思いつくまま

思いついたことを書いています。

イビチャ・オシム著『オシム@愛と勇気』(文藝春秋)を読む。

2011年02月24日 23時00分00秒 | 読書
サッカー元日本代表監督のイビチャン・オシムちゃん関係の本を読むのはこれで3冊目。
この本は、2010年南アフリカワールドカップ開催中にオシムさんがスカパーで17試合の解説を務めたが、その時にオシムさんがツイッターで公開したつぶやきをまとめたもの。
病気で倒れなければ、監督として率いる予定だった日本代表の4試合+ブラジル・ドイツ・アルゼンチン・オランダ・スペインなどの試合中のつぶやきだった。
解説の時にその場で通訳をしていた千田善氏の文章も併せて載せてあった。

オシムさんのウイットに富んだつぶやきはとても面白く、また、日本代表に対する愛情が感じられる内容になっていた。

つぶやきの内容、どの試合か思い出される試合も多い。
・ブブゼラはハチがブンブン飛んでいるようだ。私はハチミツのほうが好きだ。
・トゥーリオ、オウンゴールはやめてくれよ。
・大久保をふたりがマークしてくれたおかげで本田がフリーになった。小さいからふたりもマークいらなかったのに。
・アルゼンチンはタンゴのリズムでゆったりゲームをすすめた。 韓国はそのタンゴに踊らされた。
・本田の体格、若さ、勇気が武器になる。
・トゥーリオと(中沢)ユージは協力してファンペルシーと1対1の状況を作らせるな。
・俊輔 もっとプレイスピードをあげるんだ。
・オランダ戦の録画を見て、もう一度残念がってください。
・おれがしゃべるとPKになるんだ。(ニヤっ)
・あと3回言おうか、PK PK PK。
・ホンジュラスは私から見たら11個の穴があいている。
・反対に穴がありすぎて(スペインは)どこから攻めていいのかわからないかもしれない。
・チーム内に問題がなくても新聞記者が作ってくれる。
・エジル(ドイツ代表)は羽生に似ているな。
・日本代表、明日は勇敢に戦え。
・引き分けでOKだが、それを試合前に考えるな。
・スルーパスのタイミングだった。長友はスルーパスを知らないのか。羽生(にそっくりなエジル)ならできるぞ。
・トゥーリオ、ボールをとるところまではスーパーだ。ドリブルは余計。
・チリは心理学の単位を取っていなかったんだろう。
・まるでドゥンガがプレイしているようにブラジルには規律がある。
・松井はパラグアイ人のようなプレイをしている。それでいい。
・こっちが早く決めないとむこうに決められるぞ。
・このままでは後悔することになりかねない。
・今日入れないと一生ないぞ、玉田!
・相手に勝たせないサッカーなのか、自分たちが勝ちたいサッカーなのか。
・こぼれたミルクは元にもどらないという諺があるが日本代表はミルクをこぼしてしまった。
・残念です。本当に残念です。こんなチャンスはめったになかったんです。
・120分戦った後でルーレットの様なPK戦に挑まなければならない選手達の心境を思いやってください。
・日本代表だけでなく、Jリーグを応援してほしい。ファンのみなさんは選手にプレッシャーをかけてあげてください。
・私もここで一緒に戦っていました。
・ブラジルは永遠のチャンピオンだと、ハーフタイムに思ってしまったかもしれない。
・メッシが通用しないこともある。
・代表に選ばれるためには長い国歌を歌えなくては駄目だ。
・両方の選手がミスをしたら負けだとわかっている神経戦だ。
・半分以上がバルサなんだからメッシがいればいいのにな。(ニヤっ)
・ルールが許すなら全員交代だ。
・スペインが勝ったというよりは、ドイツが負けた試合だ。
・日本には日本のやり方しかない。
・スカパー!の1カ月は悪くなかった。しかし、ナマ放送で、試合後に何か気の利いた面白いコメントをというプレッシャーがかかると、ゲームに集中できない。
・視聴者がおそらく見えていないであろうことに、注意を喚起するコメントを意識した。メッシがボールを持っているのは誰でも気がつく。その時、他の選手が何をしていたのか。そこに気が付いてもらえるよう心がけた。

