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仲道郁代 ベートーヴェン “ピアノ室内楽”全曲演奏会 Vol.3

2023年12月09日 | pocknのコンサート感想録2023
12月6日(水)仲道郁代 ベートーヴェン “ピアノ室内楽”全曲演奏会 Vol.3
~珠玉のリサイタル&室内楽~
ヤマハホール

【曲目】
1.ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ 第2番イ長調 Op.12-2
2.ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ 第3番変ホ長調 Op.12-3
3.ベートーヴェン/ホルン・ソナタ へ長調 Op.17
4.ベートーヴェン/五重奏曲変ホ長調 Op.16

【演奏】
Pf:仲道郁代/Vn:南紫音/Hrn:福川伸陽/Ob:金子亜未/Cl:アレッサンドロ・ベヴェラリ/Fg:長哲也


ベートーヴェンのソナタやコンチェルトに長年取り組んでいる仲道さんによる、ベートーヴェンのピアノ付き室内楽作品全曲演奏会を聴いた。平野昭氏による解説と演奏者のトークを交えて、多彩な楽器編成によるベートーヴェン初期の作品が演奏された。

前半は、南紫音さんのソロでヴァイオリン・ソナタが2曲。端正ななかに生き生きとした息遣いが感じられ、チャーミングなところも顔を出した瑞々しい演奏だった。ベートーヴェンの熱いパッションが出現する前の時代の作品ということもあってか、お行儀の良さを感じたが、ワイルドさや炸裂するところがあってもよかった気がした。

プログラム後半は管楽器とピアノによる作品が2つ。ホルン・ソナタでは、仲道さんと福川さんが互いに積極的に働きかけつつ進み、臨場感溢れるライブの醍醐味が伝わった。ナチュラルホルンのために書かれたこの作品は、様々な奏法を用いることによる音色の変化も想定されていたと話して、そうした奏法も取り入れたという福川さんの演奏で、くぐもった音と開放的な音の差を際立たせるなど、多彩な音色によるアプローチも耳を引いた。

最後に演奏されたモーツァルトの同じ編成の作品をモデルにしたというクインテットでは、人数が増えた以上にアンサンブルの醍醐味が更に拡大した。クラリネットのベヴェラリさんをはじめとした各プレイヤーが前のめりになるほど果敢に音楽に向かい、それぞれの楽器の音色や持ち味が存分に発揮されたうえに、プレイヤー同士が積極的にコミュニケーションを図ることで生まれる丁々発止のやり取りにワクワクした。これらが一堂にハーモニーを奏でる場面では、極上の響きの妙も味わった。ソロイスティックなフレーズも随所で登場するピアノの仲道さんの生き生きと瑞々しい演奏が生え、第2楽章では内面から滲み出る暖かい歌心にも心惹かれた。この曲が、若きベートーヴェンの会心の名作であることを改めて実感できる演奏だった。

レアな編成の名手たちがせっかく集まったのだから、アンコールでモーツァルトのクインテットから何か演奏して欲しかったな。

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