植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

山野草系・ウメバチソウとホトトギスの花の特徴

2024年10月22日 | 野草・山野草

この秋、よく行く園芸店にウメバチソウとホトトギスが売られていたので思わず買ってしまいました。育ててみて分かったこと、それはウメバチソウは育てるのが難しい山野草ということ。9月14日に つぼみが多い株を購入して様子を見ていたのですが、花弁や萼片、葉までもが褐色がかってきてしまいました。そして咲かずに萎れたつぼみも多数出てしまいました。後日、買った園芸店を訪れて売れ残りのウメバチソウを見てみたら同じような症状に・・・。プロが管理してもうまくいかない植物のようです。10月22日現在でも生きてはいるのですがね。別冊趣味の山野草「一から育てる山野草」という本では、「低地から高山まで生育し、湿地にも適湿草原にも育つ適応範囲の広い植物ですが、作ってみると意外に気難しい貴公子で・・」だそうです。夏ごしが難しいんですね。今年の9月はいつまでも暑かったですから。800円台後半もして高かったのは育てるのが難しいからなんでしょうね。一方ホトトギスは200円弱でした。

山歩きを趣味にしていたときは野生のウメバチソウに何回か出会ったことがあり、その時はたくさんの株が群落を作って元気に咲いていました。やはり山野草は育てるより野生で見たほうがイキイキしていいようです。

  • ウメバチソウ(ユキノシタ科ウメバチソウ属)

花の構造と咲き方がとても興味深いのですよ。花弁は5枚で梅の花のよう。萼片も5枚で花弁と同じくらいの大きさです。雄しべと花粉を出さない仮雄しべも同じく5本ずつあります。仮雄しべは薄緑色をしていて先は12-22本の糸状に分裂し、先端に小さい球状の腺体が付いています。仮雄しべは独特で面白い構造ですよね。これは何のためにあるの?ポリネーターにアピールするために花を飾っているという意味でしょうか。

5本の雄しべは開花当初は雌しべに張り付いていて未成熟な状態です。その後1本ずつ順番に花糸が伸びて雌しべから離れ葯から花粉を出すようになる・・・はずなのですが、購入株では花粉が見つけられませんでした。理由はよく分かりません。元気がないからか?観察した時期が悪かったのか?

以下は野生のウメバチソウを観察した時に記録したメモです。

日当たりの良い湿地に生える多年草です。先に成熟した葯は最後の一本が成熟する前に花糸から落ちてしまいます雄しべを一本一本順番に成熟させることにより花粉の出している期間を長くして受粉のチャンスを高めていると考えられます。最後の雄しべが雌しべから離れてしばらくすると柱頭が4裂して開き始めます。柱頭が開く頃には雄しべは花粉を出し終えていてほとんどの葯は落ちているので雄性先熟の植物と言えます。やがて花弁も落ちて種子成熟に向けて子房が大きくなっていきます。その時でも仮雄しべとがく片は落ちずに子房と一緒です。


  • ホトトギス(ユリ科ホトトギス属)

以前の山歩きでホトトギスの仲間であるヤマジノホトトギスとタマガワホトトギスに出会ったことがあります。これらの花の構造も興味深いものです。

以下は野生のホトトギスを見た時のメモ。

6本の花糸は花の中心で花柱と密着し上方に伸びたあと噴水のように中心から放射状に垂れ下がっています。花柱は3裂した後、それぞれがさらに2裂し、同様に放射状に外を向いています。単独で見ると奇妙な形でも、送粉者であるマルハナバチが訪花した時を観察するとその理由に納得できます(下の写真・ヤマジノホトトギス)。蜜腺は基部の膨らみの中にあります。蜜を求めてやって来たハチが花被片の上を歩き回ると、葯がハチの背に触れて花粉が付きます。写真のように雄性期では柱頭が下に下がり切っていないのでハチには触れません。この数日後に雌性期になると花柱が下に曲がり、柱頭が葯よりも下の位置となるので花粉を背に付けたハチが訪花すると受粉できるようになるのです。

・・というようにこの植物も雄性先熟で自家受粉を避けています。

この花の構造に似た園芸植物があるのでそれを紹介しておきますね。

  • トケイソウ(トケイソウ科トケイソウ属)

