ヴァラナシのガート群 Ghats at Varanasi
インド仏跡巡礼第5日目 ヴァラナシにて(1) Buddhist Pilgrimage Tour in India: 5th Day, At Varanasi(1)
第5日目、2017年11月6日 この日はヒンドゥー教徒が「聖なる河」と崇めるガンジス河に沿って連なっているガート(階段状の沐浴場)を散策しました。この地区はヴァラナシの旧市街に属し、ヒンドゥー教の聖地と言われる地区です。
ヒンドゥー教徒の間では、ガンジス川の水で沐浴すると罪から免れ、死後はこの川に遺灰を流すと極楽往生できると信じられている様です。
タイトルは”仏跡巡礼”となっていますが、ヒンドゥー教は仏教の生みの親のとも言われる宗教ですので、今回はヒンドゥー教に焦点を当て、ヒンドゥー教の聖地と言われるヴァラナシのガート地区を探訪した体験記を綴ります。
ガートは100か所くらい存在しておりその殆どが沐浴場ですが、2か所は火葬場となっています。私のホテルは、ガート群の南端にあるアッシー・ガートのすぐ近くにありました。従って、ガンジス河沿いに北に向かって先ずアッシー・ガートを見学し、ジャタール・ガートに至る50ほどのガートを訪れました。実際に歩いたコースを図示すると、次の通りです(オレンジ色の線で示したコース)。
その中で印象に残ったガートを取り上げて、体験談を記します。
1.アッシー・ガート Assi Ghat
ホテルから、川辺を歩いてアッシー・ガートに向かいましたが、ガンジス河の川岸に並ぶガート群の光景は壮観でした(記事冒頭の写真参照)。
アッシー・ガートに到着したのは9時前でしたが、既に20-30人の来訪者の姿を見かけました。
アッシー・ガートの広場
上を見上げると、ストゥーパが聳えるヒンドゥー教の寺院がありました。それは ヒンドゥー教の最高神のひとつであるヴィシュヌ神の化身ナーラーヤンと、その妻であるラクシュミー神を祀っているラクシュミナラヤナ寺院でした。この寺院は、ビハール州のある領主の女王により20世紀初頭に建造されたそうです。
ヒンドゥー教の寺院
一方、下方を眺めると、河沿いに遊覧ボートが並んでいました。
遊覧ボートが並ぶ河辺
帰路、日が暮れてからこのガートを再訪しましたが、ガンジス河の水面に灯火が長く伸びる光景は絶景でした。
アシッシ・ガート付近の夜景
2.ガンガマハール・ガート Ganga Mahal Ghat
アシッシ・ガートの隣には、小ぶりながら宮殿を思わせる堂々たる佇まいの建物が聳えていました。ガンガ・マハールのガンガはガンジス河のことですが、マハールはヒンディー語で宮殿を意味するそうです。この建物は1,830年にナラヤン朝の宮殿として建設されたと言われていますので、その面影が残っていたのでした。
宮殿風の建物
建物正面の拡大写真
ここで、喉が渇き少々疲れたので、ティー・ブレークを取ることとし、このガートの坂を上った所にある、お洒落な雰囲気のAshish Caféで一休みしました。
Ashish Cafeの入口
3.トゥルシー・ガート Tulsi Ghat
トゥルシー・ガートは、ガンガマハール・ガートから2番目の隣にあるガートです。
このガートは、この場所に16世紀に住んでいたインドの有名なヒンドゥー教詩人トゥルダスに因んで名づけられたそうですが、ここに建っていたのはシンプルな2階建ての住宅風の建物でした。2階には吹き抜け出入り口が多数並んでいました。
階段の中段には風変わりな朱色の構造物が目につきますが、それはヒンドゥー教の小さな祠です。
トゥルシー・ガートの風景
このガートでは、古風な衣装をまとったサドゥを見かけました。
サドゥ
サドゥはヒンドゥー教の苦行僧とか聖人と言われ、家族を捨てて信仰の悦びを求めるために人生を捧げる放浪者と言われています。ネパールのカトマンドゥ郊外にはパシュパティナート寺院と言うヒンドゥー教寺院がありますが、私がサドゥを見かけたのは、それ以来2度目でした。その時は、火葬場のあるガートの対岸に近い祠にサドゥが数人集まっていましたが、ここでは一人だけでした、
又、そのすぐ近くには、白い衣を身に着けて大きな日傘の下で瞑想している僧侶と思しき若者も見かけました。
瞑想している僧侶
ガートの下段に目を向けると、ガンジスの聖なる水に浸って沐浴している人びとの姿もありました。
ガンジス河で沐浴している民衆
4.ニランジャニ・ガートNiranjani Ghat
トゥルシー・ガートを過ぎると、ガンジス河から取水した巨大なタンクがあるバダイニ・ガート、神殿の様な建物が築かれたジャンキ・ガート、ジャイナ教の団体によって建設されたジャイン・ガート、赤塗りの小型の建物が建っているシュリ・ニシャドラジ・ガート、宮殿風の華麗な建物が見えるパンチャコット・ガート、城壁の様な堅固な建造物が築かれたプラブー・ガート、もう一人のサドゥを見かけたチェット・シン・ガートが続きました。その次に現れたのが、ニランジャニ・ガートでした。
このガートは、鮮やかな赤茶色の壁が映える宮殿の様な建物が聳えていました。
ニランジャニ・ガート
この建物の内部に入り、屋上に上ると、ヒンドゥー教の寺院が建っていました。
この日は、たまたま映画かテレビのロケが行われていました。主演女優や主演男優は、アシスタントが傘を開いて直射日光から保護されていました。
撮影現場では、大勢の俳優が音楽に合わせてダンスを行うリハーサルが、何度も繰り返されていました。
本番では、ピンク色のパウダーが撮影現場に噴射される中で、俳優たちが踊っていました。
地面は、一面にピンク色に染まっていました。
5.ハリシュチャンドラ・ガート Harishchandra Ghat
その後しばらく歩くと、グラリアー・ガートと言う所がありましたが、そのガートの階段の上には Everest Café と言う喫茶店があったので、一休みすることにしました。喉が渇いていたので、喉に沁みるビールの刺激は格別でした。休憩を終えてから更に北に進むと、ハリシュチャンドラ・ガートがありました。ここは、他のガートと趣が異なっていました。沐浴場ではなく火葬場でした。
この付近では、往来する人々で溢れていました。
ハリシュチャンドラ・ガート
ガートの広場には煙が立ち上る葬場があり、遺族と思われる人々が悲しみに暮れて座っている姿がありました。
6.ヴィジャヤナガラム・ガート Vijayanagaram Ghat
ここには、原色の黄色で塗られた建物が並んでいました。
このガートは、かって南インドで栄えていたヴィジャヤナガラム王国の王様によって建造されたものです。
広場には、蛇使いらしき人物が蛇と一緒に昼寝している人形が飾られていました。ヒンドゥー教では、蛇は神として崇められており、ヒンドゥー教の寺院でも時々見かけます。
これ以後も様々なガート探訪を続けましたが、その体験記は続編として投稿します。
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