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日本はコロナを抑えている? ~ドイツの報道より~

2020年03月26日 | pocknの気まぐれダイアリー
2020年3月25日(水)
日本での新型コロナスイルス感染者数が世界のなかで控え目に推移していることに世界が注目しているという報道をここ数日よく目にします。「実際はもっと感染者がいるのでは」という懐疑的な見方と、「感染拡大防止策が働いている」というポジティブな見方に分かれているとのこと。

3連休となった先週末、東京は記録的に早い桜の開花が重なり、わが家も家族で連日お花見を楽しみました。その様子をFacebookに載せたら、イタリアの友人から「日本はコロナを克服したようね。こっちとは全然違う!」というコメントが届きました。「楽観は全然できないよ」と伝えましたが、日本はコロナを克服していると思われていることを物語るコメントです。

今日、”FOCUS Online”というドイツの代表的なニュースサイトで、このことについてタイムリーな記事を見つけました。日本がコロナを封じ込めている理由を文化的な背景から考察したものです。世界でも今、最も深刻な状況に陥っているドイツが日本をどう見ているかを私達日本人が知ることは、これからコロナとどう向き合って行くかを考えるうえでも無駄ではないと思い、訳してみました。

記事には「マスクが配給制になっている」など、誤った報道内容も含まれますが(台湾と混同?)そのまま訳しました。ドイツでは「マスクをするのは手術の執刀医か銀行強盗だけ」と言うくらいマスクの習慣がないことを付け加えておきます。

そうするうちにも東京での感染者数が急増しているとの報道が・・・ この記事が無意味になる事態にならないよう、手洗い、マスク、お辞儀は怠らないようにします

925,000人が中国から入国
爆増するはずの感染者を日本はいかに抑え込んでいるか
~ドイツ FOCUS Onlineの記事より~

原文の記事に掲載の写真(原文は写真をクリック)picture-alliance/Zuma/Sopa/V. Kam

2020年3月25日(水)発信
日本は中国から近いにもかかわらず、新型コロナウイルスの拡大規模は際立って小さい。日本の事例からは大切な課題が見えてくる。(マルティン・フリッツ 東京発)

週末、日本の並木道や公園の桜の下では新型コロナウイルスは遠い存在だった。開き始めた桜の下のあちこちで人々は集ってお弁当を食べ、ビールを飲み、写真を撮っていた。
「お花見は僕たち日本人にとって一年で一番大事なイベントだからね」、とほろ酔い気味の会社員が首都東京の上野公園で浮かれていた。

この光景と、ヨーロッパとのコントラストは歴然としている。日本ではクラスターは10件、死者41人、感染者は1012人で、新たな感染者は毎日数十人が報じられているに過ぎない。この状況なら感染者数が爆増してもおかしくないのに。

日本は人口密度が高く、高齢者の割合は世界的に最も高く、お隣の中国との接触も多い。1月の中国からの訪日客は92万5千人、2月でもまだ8万9千人いた。にもかかわらず、政府はこれに対して緩い対策しか取らなかった。安倍総理は春休みを前に早めに学校を2週間一斉休校にし、全てのイベントを取りやめたが、お店やレストランは営業し、テレワークに切り替えた人も多くない。

政府への不信?
コロナの拡大が少ないのは、真実が隠されているという疑いを呼んでもいる。
「福島の原発事故の際、政府は炉心溶融の事実をすぐには公表しなかったため、公式発表というものに多くの人々は不信を抱いているんです。」と、東京の日本学ドイツ研究所の社会学者バーバラ・ホルトフスは述べている。

日本では1日6000件のPCR検査ができるのに、これまでに14000件しか検査が行われていない。これは、コロナが爆発的に拡大した韓国の20分の1以下だ。それは重症者に検査対象を絞っているからだ、と政府医療研究所のカミ マサヒロは説明する。このため、隠れた感染者数は非常に高いだろうと云う。

政治学者のナカノ コウイチは「安倍首相はオリンピックが中止にならないよう、日本が安全な国だということを訴えようとしている」と述べている(夏の大会はその後、2021年に延期された)。

そうした批判に対して厚生労働省の専門家グループは、大々的に検査を行わないことで感染拡大をせき止めているとも云える、と反論する。北海道の小学校で感染が発生した際は、北海道の全ての学校を休校にして緊急事態宣言を出した。その3週間後にはウイルスの拡大は食い止めることができた。検査数の少なさは、重症者へのケアを手厚くできるメリットにも繋がっている、とドイツ人の政治学者で東京大学のセバスチャン・マスロウは述べている。

握手ではなくお辞儀
日本を知る人たちは更にこんなことも主張している:お辞儀をして挨拶することは感染リスクを減らしている。日本では握手もしないし、頬にキスをする習慣もない。また、日本人は幼少時から初歩的な衛生マナーを身に着けている。

「消毒のために手を洗ったり、うがいしたりすること、マスクをすることは、コロナのために特別にしなくても私たちの日常の習慣として身についています。」と2児の母親は話す。このため、日本社会は2月から「衛生モード」に簡単に切り替えることができた。それ以来、お店や会社の入り口には手指の消毒液が置かれ、マスクをすることは市民の義務になった。

新型コロナウイルスが拡大する以前から日本では年に55億枚のマスクが消費されている。実に国民一人当たり43枚である。この割合がコロナ騒ぎで更に跳ね上がり、マスクの在庫は底を尽き、新しいマスクは配給制となった。人々は開店前にマスクの配給を受けるために辛抱強く行列に並んでいる。多くのお店が、布製フィルターやコーヒーフィルターでの手作りマスクについて指南している。

「日本人は無症状でも感染している可能性があることもわかっています。」と日本に長く暮らすドイツ人マネージャのミヒャエル・パウメンは述べている。
「つまり、ウイルスを拡散しないよう、他人を守るためにマスクをしているのです。」

マスクは感染リスクを低くする
こうした集団でのマスク着用がウイルス拡大にブレーキをかけている。これは、SARS発生時のあと7週間で、インフルエンザの患者数が激減したことでも物語っている。
「マスクはウイルスを含んだ唾や飛沫の拡散を介した感染を減らしています。」とボンのシーザー研究グループのファビアン・スヴァーラやウィーンの医科大学のマティアス・サンヴァルトら5人の専門家が研究紀要で発表している。

人との距離を取ることや手洗いだけでなく、マスクをすることは、感染拡大のスピードを落とすことに重要な役割を果たしている。日本のように感染者が少ない国々では、これを証明しているといえる、と5人の専門家は書いている。

こうした効果を見て、安倍首相は1週間前、国家緊急事態宣言を見送った。それ以来、日本人は日常の生活を少しずつ取り戻している。塾では、換気の行き届いた教室で生徒たちの間隔を開けて座らせることで再開した。遊園地は屋外のアトラクションに限って再開した。それでも政府は感染の第2波が来ることを警戒している。このため新学期となる4月は、まずは感染が広まっていない地域に限っての学校再開に留め、大規模イベントは引き続き開催が見送られる。

注意すべきは海外からの渡航者によるリスクである。韓国に続き、土曜日からEU諸国からの渡航が禁じられる。日本に居住する者に限り入国は許可されるが、ヨーロッパから到着後14日間は隔離が求められる。この対策は非公式発表から4月末までの期限で続けられる。

記事執筆:マルティン・フリッツ

検証「日本の常識」 ~マスク~(ドイツ、オーストリアのマスク事情)
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