これはつぶやきではなく記者会見のイングランドとの強化試合後の発言
「日本がヘタなプレーをすると私は責任を感じる。私が日本でしてきたことは無駄だったのかと思ってしまう。あるいは私がいったことが日本人には聞こえていないのかと思ってしまう。実はテレビでサッカーの試合を見すぎないようにとドクターからいわれている。私はこの瞬間にもリスクを冒しているわけです。リスクを冒さなければ収穫もないと繰り返しいってはいますが、選手たちは私の命の一部になっている。日本代表は私の一部なんだ。目の前にはまだチャンスがぶら下がっている。それを生かさなければ残念な結果に終わってしまう。」

いくら強いチームであっても、相手は同じ人間、ミスもする、スーパースターはマスコミが作っているだけかもしれない、だから日本人も怖がらずにリスクを冒してでも攻めろ!というオシムさん、これからも温かく日本代表を見守っていてもらいたい。
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村山斉著『宇宙に終わりはあるのか?』(ナノオプトニクス・エナジー出版局)を読む。

2011年02月18日 23時59分59秒 | 読書
『宇宙は何でできているのか』(幻冬舎新書)がベストセラーになった素粒子物理学者の村山斉さんって、お笑い芸人の「ハイキングウォーキング」の鈴木Q太郎にそっくりだなぁ。http://q-chan.laff.jp/
ベストセラーの本の方は本屋で立ち読みしたが、自分にはイマイチだったのでこちらの本にした。
がっ、相対性理論などの基礎知識が多少あっても、素粒子論なんて全く素人の自分にはやはりむずかしかった。
それでも、宇宙や素粒子に関するいろいろな理論、ノーベル物理学賞を受賞した人の理論などもちりばめられて紹介されたりして、現在の最先端の物理学の研究内容がわかって、なかなか面白かった。
あとでこのブログを読んだら何か少しは思い出せるかと思って、ちょっと内容を書き留めておく。

第1章 宇宙に終わりはあるのか?

宇宙は0.5%の星や銀河、水素やヘリウムといった4.4%の原子、0.1~1.5%のニュートリノ、22%の暗黒物質、73%の暗黒エネルギーからできている。
宇宙の歴史はビッグバンから始まって今は137億歳頃、38万歳頃に出てきた光は観測できる。それ以前に登場するのが暗黒物質。
ニュートリノは毎秒何十兆という数で私たちの身体を通り抜けている。暗黒物質は地球をスルスルと通り抜けている・WIMP(ほとんど相互作用しない重い粒子)・ビッグバンの時にできた粒子。目には見えないが、実験室で作ることができる。
宇宙は70億年前から加速しながら膨張している。宇宙が広がるとエネルギーが薄まる・エネルギーが減るので宇宙の広がり方が遅くなるはずなのに、実際には早くなっている。これには暗黒エネルギーが関与している。
宇宙の終わりはビッグクランチ(膨張が減速して止まり、収縮を始めて最後はグシャッと潰れる)か、ビッグリップ(膨張速度が無限大になって、銀河も星も引き裂かれて原子レベルに、原子も引き裂かれて電子と原子核に、とにかくすべてがバラバラになって宇宙が空っぽになって終わる)か、それとも永遠に普通(加速も減速もせず)に膨張し続けるという3つの仮説がある。
結局、この本のタイトルの答えを見つけることができなかった。ヲイヲイ。

第2章 素粒子と宇宙

大きな宇宙を知るには小さな素粒子を知ることが必要
「アインシュタインの夢」、物事の根本には単純な真理があって、それで自然界の現象は全部説明できるはずである。
力学の法則&重力の法則・マックスウェルの理論(電気と磁気は同じ力)・特殊相対性理論・一般相対性理論・量子力学・電弱理論・大統一理論・ひも理論
重力・電磁気力・弱い力・強い力の4つの力を統一するための研究が続けられている。
素粒子には「クォーク」と「レプトン」がある。それぞれ6種類があり、2種類ごとにペア「世代」になっている。量子力学と相対性理論の融合、一般に電子や陽子は粒で光や音は波と習うが、量子力学では「粒は波・波は粒」という考え方をする。
どんなものにも反物質があるという予見、重さは同じだが電気が陰と陽で反対になっている。宇宙には反物質がない。
重さとエネルギーは同じE=mc2、光速に近いと時間が遅れ、距離が縮み、重くなる。
ハイゼンベルグの「不確定性関係」、少しだけエネルギー保存則を破って、エネルギーを借りても良い、借りるエネルギーの量が大きければ大きいほど、返すまでの猶予期間が短くなる。

