植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
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セイタカアワダチソウ・盛者必衰の理

2024年10月15日 | 植物の生態

10月の連休は全国的に天気が良かったですね。私は長野県小布施町に行ってきました。小布施は観光客で大混雑でした。町の中心部も人がたくさんだったしハイウエイオアシスの駐車場にも満車で入れませんでした。

実はハイウエイオアシスの近くにあったセイタカアワダチソウの群落がどうなったか見たかったのですよ。2007年に訪れた時は大豊橋(たいほうはし)から松川の河川敷にあったセイタカアワダチソウの大群落を見ました。その時の写真が・・

2007年10月13日午後3時半頃の写真です。河川敷だから当然植物の手入れは誰もしてないのですが、群落を作って一斉に咲いている様子は実に綺麗でした。

そして17年後の今年、10月14日午後1時頃はどうなっていたかというと・・

が〜ん。セイタカアワダチソウの群落は消滅していました。全滅したわけではなくて所々にチラチラ生えてはいましたけれど・・。「セイタカアワダチソウの花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる草も久からず・・」ですね。なぜこうなるかは有名な話です、以下に簡単にまとめておきます。


セイタカアワダチソウは根や地下茎からcis-デヒドロマトリカリアエステル(cis-DME)という化学物質を作って土壌中に放出しており、これにより他の植物は発芽や成長ができなくなるという現象が起きます。植物が特殊な化学物質を作って他の植物をコントロールする作用をアレロパシー(他感作用)といい、松川河川敷のセイタカアワダチソウもまさにアレロパシーで他の植物が成長できない間に土地を独占してしまったのでしょう、それが2007年。こんな化学兵器使われたら他の植物は全然太刀打ちできないのではないかとも思えます。なのに現在は群落消失している・・自然はそんなに甘くはなかった、盛者必衰なのでした。まず、群落作ると害虫や病原菌が集まってしまいます。それらに抵抗できる形質を持った新たな遺伝グループが代替わりできれば良いのですが、セイタカアワダチソウって自分が出したcis-DMEによって発芽できなくなるんですって。だから徐々に衰退していくしかないのですよ。

それからつる植物であるクズがセイタカアワダチソウの毒攻撃に対抗できると考えられます。2024年の写真の中ほど右から濃い緑色の植物が覆って来ていますが、それがクズです。クズはつるを伸ばして遠征してくるので土壌中のアレロパシー物質は物ともせず他の植物に覆い被さって地上を制覇してしまいます。この攻撃にはセイタカアワダチソウも勝つことはできないでしょうね。とはいっても全面クズに占領されるわけでもなく・・クズはクズなりのウィークポイントがあるのでしょう、バランスをとって他の植物と共存しているのですね。人間の社会でも永遠にオールマイティが存在しないように植物の世界でも皆が折り合いをつけて共存していっているのが面白いです。


追加情報

Googleマップのストリートビューって過去の年代のも見られるのご存知ですか?それでこの地点の過去の状況を調べたのですよ。そうしたら、河川敷に対して色々と人の手が加えられていたことが分かりました。まず、2014年7月〜2017年7月の間のどこかで車止めが設置されていました。これにより自動車が河川敷に降りられなくなり雑草の勢いが強まったと推測できます。2019年6月〜2021年7月の間では河川敷に生えていた樹木や雑草が刈り払われました。それから2023年12月までの間でも新たに除草整地されていたことが分かりました。知らない間にかなり人の手で撹乱されていたのですね。それに河川敷だから当然大水の時には植物が流されてしまったこともあったでしょう。この地に関してはセイタカアワダチソウの群落消失は、害虫や病気だけでなく、人為的あるいは自然災害的な事象も関係していたのかもしれません。

コメント
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