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レ・ヴァン・フランセ

2018年04月23日 | pocknのコンサート感想録2018
4月20日(金)レ・ヴァン・フランセ
文京シビックホール大ホール


【曲目】
1.グリンカ/悲愴三重奏曲 ニ短調
2.トゥイレ/六重奏曲 変ロ長調 Op.6
3.イベール/木管五重奏のための3つの小品
4.ミヨー/フルート、オーボエ、クラリネットとピアノのためのソナタ Op.47
5.プーランク/ピアノと管楽器のための六重奏曲 FP.100

【アンコール】
1.ドビュッシー/小組曲~小舟にて
2.ドヴォルザーク/六重奏曲(原曲:ピアノ五重奏曲第2番イ長調Op.81)~第3楽章

【演 奏】
レ・ヴァン・フランセ
Fl:エマニュエル・パユ/ Cl:ポール・メイエ/ Ob:フランソワ・ルルー/ Hrn:ラドヴァン・ヴラトコヴィチ/バソン:ジルベール・オダン/ Pf:エリック・ル・サージュ


スーパーアーティストによる夢のアンサンブル、レ・ヴァン・フランセ。文京シビックホールでS席5000円のお得なコンサートを見つけたので、奥さんを誘って久々に聴いてきた。レ・ヴァン・フランセは、毎年のように日本に来るのでいつでも聴けると思っているせいか、気がついたら前回聴いて感動したコンサートから7年半も経っていてビックリ。とても久々なので前回との比較は難しいが、ソリストそれぞれの味わい深さも、アンサンブルとしての魅力も一段と増したのではと感じた。

レ・ヴァン・フランセは、「気心の知れた腕利きの音楽仲間が、抜群のパフォーマンスを聴かせる」という次元を遥かに超えている。プレイヤー達の「個」としての卓越した技が、最高の形でアンサンブルに昇華して、どの曲でも、レ・ヴァン・フランセでなければ出せない魅力を放つ。

室内楽は、プレイヤー間のやり取りから生まれる丁々発止の対話が、生き生きと繰り広げられるほどに魅力が増すもので、レ・ヴァン・フランセはもちろんその点でも抜群のパフォーマンスを聴かせてくれるが、更にそのどれもが、最高のセンスと色香と息遣いに満ち溢れているのだ。そのやり取りは、とても自然で楽しそうだけれど、一音一音に賭ける彼らの集中力や真剣さは、常にただならぬレベルにある。

レ・ヴァン・フランセの名手達に、手抜きという言葉は存在しない。常に作品をリスペクトして自分が出す音に徹底的に責任を持ち、共演する仲間を心からリスペクトして全身全霊で受けとめ、クリエイティブなスピリッツを生み出す。しかも、聴き手には何の苦労の跡も汗も見せずに。

優れた音楽家が集まっても、必ずしもアンサンブルがうまく行くわけではないが、その意味で、レ・ヴァン・フランセの6人のメンバーは、個の技とアンサンブルの技が、ピタリとハマった理想の仲間だということを今夜はつくづく感じた。だからこそ、超多忙なプレイヤー達が、こんなに定期的に集まって、20年以上も活動を続けているのだろう。このメンバーで演奏するのが楽しくて仕方なく、幸せだと感じているに違いない。そして私達聴衆も、最高に楽しくて、幸せで、かけがえのない貴重な時間を共有している。

今夜の曲目も、それぞれが魅力を放っていた。高いテンションで溢れる情感を表現したグリンカのトリオ、広いダイナミックレンジを縦横に旅して、多彩な世界を聴かせたトゥイレのゼクステット、イベールの「3つの小品」での軽妙洒脱なセンスと愉悦、そしてミヨーの作品では、普段は開放的で外へ向かうことの多いレ・ヴァン・フランセのベクトルが、内部へ向かって集中し、異様な熱気と緊張感をもたらした。このアンサンブルに普段抱いているイメージとは正反対の演奏にも徹底して最高の成果を聴かせるのだ。

最後は定番のプーランク。ここでのベクトルは、自由自在に外や内に向き、真剣さと遊び、情熱とリラックス、皮肉とユーモアといった、相対する気分を変化させ、極彩色の世界へ誘ってくれた。アンコールのドビュッシーでは美しいアレンジが映えた透明感に浸り、ドヴォルザークではワクワクドキドキのスリルを味わった。

何と多彩で一期一会の醍醐味だろう!7年半もご無沙汰してしまってもったいなかった。次の来日がもう待ち遠しくなった。

レ・ヴァン・フランセ ~2009.10.19 東京オペラシティコンサートホール~
CDリリースのお知らせ
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~

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