第3章 宇宙原始のスープ  このあたりからむずかしくなる。

宇宙の始まり→2700℃・38万年・晴れ上がり→10億年・クエーサーや宇宙マイクロ波→100億年・銀河→現在137億年
21cm線
「ラザフォード実験」、ティッシュペーパーに弾丸を撃ち込んだら弾丸がはね返ってきた、この結果、原子の中は電気の固まりが中心にギュッと詰まっている。
原子=電子+原子核 ←電磁気力で結びつく
      原子核=陽子+中性子 ←「強い力」で結びつく、ネーミングにセンスが無い。
2つの中間子=パイオン(パイ中間子)、ミューオン
クォーク=アップクォーク・ダウンクォーク・ストレンジクォーク・チャームクォーク(1974年の11月革命で見つかった)
グルーオン(糊の粒子)、ジェット(粒子の束)、トリスタン実験
クォークの色が元になってグルーオンを出しており、グルーオンにも色があって反応している。
宇宙が始まって最初の10万分の1秒ほどはクォークとグルーオンの液体だったが、温度が下がるとエネルギーも下がり、強い力がとても強くなってクォークが閉じ込められ、陽子、中性子、パイオンの世界になる。さらに宇宙年齢が1秒くらいの頃に、陽子と中性子が結びついて原子核ができた。
太陽よりも大きな星が寿命の最後にグシャっと潰れた反動で大爆発を起こす「超新星」のおかげで、大きな元素ができた。私たちは「星のかけら」。

第4章 型破りな「弱い力」

β崩壊を引き起こす力が「弱い力」、こちらもネーミングにセンスが無い。
β崩壊が起きて、原子核から電子が出てくる時には「ニュートリノ」が出て、エネルギーを持って運んで逃げている。
太陽はただ燃えているわけではなく、弱い力を使って核融合を行っている。太陽はエネルギー(=質量)を放出しながら毎秒43億kgずつ軽くなっている。そこでニュートリノができている。ニュートリノも私たちの身体を毎秒何兆個も通り抜けている。
スーパーカミオカンデでは、太陽から出たニュートリノをとらえることができた。(小柴さんがノーベル物理学賞)
強い力はグルーオンという粒子が飛ばしている。そして、弱い力はW粒子が飛ばしている。パイオンは宇宙線の中で割りと簡単に作られるため、高い山に登れば見つけることができたが、W粒子はCERN・欧州原子核研究機構でエネルギーをつぎ込んで人工的に作ることができた。
重力や電磁気力、強い力などどんな力にも左右の区別が無い物理法則・「パリティの保存」、このパリティが破れていることが発見された。ニュートリノはすべて左巻き、鏡に映しても右向きにならない。
粒子と反粒子を入れ替える「C変換」とパリティの「P」で「CP」、CPの破れを理解するためには、素粒子が3種類ずつあるべきだ。「小林・益川理論」
素粒子には、①電子・ミューオン・タウオン&②ダウンクォーク・ストレンジクォーク・ボトムクォーク&③アップクォーク・チャームクォーク・トップクォークという3種類が3世代ずつある。この存在がすべて確認されて、CPが確かに破れていることが確認され、2008年のノーベル物理学賞となった。
結局、クォークには、アップuとダウンd・チャームcとストレンジs・トップtとボトムbの3世代、レプトン(「軽い粒子」という意味)では、電子eとミューオンμとタウオンτの3世代があり、さらにそれぞれにはニュートリノである電子ニュートリノveとミューニュートリノvμとタウニュートリノvτが付いている。
さらに、光の粒子である光子、強い力を運ぶ粒子のグルーオン、弱い力を運ぶ粒子のZ粒子とW粒子がある。
重力を運ぶ粒子はまだ見つかっていないが、「重力波」という名前が付いており、あと5年くらいで見つけられるのではないか。
弱い力は遠くまで届かない。南部陽一郎さんが2008年にノーベル物理学賞を受賞した「対称性の破れ」では説明できるが、実験的に証明されていない。
宇宙はヒッグス(暗黒場)で満ちている。これがW粒子の行く手を邪魔している。ヒッグスの粒子もまだ見つかっていないが、2015年頃には観測できると期待される。
私たちの身の回りは、すべて6つのクォークと6つのレプトンで作ることができ、その間に重力・電磁気力・強い力・弱い力が働いている。「標準模型」

第5章 暗黒物質と消えた反物質の謎

「標準模型」にほころびが出てきた。なぜあるはずの反物質が無いのか。
暗黒物質がキセノンにぶつかると光を発するが、この暗黒物質を確認するために神岡にあるXMASSで観測を行っている。
私たちのいる空間は3次元だが、実は目に見えない別の次元があって、暗黒物質は異次元を動いているのではないか?
太陽ニュートリノ問題、カムランド実験、ニュートリノ振動
(仮説)宇宙の本当の始まりには、物質と反物質が同じ数だけできた。ところが、反物質の中にある10億個の反ニュートリノのうち1個だけがニュートリノに変わってくれたおかげで少しずれが生じた。その後で物質と反物質が出会って消滅すると、物質がほんの少し余る。これが私たちだ。
暗黒物質とは一体何なのか?反物質が消えたのは一体どういう仕組みなのか?ということは、まだわかっていない。

第6章 宇宙に特異点はあるか?

