神の時空 ―鎌倉の地龍― 高田 崇史著 288頁 を読む((( ;゚Д゚)))
★★★ 153冊目
高田さんの歴史謎解きシリーズはとても好きなジャンルで
特にQEDや毒草師は全部読まさせていただいた。
なかには強引で飛躍しすぎかなあ。。。と思いつつも
歴史や宗教について学校やテレビで今まで単純に丸暗記や
テスト勉強的に問題意識を持つこともなく覚え込んでいた知識が
いかに脈絡もなく断片的で、しかも一面的であったかを
思い知らされて 知恵熱のような快感に打ち震えたことが
何回もありました。
神話や神社に伝わる神々と先祖の過去の歴史と
その伝承の裏に隠蔽された真実。
大体は朝廷や権力者により滅ぼされたり地位や財産、
土地をはく奪された古い有力者が巧妙に祀り上げられつつも
社に封ぜられているというのが基本テーゼです。
神社や祀られる神は昔は庶民の信仰対象ではなく
権力者の政治装置であったのです。
多くはその神社での御利益はその神々が奪われ、
果たせなかった望みの数々。
曰く、権力から追われた天神さまは出世と学業成就に、
曰く、身体を損なわれた神様は足腰に効くとか眼病に効くとか
曰く、病いや毒を盛られた神様や仏様は病気平癒の御利益が、、、
といった具合。
また本殿に祀られる神様の陰に追いやられるように
壮大な敷地の片隅や裏山にひっそりと小さく祀られる
その地に住んでいたかつての本来の土着の神様のことなど。。。
ああ なんて自分はモノ知らずで、本来の神様たちの心情や
隠された本質も思うこともなく、ただ自分の御利益ばかり
安穏とお願いしていたんだろう。。。
と恥じ入ってしまうこと数知れず、です。
さて今回のシリーズでは推理サスペンスのQEDシリーズとは
趣向を変えて現代に怨霊を解き放とうとする悪役側と
それを阻止すべく対抗する正義役側の伝奇アクション的な
風合いになりました。
やや年齢的に下がった感があり、本巻は導入と説明、
物語の筋を進める必要性から、肝心の僕たちが好きな
歴史謎解きの部分は残念ながら縮小気味ではあります。が、
その分鎌倉と伊豆を舞台に源三世代の将軍の怨霊と
悲劇的な真実についてコンパクトにまとめられて良くできています。
昔は泥質地でむじなも住まなかったような荒地の鶴岡八幡宮と
鎌倉の土地について、今はスイーツとオシャレスポットだらけな
観光地の裏側にひっそりと息づく昔の真実の相を肌で感じる。
な~んて粋なぶらり旅を、この本を読んで予習していくのも
なかなかヨロシイと思います。
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