アガーサ・クリスティを読んで
最近、久しぶりにアガーサ・クリスティの作品を読みました。かなり以前のことですが、彼女の推理小説を英文の原書で10冊以上読んだことがあります。しかし、今回はたまたま病院の待合室に、“死との約束”(原題:Appointment with Death)と言う 邦訳の単行本が置いてあったので、それを一気に読みました。
ここで、読み終えた感想を簡単に記してみます。但し、推理小説ですので、犯人の特定につながる突っ込んだヒントは、差し控えます。
舞台は、中近東。物語は、ポアロがエルサレムで最初の夜に立ち聞きした不吉な会話で始まります。それは、殺人の意図を感じさせる言葉でした。
この小説に登場する人物の中心は、アメリカから旅行に来た老齢で金持ちのポイントン夫人とその子供たち、家族及び親しい友人です。その他、駆け出しのイギリス人女性医師、既に名声に高いフランス人のドクター、イギリスで活躍している女性代議士及び連れの保母さん、旅行会社の現地人通訳などです。
アメリカ人一家が、ツアーでヨルダンのペトラへ出かけている最中に、不審な死亡事件が発生します。ペトラ滞在中に、持病持ちのポイントン夫人が自然死と思われる死を遂げたのです。しかし、他殺の可能性も捨てきれず、ポアロが、科学的手法と心理学的手法を巧みに組み合わせて、殺人犯を突き止めて行く物語です。
クリスティの他の小説でも使われている技法ですが、ポアロが、ポイントン夫人が死亡した時刻に居合わせた人々に対して、一人ひとり個別に面談し、最終的に殺人犯が明らかになると言う筋書きです。しかし、夫々の登場人物にある程度の嫌疑があり、最後まで誰が犯人かと思いつつ、読者に最後まで興味を引き付けて読ませるストーリ構成はさすがです。
死との約束 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) | |
アガサ・クリスティー | |
早川書房 |
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