ブラックホールとビッグバンは特異点
宇宙の特異点の性質は、「無限に曲がっている」ということ。特異点ではエネルギーが無限大になって、ふだん使っている物理法則はすべて破綻して、役に立たなくなる。
ブラックホールからは光が出てこないので、ブラックホール自体は見えず、真っ黒だ。
ホーキング博士が、1974年にブラックホールには熱があると言い出し、暗黒の天体だと思われていたブラックホールから、少しずつものが噴き出していることを発見、これを「ホーキング輻射」と呼ぶ。
ひも理論=粒子は粒ではなく、実はゴムひものように広がったものという考え方
IPMUの佐藤勝彦先生の「インフレーション」理論、宇宙の最初には急に引き伸ばされる時期があった。
特異点を解消するためには、数学者の研究が必要


http://blog.goo.ne.jp/piopure/e/cd8d1e093c4cc3d61b7bb3d1bef529cf
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落合博満著『コーチング 言葉と信念の魔術』(ダイヤモンド社)を読む。

2011年02月11日 23時41分41秒 | 読書
ねじめ正一の本の紹介 http://blog.goo.ne.jp/piopure/e/0d22db476b77ac4cf3d4c1976e56d581 の時にも書いたが、自分が中日ドラゴンズのファンだということを知っている方でいつもお世話になっている方から、一度読んでみなさいと言われていただいた2冊の本のうちのもう1冊のもの。

言わずと知れたプロ野球セ・リーグ中日ドラゴンズの落合監督が書いた本。
この本は2001年に出た本で、落合監督が現役を引退して、まだフリーな立場で解説者をやっている時に書かれたものだが、今の中日ドラゴンズの試合や選手起用などを見ていると、本当にこの頃から全く信念が揺らいでいないことがよくわかる。
また、これはプロ野球選手というよりも一般の社会人向けに書かれた内容なのだが、野球のことしか知らないと思っていた落合監督の指導力が、自分にとっても非常に身にしみるものになっているということが驚きである。


タイトルを読むだけでも内容がよくわかるので、抜粋して書いておく。

コーチは教えるものではない。見ているだけでいいのだ
手取り足取りは若い者をダメにする。アドバイスは“ヒント”だけ
「1+1」だけが2ではない。答えから導く式は無数にある
すぐに結果を求めるな。大切なのは「ケイゾク」
本当に部下を育てたければ、一回の失敗までは許そう
欠点を直すこと。それは良い部分が失われることでもある
最も優秀なコーチこそ、一軍ではなくファームに置きたい
「そんなことは常識だ」という前に、納得できる理由を示せ
「なんだ、そんなこともわからないのか」は上司の禁句
部下に気持ちよく仕事をさせるのも上司の仕事
「自分がいなければ困るだろう」は自己満足。周囲にとっては大迷惑
人を育てるというのはデリケート。ひとつの成功例が次にも当てはまるとは限らない
「良いコーチ」と言われたいのか、それとも「良いコーチ」になりたいのか
「言われなくてもわかっている」で片付ける部下は大成しない
責任は、まず組織の長が取る。そして当事者にも取らせるべきだ
「彼にこう言っておいてくれ」、第三者を介した話のキャッチボールは危険
上に立つ指導者であってもわからないことは「わからない」と言おう
先入観は捨てられないもの。だからこそ先入観であることを自覚せよ
まず「個人」があって「組織」がある時代。明確な目標設定でモチベーションを持て
食事と睡眠。精神的スランプ克服法はごくシンプル
経験に裏づけされた「感性」を研ぎ澄まし、自分自身を洗脳せよ
直属の上司だけが指導者ではない。自分の指導者はもっと増やせる
他部署の人や異なったカルチャーを持つ人間と話をしよう
勝負を急ぐな。避けられるリスクを負うな
プレッシャー克服法は「開き直り」ではない。「やるべきことはやった」と実感することだ
勝負は先行する者が有利。差をつけたら、そこから追い込み型に切り替えよ
「時間がない」は単なる言い訳。時間の使い方が下手なだけだ
たとえ結果が出なくても、自分がやってきた事実まで否定するな
チャンスは、どんな形でやってくるかわからない。だからこそ、常に真面目に生きる
人生で満点の答案は書けない。だから、壁にぶち当たっても逃げるな
良き理解者が三人いれば、人生は見誤らない