トケイソウは中南米原産のつる植物です。この花の構造は外側から3枚の包葉、10枚の花被、色鮮やかな糸状の副花冠、5本の雄しべ、濃紫色の3裂した花柱からなっています。子房は花被より上位にあり、雄しべより上に付いているという独特で複雑な構造をしています。そしてほぼ一日で花を閉じてしまいます。これらの特徴を見ても、ユリ科ホトトギス属とは近縁ではありません。しかし、花被、雄しべ、雌しべの位置関係がホトトギス属の花と類似していることに驚かされます。遺伝的に遠い種でも形態的に類似する事を収斂(しゅうれん)といいます。花の大きさはヤマジノホトトギスが2cm前後なのに対してトケイソウは10cm近くにもなるので当然送粉者は異なります。しかし、日本にはトケイソウに適したポリネーターがいないようで、効率よく結実させるためには人工授粉をしなければなりません。原産国ではどんなポリネーターが関係しているのかは知りませんが、ホトトギス属と同様に、訪花した虫(または鳥?)が副花冠上を動き回ることで受粉をすることは想像できます。ポリネーターの行動が似ていると、全く別の科でも類似の花の形に進化する収斂の見本と言えると思います。

最後に、これから花被片が開き始めようとしている花の写真を載せておきますね。

ユリ科なので、萼片にあたるものは花弁と同じ色形をしており、まとめて花被片といいます。細かな毛も美しい!花の一番下にある花被片の膨らみの中に蜜が溜まっています。どれくらい溜まっているか確かめたいのはやまやまなのですが、こんなに美しく咲いている花を壊して調べてみるのは気が引けてできませんです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アサガオの開花時間

2024年10月21日 | 植物の生態

西洋アサガオは秋が深まっても元気に咲いています。10月20日の未明に開花時間の観察をしましたのでレポートします。

アサガオは暗くなってから一定時間経つと開花すると言われています。そうであれば開花は未明に予想されるので、夜中に鉢を室内に取り込みインターバル撮影に設定したカメラに任せて観察しました。2分ごとのインターバル撮影をしたのでスムーズな動きの動画として見ることができました。ただ開花の様子はほぼ予想通りであったので、動画は載せずに時刻順の静止画何枚かで説明したいと思います。

夜中の1時45分くらいから蕾の捩れが解け始め開花の動きが見られるようになりました。

4時ごろになるとほぼ最大に開いた状態に近くなり、その後は大きな変化が見られなくなりました。厳密に言えば花弁が最大に開いたのは4時20分頃でした。

その他に気づいた点として、翌日咲きそうな一つ上の蕾は、この観察の時間中に思いの外大きく膨張していました。人間の時間感覚ではほとんど動いていないように見える植物でもインターバル撮影すると確実に動いて活動していることが実感できて面白いです。

今回の観察だけでは開花のスイッチが暗闇であることを示すことにはなりません。しかし、すでに調べられている開花の性質にどの程度合致するのかや 新たに気づく点はないか、を目的に観察しました。


NHK for school」では、「アサガオの花の一日の動き」の短い動画で

  1. 暗くなってから9時間後に花を咲かせること
  2. 好きな時間に花を咲かせたい場合は、アサガオをその9時間前に暗い部屋などに入れること。
  3. 暗くしてから5時間ぐらい経てば、明るい所に移動しても開花時間に影響が出ない。

と説明されていました。また、日本植物生理学会のみんなのひろば植物Q&A(登録番号1384)では、「気温にも影響し、夜の温度が低いほど花が開く時間は早くなります」とありました。


前日19日の日没は、17時7分、そしてこの日の夕方は雨模様でかなり早い時間から薄暗くなっていました。

日没を基準にすれば、日没後8時間50分くらいから開花の動きが始まり、3時間半くらいかけて花弁が開き切ったことになります。一般に言われている「暗くなってから9時間後」に合っていたと思います。

ここでいう「9時間」は絶対か、と言えばそうではないのでしょう。光を当て続けて暗闇の刺激を与えなかった場合、翌日開花しそうな蕾でも開花しなくなる・・ということは実際には起こりそうもないからです。NHK for schoolでは「好きな時間に花を咲かせたい場合は、アサガオをその9時間前に暗い部屋などに入れること」とありましたが、あまりにも自然とかけ離れた条件では理論通りにはならないのでは、と推測しています。それでも21時まで光を当て続けたら・・あるいは15時に暗い部屋に入れたら・・こんな条件でも機会があったら調べてみようかな。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メランポジュームの水挿しは成功するのか?

