1月26日(木)トゥガン・ソヒエフ 指揮 NHK交響楽団
《2023年1月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.バルトーク/ヴィオラ協奏曲(シェルイ版)
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【アンコール】
♪ バルトーク/44のヴァイオリン二重奏曲~第37番プレリュードとカノン
Vla:アミハイ・グロス、佐々木亮
2.ラヴェル/「ダフニスとクロエ」組曲 第1番、第2番
3.ドビュッシー/交響詩「海」
トゥガン・ソヒエフとN響による1月定期の最終日となるサントリーホールでのBプロ2日目の公演。前半はアミハイ・グロスの独奏でバルトークのヴィオラ協奏曲。グロスのヴィオラには、冒頭のソロから忽ち魅了されてしまった。焦点をピタリと定め、瑞々しい息遣いで生気に溢れた生きた音を能動的に生み出していく。歌いまわしは滑らかで柔軟、音色はふくよかで深くて、細やかな色彩のグラデーションからは淡い芳香が漂ってくるよう。民族色的な土臭さや力任せの押しではなく、研ぎ澄まされた感性や洗練された美しさが持ち味。優美なだけでなく、第3楽章などでの一気果敢な攻めも鮮やか。オケが間奏のときも音楽に合わせて体を大きく揺するなど、常に全身で音楽を感じている様子が窺えた。
ソヒエフ/N響も機能美に長け、瑞々しく冴えた演奏でグロスのヴィオラに呼応する。両者のテイストは同質で、純音楽としての作品の魅力を余すところなく伝え、この曲のひとつの理想像を生き生きと提示した。アンコールでは、首席ヴィオラ奏者の佐々木さんをパートナーに引っ張り出してデュオを楽しそうに聴かせてくれ、コンサートの前半はすっかりグロス色に染まった。
後半はラヴェルとドビュッシーというフランスものが並んだ。ここでもソヒエフの的確で細やかで柔軟な指揮が、N響から得も言われぬ豊かな表情と多彩な色彩や香りを引き出し、ソヒエフの描いた設計図を確実に実際の音の芸術として実現させていった。細部まで丁寧に神経が行き届き、繊細な動きが連動して大きな流れに統合され、ドラマチックな世界が広がってゆく。とりわけ耳を引いたのは、様々な音色が繊細に溶け合うアンサンブルとしての響きの美しさと多彩さ。その一方で、特定の楽器の音が突出することがなく、強烈な光や色彩のスペクタクルという面ではもっと刺激やドキドキが欲しい気がした。
ソヒエフとN響は幅広いレパートリーで素晴らしい演奏を重ねていて、1年後の客演も発表された。これからも引き続き注目して行きたい。
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トゥガン・ソヒエフ指揮N響A定期(ベートーヴェン/交響曲第4番他) 2023.1.15 NHKホール
トゥガン・ソヒエフ指揮N響B定期(ベルリオーズ「ロメオとジュリエッタ」他) 2019.10.24 サントリーホール
トゥガン・ソヒエフ指揮N響B定期(シェエラザード他) 2019.1.17 サントリーホール
トゥガン・ソヒエフ指揮N響B定期(プロコフィエフ/交響曲第7番他) 2017.11.22 サントリーホール
トゥガン・ソヒエフ指揮N響B定期(「白鳥の湖」他) 2016.1.21 サントリーホール
N響公演の感想タイトルリスト(2017~)
ブラボーが響くコンサートを取り戻そう ~終わりの見えない過剰な感染対策に思う~
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【曲目】
1.バルトーク/ヴィオラ協奏曲(シェルイ版)
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【アンコール】
♪ バルトーク/44のヴァイオリン二重奏曲~第37番プレリュードとカノン
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Vla:アミハイ・グロス、佐々木亮
2.ラヴェル/「ダフニスとクロエ」組曲 第1番、第2番
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3.ドビュッシー/交響詩「海」
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トゥガン・ソヒエフとN響による1月定期の最終日となるサントリーホールでのBプロ2日目の公演。前半はアミハイ・グロスの独奏でバルトークのヴィオラ協奏曲。グロスのヴィオラには、冒頭のソロから忽ち魅了されてしまった。焦点をピタリと定め、瑞々しい息遣いで生気に溢れた生きた音を能動的に生み出していく。歌いまわしは滑らかで柔軟、音色はふくよかで深くて、細やかな色彩のグラデーションからは淡い芳香が漂ってくるよう。民族色的な土臭さや力任せの押しではなく、研ぎ澄まされた感性や洗練された美しさが持ち味。優美なだけでなく、第3楽章などでの一気果敢な攻めも鮮やか。オケが間奏のときも音楽に合わせて体を大きく揺するなど、常に全身で音楽を感じている様子が窺えた。
ソヒエフ/N響も機能美に長け、瑞々しく冴えた演奏でグロスのヴィオラに呼応する。両者のテイストは同質で、純音楽としての作品の魅力を余すところなく伝え、この曲のひとつの理想像を生き生きと提示した。アンコールでは、首席ヴィオラ奏者の佐々木さんをパートナーに引っ張り出してデュオを楽しそうに聴かせてくれ、コンサートの前半はすっかりグロス色に染まった。
後半はラヴェルとドビュッシーというフランスものが並んだ。ここでもソヒエフの的確で細やかで柔軟な指揮が、N響から得も言われぬ豊かな表情と多彩な色彩や香りを引き出し、ソヒエフの描いた設計図を確実に実際の音の芸術として実現させていった。細部まで丁寧に神経が行き届き、繊細な動きが連動して大きな流れに統合され、ドラマチックな世界が広がってゆく。とりわけ耳を引いたのは、様々な音色が繊細に溶け合うアンサンブルとしての響きの美しさと多彩さ。その一方で、特定の楽器の音が突出することがなく、強烈な光や色彩のスペクタクルという面ではもっと刺激やドキドキが欲しい気がした。
ソヒエフとN響は幅広いレパートリーで素晴らしい演奏を重ねていて、1年後の客演も発表された。これからも引き続き注目して行きたい。
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トゥガン・ソヒエフ指揮N響A定期(ベートーヴェン/交響曲第4番他) 2023.1.15 NHKホール
トゥガン・ソヒエフ指揮N響B定期(ベルリオーズ「ロメオとジュリエッタ」他) 2019.10.24 サントリーホール
トゥガン・ソヒエフ指揮N響B定期(シェエラザード他) 2019.1.17 サントリーホール
トゥガン・ソヒエフ指揮N響B定期(プロコフィエフ/交響曲第7番他) 2017.11.22 サントリーホール
トゥガン・ソヒエフ指揮N響B定期(「白鳥の湖」他) 2016.1.21 サントリーホール
N響公演の感想タイトルリスト(2017~)
ブラボーが響くコンサートを取り戻そう ~終わりの見えない過剰な感染対策に思う~
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