う~~ん、落合監督   、中日ドラゴンズの監督就任7年間で、リーグ優勝3回、日本一1回、やっぱりすごいなぁ。
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香山リカ著『本を読むってけっこういいかも』(七つ森書館)を読む。

2011年02月02日 22時22分22秒 | 読書
これは香山リカさんが自発的にではなく、書評や文庫の解説を書くために編集者から依頼されて読んだ本・漫画が53冊紹介されている。
第1章が「うつ化社会の処方箋」、第2章が「生きづらさを感じた時の読書術」に分かれている。
精神科の医師として、プロレス好き・漫画好きのアラフィフ女(NHK青山祐子アナがニュース番組で言ったアラファイブにあらず、ついでに「席巻」は「せきまき」にあらず)としての観点から書かれているように感じた。

自分の気になった本

『建てて、いい?』中島たい子 講談社 オンナがひとりで家を建てて何が悪い?
『暴れる系の女たち』ネ今野未矢 講談社 「女の幸せ」を舐めているオメデタイ男たちに
『モンスターマザー 世界は「わたし」でまわっている』石川結貴 光文社 暴走妻に引きこもり妻 それは明日の私
『ミッドナイト・クライシス』茅野裕城子 集英社 滑稽でちょっぴり哀しい女40代後半胸のウチ
『脳から見たリハビリ治療 脳卒中の麻痺を治す新しいリハビリの考え方』久保田競・宮井一郎 講談社ブルーバックス 人が脳を自在に使える日は来るのか?
『すすんでダマされる人たち ネットに潜む[カウンターナレッジ]の危険な罠』ダミアン・トンプソン著、矢沢聖子訳 日経BP ねぇねぇ知ってる?ここだけの秘密なんだけどさ
『信じない人のための<法華経>講座』中村圭志 文春新書 私もあなたもブッダになれる
『キュア cure』田口ランディ 朝日新聞社 人はなぜ生まれ、どこへいくのか
『エミリー・ザ・ストレンジ』コズミック・デブリ著、宇多田ヒカル訳 メディアファクトリー ”不思議ちゃん”に自分の夢を仮託する
『雨宮処凛の闘争ダイアリー』雨宮処凛 集英社 今日を生き延びる現代の若者のリアル
『股間』江本純子 リトルモアブックス 演劇の神が遣わした両性具有の天使
『決めないことに決めた つれづれノート(16)』銀色夏生 角川文庫 取るに足らない日常に幸せを見つけた


ほかに印象に残ったこととして、「ライナスの毛布」って言葉、意味は全くわからないけど- - -。
安居良基の『世界でもっとも阿呆な旅』、これはつボイノリオ大先生推薦の『世界一へんな地図帳』&『日本一へんな地図帳』に出てくるようなアホな地名のところへ出かけて行っちゃう本のようだ。

なかなか本を1冊読むのも時間がかかって大変だが、暇があったらいろいろ読んでみたい。
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勝間和代・宮崎哲弥・飯田泰之著『日本経済復活 一番かんたんな方法』(光文社)を読む。

2011年01月24日 00時00分10秒 | 読書
これは約1年前に出た本なのだが、今でも十分役に立つ。

この本(3人の対談)は、デフレと円高を解消して日本経済を復活させる提言がなされている。
結論から先に言えば、日銀がきちんと金融政策、すなわち、インフレが2%を超えるまでゼロ金利を継続する、日銀自身が国債を購入して、資金を市場に提供する・貨幣供給量を増やす、を実行することが一番簡単な方法なのだ。

勝間さん曰く「おカネの供給を増やせばいいのです。そのためには日本銀行という選挙で選ばれないエリートたちを動かす必要があります。それは政治の役割です。私たちがデフレの害をしっかり認識して、声を張り上げていけばその声は政治を動かし、結果的に日銀のエリートたちも無視できなくなります。そして、将来この過ちを繰り返さないために、政府と日銀が目標を共有する枠組み、仕組みをしっかりと法律として成立させましょう。」
日銀は、国民のエージェント(代理人)として国民の利益のために行動する義務がある。なのに日銀が依頼人である国民の利益に反して日銀自身の利益を優先した行動をとっている。日銀は選挙の洗礼を受けず、世論とメディアに適当なことを言って批判をかわしていれば、直接国民の怒りに触れることが無い。