2024年10月18日 | ガーデニング

以前、「驚異の発根力!・アゲラタムとエンサイ」のレポートで、アゲラタムはすぐに発根するがメランポジュームは発根せず切り口から腐ってしまう、と報告しました。

だったら腐らず傷みにくくすれば発根できるのでは?と思って実験することにしました。

まずは、今日の花壇の様子。切り戻しや花がら摘みは一度もしていません。全然手をかけなくとも長期間綺麗に咲き続けてくれています。ほんと、コスパがいい植物です。

今回用いた方法、それは水に塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を入れるというもの。濃度は水200ml当たり漂白剤1滴程度。界面活性剤が入った商品でも大丈夫です。簡単にいうとハイターでもキッチンハイターでもどちらでも良いということ。漂白剤入りの水が発根に害がないことを示すためのコントロールとして すぐに発根することが分かっているアゲラタムも併せて水挿ししました。

すると・・アゲラタムは開始後3日で発根が確認できた一方、メランポジュームはというと・・

この写真は水挿ししてから16日経過した時の茎の断面付近です。通常の水だと数日で傷むところ、水に塩素が入っているおかげで長期間生き生きとした状態が保てました。しかし、断面と節どちらからも全然発根する兆候さえも見られませんでした。

今回分かったこと・・

  1. 傷みやすい切り花でも長持ちさせるためには、用いる水200mlに対して塩素系漂白剤1滴の割合で加えると良いことが分かりました。
  2. メランポジュームの挿し芽あるいは水挿しを成功させるのはかなり困難であることが分かりました。

あとは工夫の余地としては、オーキシン系の発根促進剤やメネデールが残されていますけれど・・・どんな工夫をしても何をやっても発根しない植物というのもあるのかなぁ。今年は気温が下がってきて挿し芽に不適な季節になるので諦めますね。まぁ種まきすれば容易に育てられるから全然困らないのですけれど。そうそう、そろそろ来年のためにタネを採っておくことにしましょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エンサイの水挿し(節と発根の関係)

2024年10月17日 | 植物の生態

9月26日にエンサイの水挿しを開始して発根を観察して来ました。

この写真は開始から16日後である10月12日の様子です。上の写真に写っている4本の試料を順に説明しますね。

  1. 一番左:茎を節の上下で切ったもの
  2. 左から2番目:節の上下で切り、さらに脇芽を深く欠いたもの
  3. 左から3番目:脇芽が入らないように節の位置で切り取ったもの(節の一部を含む)
  4. 一番右:節に近い葉柄で切ったもの

結果は・・・

3番が翌日9月27日に発根、節全体を含む1番と2番は28日に発根を確認しました。節全体でなくとも発根することがわかりました。

一方、節を含まない葉柄で切断したものは発根しませんでした。そして1番では3番に比べて根の量が少ないのにも関わらず脇芽がすくすく成長していきました。

次に2番を拡大して撮ったのが・・

節より上部が枯れた以外は無事。これは脇芽を深く欠いた試料ですが開始から5日後の10月1日には節と葉柄が接続するあたりに小さな突起が現れ成長点(芽)の兆しが現れ、10月7日には はっきり芽とわかる状態になりました。その後、通常の脇芽よりはだいぶ成長が遅いものの、12日には小さな葉が観察できるほどになりました。

次に3番の試料を拡大した写真が・・

 

