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漫画レビュー 悪魔くん千年王国

2022-07-20 15:13:00 | 書評 読書忘備録
#水木しげる #悪魔くん千年王国  ちくま文庫 578頁
奇書というのはこういう本を言うのだろうと思った。
鬼太郎も良いが、コアな本好きには一度この奇書っぷりをオススメしたい。

小学生なのに世紀の大天才並みの知識と超能力を持つ悪魔くん。
(まずこのネーミングセンスがスゴいですね。サタンと敵役が闘うときも、おのれ~!!悪魔くんめ~!!と叫ぶという緊張感ぶっ飛ぶ台詞の応酬が繰り広げられる。さすが水木しげるワールドですわ)

13人の使徒を手下に召還して、地上に全人類の幸福のために千年王国を作り上げようと、敵対する
日本国家権力や蓬莱島の八仙人やサタンやアメリカ・ソ連の軍隊とも戦うというストーリー。
全編ギュスターブ・ドレの神曲か、立風書房の世界妖怪図鑑、のような描き込みの熱量とクオリティです。さらには、その画の力とは不釣り合いなまでの荒唐無稽で場合によっては脱力感満載のストーリー運び、さすがは生きている(生きていた)妖怪!水木しげる御大でございます。














まずはこの画力のごく一端を味わっていただきたい。
どこかで見たことがあるような普遍的名画から奇妙の精髄を抜き出しつつ、オリジナルとアレンジの境界を気付かせないほど自然に水木独特の一段飛躍したコマはそれだけで名画と言えましょう。
馬頭星雲の暗黒の雲から地獄の悪魔軍団が大挙して押し寄せて来る、という見開きがあるのですがスゴいとしか言いようがないですね。

ちくま文庫もお手軽な値段で良いのですが、これは是非大型の上質な印刷で堪能していただきたいものです。


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