自分は大学では経済学を専攻していたが、一昔も二昔も前の近代経済学をちょこっとかじった程度だったので、不況と言えばY(国民所得)=C(消費)+I(投資)+G(財政支出)のうち、Yを増やすにはCやIが伸びない中ではGを増やすしかないということで、財政政策が重要だと思っていた。
しかし、この本によればデフレもインフレも金融政策だけで解消できると書いてある。
にわかには信じられない極端な意見のような気もするが、客観的な経済統計などエビデンスに基づいて分析すれば金融緩和は当たっているようだ。

第1章の「「失い続ける日本」の課題」、なんだかグダグダしていてほとんど頭に残らなかった。
でも、第2章の「デフレは百害あって一利なし」、第3章の「正しい金融政策を実行せよ」は明快でわかりやすかった。

円高、海外の労働者に比べて日本の労働者の給料が割高になり、雇用が海外に逃げてしまう。特に製造業に影響が大きく、愛知のように製造業依存度が高いところでは影響が大きい。
1ドル90円が130円にまで円安になれば、農業だって関税をかけなくたって海外からの農薬にまみれた輸入野菜の価格が相対的に高くなって、安全な国内産を消費するようになる。

一部のエコノミストなどが主張している、消費はもはや飽和に達していて誰もモノを欲しがらなくなったのがデフレの真因だとか、経済成長はあきらめて貧しくても楽しく行こう、などという考えは間違いだそうだ。

昨晩の「デキビジ」でも同じことをおっしゃっていたなぁ。
もっといろいろ良いことがたくさん書いてあったが - - -。
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田村修一著『オシム 勝つ日本』(文藝春秋)を読む。

2011年01月02日 04時00分00秒 | 読書
この本は昨年途中まで読んで、ほったらかしにしてあったのを正月休みの宿題として読んだ。
好きなサッカーの本だからもっと簡単に読めるかと思っていたが、本自体がデカくて300ページ近くあって、内容も非常に濃いものだったので、なかなか読めなかった。

これは、オシム氏が日本代表・世界のサッカー・監督論などについて著者に語ったもの。日本のサッカーに関わる人達全員に読んでもらって、考えてもらいたい内容が盛りだくさんあった。

・日本代表のサッカーを強くするには、他国やヨーロッパの強豪チームのモノ真似なんかではなくて、また、監督に言われたことをやるだけではなくて、はたまたサーカス(単にボール扱いが上手いだけ)ではなくて、もっと厳しい状況(ヨーロッパや南米のチーム)に身を置いて経験を積んで、目的に向かって勇気をもってプレーすることが大切だ。
・世界のサッカーの分析にも長けている。イングランドのプレミアリーグ・ドイツのブンデスリーガー・イタリアのセリエA・スペインリーグ、オランダリーグやフランスリーグ、それにそれぞれのリーグを代表するビッグクラブの選手や監督に関する分析など、なかなか読み応えがある。
どうも日本人にとってはスペインサッカーが合っているようだ。
・ただし、ヨーロッパはもうカネまみれ、莫大なカネがサッカーにつぎ込まれている。スポンサー・会長・GM・監督・選手・サポーターとの緊張関係、ビッグビジネス化の問題点も指摘している。
・日本人ファンが今でもアーセン・ヴェンゲルさんを日本代表監督として心待ちにしていることもよくわかっている。Jリーグのチームでは、鹿島のオリベイラ監督、名古屋の愛弟子・ピクシー監督の評価も高いし、日本人監督の中では、ガンバの西野朗監督と川崎フロンターレ関塚隆(元)監督(アジア大会を制覇したU-21日本代表監督)を高く評価している。
今のJリーグには、以前のようなヨーロッパリーグでも通用する外国人選手がいない。
ただし、以前プレーしていたピクシーやジーコやレオナルドやドゥンガやスキラッチは結果は残したが、それに続く彼らに匹敵するような日本人選手の輩出には至らなかった。Jリーグでは日本人選手がレベルアップできる外国人選手を獲得すべきだ。
・監督論のところでは、オシム氏は選手を買い集めて即席チームを作るよりも、未熟な選手を時間をかけて成熟させることに興味があるとのことだった。
選手はもっと監督と議論すべきだし、Jリーグの監督同志で議論する場をもっと設けたり、ヨーロッパのビッグクラブの優秀な監督の考え方・哲学も聴くべきだ。