10月8日には突起が現れ成長点の兆しと判断しました。中央の突起部分をさらに拡大したのが右の写真です。カルス状のようであり はっきり脇芽とは言えないものでした。その成長は極めて遅く、本日17日に観察してもこの写真とあまり大差ないように感じました。この後どうなるのでしょう、芽として成長できるのかどうか。試料の中で一番発根量が多いのですがね。成長点が作れないとこのまま枯れちゃうんでしょうね。・・・養分足りないのかな?どうなるか知るために土に植えてみることにします。・・と思ったのですが土に植えると微細な変化も見られなくなるのでしばらくこのまま続けて観察していたところ・・変化があったので10月29日に続報「ビオラの水挿し エンサイの続報」を書きました。

1番と2番と4番は行末がはっきりしたのでここで観察中止です。

さらに・・葉柄からは発根しなかったので、切断面が中空になっているのが良く無いのかも・・・ということで葉の付け根(中空でない)で切って水に浸けておいたものも観察したところ・・

水挿し13日後の写真です。葉柄の切断面がカルス状にはなりましたが発根はしませんでした。その後間もなく葉は黄色くなり力尽きました。カルス状になったから もうちょっと条件良ければひょっとすると葉から直に発根するのか!?。今年はこれから寒くなっていくのでどうやってもうまくいかないと思うので追加実験はしませんけれども。


以上、まとめると、

  • 成長点の有無に関わらず発根には節が含まれることが重要とわかりました。
  • 脇芽(成長点)が欠けていた場合でも一つの節全体が含まれていれば新たに成長点が作られました。
  • 節組織の一部が含まれていた場合、発根はします。しかし新たな成長点ができるかは微妙なところ。この後、もう少しだけ継続して観察したいと思います。
  • 葉から直接根が出るという可能性?。何の役にも立たないゲテモノ見たさ。

今回の実験、家庭菜園に役立つ情報はというと・・一株入手できれば、脇芽を傷つけないように節の上下で切って挿し芽、あるいは水挿しでたくさん増やせます。まぁ、そうするまでもなく数株分の種まきすればいいことだし、成長がものすごく速いので少数でも食べきれないくらい採れますよ。

実験とは別の情報・・エンサイはヒルガオ科であり茎の先端が細くつる状になることがあります。その場合アサガオと同じく右巻きに巻きついていきます。アサガオのような白っぽい花が咲きます。害虫は少ないですが、現在、葉っぱに穴が。。何かに食べられています。芋虫とか見つからないのでバッタかな?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

撤収したミニトマトの茎にイボイボがぁ・・

2024年10月16日 | 家庭菜園

ミニトマトのシュガープラムは、まだそこそこの立派な実がなっているのにも関わらず全然赤くならず。なんならそのまま落果してしまっている状況。トマトが赤くなるのは積算気温が関係するらしいですね。10月に入って気温が下がって来たのもあるのでしょう、もう諦めて撤収することにしました。トマトは青いまま食べるのはトマチンという毒があって良くないらしいので捨ててしまったのですが・・そういえば、以前、蕎麦屋さんで青いミニトマトのカレー味漬物?を食べた事があったのですよ。それなかなかイケたので それ作れば良かったかなぁ。と捨ててしまってから後悔。

撤収作業中、あまりにもイボイボがグロいので写真とってしまった・・

いやこれ、以前から気づいてはいましたが、改めて見ると・・っきっっも!   これは不定根といって、土に接すれば立派な根になる根の赤ちゃんのようなものです。成長点で作られたオーキシンが茎を通って下に降りて来た時に根に元気がないとオーキシンが十分に分解されずに茎に溜まってしまって不定根が出てきちゃうらしいです。今年は暑さが続きましたからね。30Lのプランターでもうっかりすると水不足にさせてしまったことが何回か。なのでトマトの方でも呆れて不定根を出し始めたのでしょうね。エンサイでは根が出るのは節からと決まっていましたが、トマトの場合は茎全体から生えてくるのですね〜。すんごい潜在能力。驚きです。まぁ、これだけの発根力があるから簡単に挿し芽で増やせて助かるのですが。。。

今年は購入株から作った挿し芽でもうひと鉢  作ってそっちからも十分収穫しました。合わせて375個も採れちゃいました!! もう一方のぷるるんミニは地植えだったのもありましたけれど1本の苗から443個も採れました!!パチパチパチ。これまでミニトマトは18Lくらいの小さなプランターで栽培していたけれど今後は地植えするか大きなプランターで育てた方が良さそうですね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする