる。蔵を守っていた伝八は厳しい調べを続け、真田家のお家騒動と見て信州入りした吉宗を当初は疑うが、次第にともに解決を目指す。容疑者は鄙宿の旅人たち。吉宗を含め、蒔絵師、薬売り、易者、帰省途中の娘、突然宿の女中を始めた娘・・・など、みな怪しい。伝八は宿の炉端に集めて取り調べを行う。
(左端が伝八)
話が進むと、皆それぞれの事情を持っており、それぞれの行動により容疑者から外れていく。結果、下手人は伝八の上司に当たる藩の町奉行だった。取り調べの炉端にはいなかったが、悪事は露見する。裏には真田家を取り潰そうと画策する幕府の重鎮がいた。真相に近づきすぎた伝八は町奉行の刺客により殺されてしまう。
今回の成敗は、吉宗の気持ちが入っており、より爽快だった。しかし、江戸から信州まで“出張”した吉宗は、どれくらい歩いたのだろう。