他にも、オシム氏がどのようにしてサッカーの監督に就任してきたのかとか、メディアやレフリー(選手が、相手選手の特徴だけではなく、試合当日に笛を吹くレフリーのクセなどもインプットすることなども当たり前のことだと思うが、これができていない選手もいる。)についても書かれている。

とにかく、オシム氏が自分の人生のすべてを賭けて真剣に取り組んだサッカーについて、ある時は大学教授のように、またある時は哲学者か数学者のように著者(田村氏)に語ったもので、非常に重みのある内容だった。

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ねじめ正一著『落合博満変人の研究』(新潮社)を読む。

2010年12月23日 22時55分55秒 | 読書
以前、あんこーるさんに教えてもらって読みたいと思っていた本だったが、パラパラと立ち読みした程度だった。
自分が中日ドラゴンズのファンだということを知っていて、いつもお世話になっている方から、最近になって落合監督に関する本を2冊いただいてしまったので 読んでみた。

中日ドラゴンズの落合監督について、現役選手時代の頃のことも含めていろいろな角度から紹介されていた。

前半は、落合博満氏のことを江夏豊氏・赤瀬川原平氏・豊田泰光氏にねじめ正一氏が聞いたもの。星野仙一氏や野村克也氏との比較があったりして興味深いところもあったが、どれがねじめ氏の発言でどれが対談者の発言なのか非常にわかりにくい表記でイマイチだった。

次に、巨人ファンだったが落合が中日に移籍してから中日ファンになったという冨士真奈美さんらとの対談があって、最後に、落合語録などをねじめ氏が分析したものだったが、どれも先に巨人・長島茂雄氏ありきの内容だったので、なかなか馴染めなかった。

ヤクルトから移籍して全く働かなかった川崎憲次郎を開幕戦でいきなり先発させたり、日本シリーズでパーフェクト目前のウルトラセブン・山井を交代させたことについても触れてあったが、自分の考えとは違っていて、やっぱりイマイチだった。

今の中日・落合監督が非常に素晴らしい監督だと思っているので、もっとその極意を知りたいと思ったのだが - - - 、この本が出たのが2年前、でもそれからも落合監督自身が進化した感じなので、やっぱり自分には書いてある内容に違和感があった。 

今年、中日新聞にずっ~と落合監督自身が書いた(しゃべった)「読む野球」というコラムが連載されているが、これを本にしたほうが変人といわれる落合博満氏のことがよくわかるような感じなのだが - - - 。
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岩中祥史著『名古屋の品格』(学研新書)を読む。

2010年11月20日 01時01分01秒 | 読書
おもしろそうだったので読んでみたが、2008年9月に出た本で、まだリーマンショック→トヨタショック以前のまだ名古屋が日本で一番元気がいいって言われていた頃の内容だったので、ものすごく違和感・お気楽感があった。 
大都市だが大いなる田舎の「名古屋」、いつまでたっても大都会にはなれないらしい。
タモリが言うまでもなく、昔から言われていたことだ。
のぞみの名古屋とばし、すがきや、地下街、フィギュアスケート、名古屋城ならぬ名古屋嬢、純金(金城学院に中学・高校・大学と通しで通った人)・18金・金メッキ、名古屋走り、基幹バスのバスレーン、ひつまぶし、いらんものはコメ兵に売ろう、お値打ち、結婚式が派手、などなどどれも名古屋を表現する言葉だ。
トヨタがコケてすべてが崩れてしまった。
この本に書かれていることは全くアホくさって感じ、いかにも名古屋のことをよく知っているというような感じで書かれているが、名古屋にはご当地ソングがないとか(名古屋はええよ!やっとかめ)、名古屋人は横並びが好きとか、住人のほとんどがツレだとか、うっかり車両の真ん中に入ると降りられないとか、文化への出費が少ないとか、著者の個人の主観が相当入っていて、名古屋でにゃぁじゃんだらりんの三河もなぜか一緒くたにされていて、うさん臭いばかりだった。
名古屋市民が選んだ河村市長と市議会の対立、品格なんかあるのか、たわけー、あらせんがね。

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茂木健一郎著『ひらめきの導火線 トヨタとノーベル賞』(PHP新書)を読む。

2010年11月11日 22時10分10秒 | 読書
日本人はモノマネは上手いが創造性が乏しいなどとよく言われるが、それは悪しき物語・フィクションで、実はそうではないんだ!ということが書かれていた。

・欧米人は「これは自分のオリジナルだ」と主張するのに対して、日本人は「~のおかげです」と謙遜を示す。
欧米では、1人の天才が突然ひらめいて、ゼロから画期的な発明や発見を生み出すとされている。そしてこれがノーベル賞。
・トヨタでは提案制度では、社員の1人ひとりが仕事上の問題点を探し、解決策を考え、うまく改善されれば提案書にまとめて提出する。この小さな改善の積み重ねが大きな成果となっていく。
人の歩よりも、人が歩ずつ、「ひらめき民主主義」
・つらいとか、やりにくいとか感じたら、慣れるまで我慢するのではなく、どうしたら楽になれるか考えろ、「やりにくさ」は改善のチャンス
・「視える化」、1人で悩まずにみんなで情報やアイデアを共有・オープンにして解決策を考える、今日のようなインターネット社会では特に有効
・ひらめいたことは書き留める。
・ホンダの「ワイガヤ」、役職や年齢や性別を超えて気軽にわいわいがやがや話し合うことも有効
・「勝ち組」・「負け組」のウソ、何を持って勝ったと言うのか?じゃんけん型相互作用、じゃんけんは3すくみだが、例えばグーがパーやチョキに強かったらグーしか残らない、でもそれでは片寄ってしまう、多様性は重要、仲間意識が多様性を保障する。
・「トヨタ語」が存在する。自分達のふつうが他の人にとってはふつうではない。
・トヨタも工場は、今は3Kとはほど遠い、例えば音楽が流れていたりして、「はてな」と変わらないような明るい職場になっている。
・日本は太平洋戦争で敗れたが、戦後不死鳥のように蘇り経済大国となった。しかし、時は流れ、現代の日本は自信を失いつつある。ジャパンバッシング(叩き)ジャパンパッシング(軽視)ジャパンナッシング(無視)へと国際社会の潮流は変化していく。一度潔くさわやかに明るく負けたほうが良い。
・最後は、日本語の世界で満足せずに世界に出よ・出せ。
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弘兼憲史著『気にするな』(新潮選書)を読む。

2010年10月26日 23時28分28秒 | 読書
言わずと知れた『課長 島耕作』の漫画家の弘兼さんが書いた本。喫茶店や待合室などで『課長 島耕作』は、読むとは無しに面白くて結構読んだ。
弘兼さんは、早稲田大学法学部を出て、松下電器に入社して、その後漫画家になった。最近は中日新聞の土曜日夕刊の「ハートナビ」にも回答者として登場している。

タイトルは「気にするな」だが、内容は弘兼さんの自伝のようなものだった。
漫画家として大成しても、一般の人が思い描いているような世界、つまり、海外旅行へ行ってのんびりしたり、毎晩お洒落なバーに行ってアルコールに浸ったり、素敵な女性と次々に恋愛したりするようなことは一切無く、昼夜もなくひたすら漫画を描く仕事をし続けなければならない、漫画ってそうやって作るのかということがよくわかった。
自民の麻生政権の時に麻生氏の趣味もあって、アニメの展堂を作る話があったが(民主政権でポシャッてしまった)、この弘兼さんの本を読むと漫画はただ子供が面白がって読むようなものばかりではなくて、いわゆる芸術の域に達しているものもあるのだということがよくわかる。今になってみて初めて、アニメの展堂も良かったのではと思えるようになった。
弘兼さんは、小さい頃からサンタクロースなんかいないと思っていたり、人生は自己責任で今の自分があるのは決して他人や社会のせいではなくてすべて自己責任だとか、夢は願っても誰でも必ず叶うものでないなどとと考えており、非常に現実派である。
若い頃には、30代の女性はオールドミスだと思っていたり、年寄りになってから色恋沙汰なんて気持ち悪いと思っていたが、いざ60歳を過ぎても決してそんなことは無いことがわかったそうだ。自分も若い頃の人生設計では、なぜか歳くらいまでしか描けない感じで、それ以上の年齢になったら自分がどのようになっているのか全く想像できなかったが、その年齢を超えてもまだ生きているし、気持ちだけは若いまま(悪く言えば全く成長していないまま)でここまで来ている。
無駄なことなんて何ひとつ無い、中東の国や江戸時代に生まれてこなかっただけでも安心で長生きできて何不自由なく暮らせてラッキーだと思えとか、いろいろなことがあるけど非常に前向きな人だ。
自分も現実主義者で、あまり夢は見ないほうなので、弘兼さんの気持ちは非常によくわかった。
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